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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その27

鳥の不審死の原因は?

ウイルス以外に殺虫剤も

「鳥の不審死」と聞いて私たちは何を思い浮かべるだろうか?多くの人は、最近話題になった鳥インフルエンザという言葉を思い浮かべるだろう。鳥インフルエンザは、ニワトリなどの大量死を引き起こすウイルス性の感染症だ。海外では人への感染も確認されており、死者も出ている。国内では京都府、茨城県、宮崎県など各地で鳥インフルエンザが発生し、養鶏業者に多くの被害をもたらした。埼玉県でも、平成十七年に鳥インフルエンザによって養鶏業者のニワトリが処分されたことは記憶に新しい。

さて、埼玉県では、毎年ハトやカラスなど野鳥の不審死(写真)が数件報じられている。その原因は様々であると思われるが、これまでに鳥インフルエンザウイルスが検出された事例はない。ウイルスが検出されなかった野鳥は、死亡原因を明らかにするため、その胃の内容物などが環境科学国際センターに持ち込まれる。センターでは、これらの中にどのような化学物質が含まれているか、分析機器を用いて調べている。

表は、平成十七年以降、センターに持ち込まれた野鳥の種類とその胃の内容物から検出された化学物質の一覧だ。野鳥の種類は、ハトとカラスが多く、スズメとヒヨドリも各一件ある。平成十九年九月末までに十二件の調査依頼があり、延べ七十個体を検査した。時期は一月と四月が多く、七件は県北部で起きている。十二件中八件で死亡の原因と考えられる化学物質が検出されている。それらは、フェンチオン、EPN、フェニトロチオン、パラチオン、メソミルの五種類だ。これらの化学物質は、パラチオンを除いて、衛生害虫用や農業用の殺虫剤として現在も使用されており、メソミル以外は有機リン系殺虫剤だ。これらの中には鳥だけでなく、人や家畜に対しても強い毒性を示すものもある。特にパラチオンはその毒性の強さから、国内では昭和四十六年に農薬としての使用が禁止された。殺虫剤が原因と思われる野鳥の不審死事例は、埼玉県だけでなく他の都道府県でも報告されている。いずれにしても「鳥の不審死」は、鳥インフルエンザウイルスだけでなく殺虫剤などでも引き起こされることがわかる。

環境科学国際センターでは、これまで分析に使用してきたガスクロマトグラフ質量分析計に加えて、平成十九年度からは高速液体クロマトグラフ質量分析計による分析方法を整え、より多くの種類の化学物質を迅速に検査できるよう体制を強化し、県民の安心・安全な生活の確保に努めている。

野鳥がまとまって死んでいるなどの異常を発見した場合は、直接手で触ったりせずに最寄りの市役所、町村役場、警察署、または県みどり自然課や県環境管理事務所に連絡をいただきたい。

野鳥の不審死の写真

環境科学国際センターに持ち込まれた野鳥の胃の内容物等調査結果と死亡野鳥数

化学物質担当 茂木 守

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 化学物質・環境放射能担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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