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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「持続可能な社会目指して」その10

低くなる表面温度

緑のカーテン効果

近年夏になると、県や市町村の公共施設、一般家庭などで、「緑のカーテン」と呼ばれる壁面緑化を施している風景をよく見かける。緑のカーテンとは、ヘチマ、ニガウリ、アサガオなどのツル性植物をネットなどにはわせて育て、葉を窓のカーテンに見立てて茂らせたものだ。

これにより、葉が夏の暑い日差しをさえぎり、窓から涼しい風を取り入れたり、コンクリート化された住宅の壁面からの照り返しを減少させたりすることができる。

緑のカーテンの普及は、「都市におけるヒートアイランド現象緩和への期待」という観点からみると、市民の環境保全に対する意識の高まりを象徴しているといえる。さらに、「花が咲いたり、実がなったりと、植物を育てる楽しみがある。」などといった情緒的な面も、緑のカーテンが普及した大きな理由としてあげられる。

このように、環境保全活動を推進する場合、その活動が「ヒートアイランド現象の緩和」などの環境保全につながるという理由だけでは、なかなか行動を誘発する動機づけにはなりにくい。その他に、何かしらの付加価値が必要だ。政府が実施している「エコポイント制度」が功を奏しているのは、まさにこの付加価値の部分が市民に受け入れられたからではないだろうか。

ところで、緑のカーテンの効果は、どのようなメカニズムで発揮されるのだろうか。これには、植物の基本的機能である光合成が関係している。植物は、光合成をするために、葉にある気孔を開いて大気中の二酸化炭素を吸収する。このとき、開いた気孔からは、葉の中の水分が、気化熱を奪って、蒸散として葉の外に放出される。このおかげで、日差しをさえぎる葉自体は、熱くならないですむ。そのため、葉の隙間を吹き抜ける風は涼しく感じられ、壁面からの照り返しも抑えることができる。

環境科学国際センターでは、実際に、ふじみ野市と市民が協働で取り組んでいる緑のカーテンの効果を調べる調査に協力し、5種類のツル性植物(ハヤトウリ、アサガオ、ニガウリ、フウセンカズラ、ヘチマ)を用いたときの効果をサーモグラフィーカメラなどを使って調べた。

その結果、昨年8月の調査では、いずれの植物においても、緑のカーテンの表面温度は、何も覆っていない建物の表面温度に比べて明らかに低かった。このことから、緑のカーテンの効果が確認され、都市におけるヒートアイランド現象緩和への寄与が実証された。この調査結果を受け、調査に参加した市民は、「今後、ふじみ野市内の家庭に緑のカーテンが普及するよう、積極的に啓発活動を行っていく。」と意気込みを語っている。

ふじみ野市が実施している緑のカーテンの普及活動事例のように、環境保全活動を推進するためには、市民と行政との協働体制を確立することが必要だ。そして、行政は、市民の環境に対する関心を注視しつつ、市民が意欲的に環境保全活動ができるよう支援し、それを一歩ずつ前進させていくことが大切なのではないだろうか。

環境科学国際センターでは、これからも積極的に市民の環境保全活動の支援に取り組んでいく。

緑のカーテンの調査の様子
ふじみ野市と市民が協力して行った緑のカーテンの調査

緑のカーテンの様子
建物を覆う緑のカーテン

埼玉県環境科学国際センター 自然環境担当 三輪誠

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

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