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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その37

外来生物が生態系に与える脅威

分布拡大するコクチバス

外来生物とは、もともとその地域には存在せず、人間の活動によって外国から入ってきた生物だ。動植物を含め、現在、国内には明治以降に入ってきた外来種が約千九百種定着していると言われる。外来生物には、ミドリガメやアメリカザリガニのように身近な生き物として親しまれてきたものもいる。このほかにペットとしてのアライグマや、漁業や農業において導入されたアメリカナマズ、セイヨウオオマルハナバチなどの外来生物は、法的な規制がないまま定着してしまっている。近年では、オオクチバスやブルーギルなどの定着が在来生物を駆逐し、生態系等に悪影響を及ぼすという深刻な社会問題となっている。

平成十七年には、外来生物法による規制が始まった。生態系や人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、または及ぼすおそれがあるものから被害を防止するため、特定外来生物が指定されている。これには個体だけでなく、卵や種子、器官なども含まれる。また、同法では、飼養、栽培、保管又は運搬、輸入その他の取扱いが規制されている。

特定外来生物に指定された魚類は十三種で、このうち埼玉県に生息分布する魚類は、アメリカナマズ、オオクチバス、コクチバス(写真1)、ブルーギル、カダヤシの五種類である。

環境科学国際センターでは、平成十七年度から五カ年計画で、埼玉県における魚類等の多様性モニタリング調査を実施している。この研究は、県内全域における魚類等の水生生物の生息実態、生息分布を長期にモニタリングすることで、生物多様性保全のための基礎資料を得ようとするものである。このうち、コクチバスは、平成七年に荒川第一調節池(戸田市彩湖)で確認されて以来、入間川、越辺川、荒川、有間ダム、旧妻沼町工業団地調節池等で侵略的に分布を拡大している。昨年八月七日の調査では、荒川の押切橋(熊谷市)下流において約五十メートル区間内で投網を十回打ち、四十匹の魚類が捕獲された。その内訳は、コクチバス二十匹(体長四から九cm)、オイカワ五匹、ギバチ、タモロコ各三匹、カジカ、ウグイ各二匹、ムギツク、コイ、ニゴイ、ギンブナ、モツゴ各一匹であった。確認された魚類の半数をコクチバス(写真2)が占めるという結果で、外来生物が生態系に与える脅威を改めて実感させられた。

このように既に繁殖してしまった外来種は、生態系からの完全排除等の防除措置をとることが必要である。外来種を外国から持ち込まない、飼っている外来生物を捨てない、繁殖している外来生物を他地域へ拡げないことが外来生物被害予防三原則となっている。人的行為による定着、拡大を防ぐため、しっかりと自己責任で管理していかなければならない。このような極めて当たり前のことが貴重な生物を絶滅から守り、後世に引き継ぐことを可能にする。

写真1 県内ではじめて平成7年に荒川第一調節池で確認されたコクチバス

県内ではじめて平成7年に荒川第一調節池で確認されたコクチバス

写真2 侵略的に分布を拡大するコクチバス

侵略的に分布を拡大するコクチバス

自然環境担当 金澤 光

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

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