環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 刊行物 > 埼玉新聞連載記事「自然との共生 埼玉の現状と課題」その3

ここから本文です。

 

掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「自然との共生 埼玉の現状と課題」その3

2008年6月2日掲載

二酸化炭素濃度の精密観測

2001年以降増加率が拡大

近年、大気中の二酸化炭素濃度は、一年間に約2ppm増加している。この微少な濃度変化を把握するためは、0.1ppm以下の観測精度が必要とされるため、観測装置の安定性や再現性だけでなく、濃度の決定に使用される標準ガスの精度管理も要求される。そのため、国連の世界気象機関(WMO)では、世界中の観測機関で共通のスケールとなる標準ガス(WMO標準ガス)を管理している。埼玉県でもWMO標準ガスとの検定を実施して、各観測機関と同一の精度を確保している。(写真)

埼玉県の観測所における二酸化炭素濃度の月平均値と、一九九二年から二〇〇七年までの各月における過去十二ヶ月分の月平均値を平均した値を図に示した。人為的な汚染の影響の少ない堂平山では、濃度の季節変化が四月頃に極大となり九月頃に極小となった。これは、植物の光合成により五月~八月頃にかけて二酸化炭素の吸収量が増加し、大気中の濃度が減少するためと考えられた。一方、浦和と騎西では、人為的な汚染の影響を受け大気の安定する十一月~十二月頃に濃度が増加したが、これは、燃焼によって発生する窒素酸化物の濃度の季節変化と同様な傾向であった。

各地点間で十二ヶ月の平均値の濃度差を比較したところ、浦和と堂平山では18.6~22.4ppm、騎西と堂平山では12.1~14.9ppmで推移し、人為的な汚染の多い地点ほど堂平山との濃度差が大きかった。また、濃度差がほぼ一定の範囲内で推移したことから、観測期間中に県内から排出された二酸化炭素は、ほとんど削減されていないと考えられた。今後、排出量削減の取り組みにより、地点間の濃度差が減少するか注目される。

年平均値から求めた二酸化炭素濃度の一年間あたりの増加率は、一九九五~二〇〇五年では堂平山で1.8ppmであった。この増加率は、WMOの温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)が集計した地球規模での平均である1.9ppmとほぼ一致した。期間別に比較すると、一九九三~二〇〇〇年では浦和で1.7ppm、堂平山で1.8ppmであったが、二〇〇一~二〇〇六年では堂平山で2.5ppm、騎西で2.7ppmとなった。地点間の増加率に差が少ないことから、濃度増加に関しては、県内だけでなく地球規模でも濃度増加が進行していると考えられた。また、二〇〇一年以降の増加率が明らかに大きくなったことから、濃度が加速度的に増加していくことが懸念される。

このように、温室効果ガスの観測を長期間精密に継続することで、濃度変化の実態を把握することが可能となる。また、排出量削減の取り組みを効果的に行うために、今後も観測結果の解析を進めていく必要がある。

二酸化炭素濃度観測装置兼標準ガス濃度較正装置の写真

二酸化炭素濃度観測装置兼標準ガス濃度較正装置

二酸化炭素濃度の推移の図

二酸化炭素濃度の推移

埼玉県環境科学国際センター 大気環境担当 武藤洋介

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 大気環境担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?