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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「自然との共生 埼玉の現状と課題」その4

2008年6月16日掲載

ごみ埋立地から出るメタンガス

日本全体の排出量の約4分の1を占める

二酸化炭素ガスなどの温室効果ガスは、私たちの生活や産業活動などにより大気中に排出されている。大気中の温室効果ガス濃度は増加の傾向にあり、その結果、地球温暖化が引き起こされていると言われている。温室効果ガスとしては二酸化炭素ガスが有名であるが、それ以外の温室効果ガスとしてメタンガスがある。メタンガスには二酸化炭素ガスの二十一倍の温室効果があり、大気中の濃度が低くても温暖化に与える影響は大きい。二〇〇五年度の環境省の算定によると、メタンガスが温暖化に寄与する割合は約二%であるが、二酸化炭素ガスと同様に削減を検討する必要がある。

メタンガスの発生源のひとつにごみ埋立地がある。日本のごみ埋立地からのメタンガス放出量は、二酸化炭素ガスの温室効果に換算して五百七十六万トンと算定され(環境省、二〇〇五年度)、家畜の消化管内発酵(牛のゲップなど)や稲作に次いで多く、日本全体のメタンガス排出量の二十四%に当たると言われている。つまり、私たちが出したごみが、地球温暖化の原因の一つとなっているわけである。なお、ごみ埋立地からは二酸化炭素ガスも放出されているが、温暖化への寄与はごくわずかである。

では、なぜ、ごみ埋立地からメタンガスや二酸化炭素ガスが発生するのだろうか(図1)。ごみ埋立地の中では、微生物がごみに含まれる有機物を「えさ」として食べている(分解している)。そのとき、ごみ埋立地の中に含まれる酸素が急激に消費され、酸欠状態(嫌気性状態)になると、主に酢酸を「えさ」とするメタン生成細菌などの微生物の働きが活発になり、メタンガスと二酸化炭素ガスが生じる。そして、ごみ埋立地で発生したガスは、ガス抜き管や地表面から大気中へと放出される。

ごみ埋立地から放出されるメタンガスの量は、直接測っているわけではない。実は、公定法(国や公共団体により定められた測定方法)が確立していないため、実測データはほとんどなく、あくまで算定値だ。埋立ごみの種類や量、降雨量などの気象条件、経過年数などによりガス量が変化することについては知られているところであるが、その他に、気圧の上昇時にガス流量が減少し、気圧下降時にガス流量が増加する傾向がある(図2)ことが、県環境科学国際センターが実施したごみ埋立地のガス調査によって分かってきた。このような現象を明らかにすることや、メタンガス放出量の算定値の確かさを調べるには、さらなる実測データの蓄積が重要である。

では、ごみ埋立地からのメタンガスや二酸化炭素ガスの放出抑制対策は何であろうか。それは、ごみの埋立量を減らすことが第一であり、国や県ではごみ埋立量の削減を目標に掲げている。つまり、私たちが出すごみの量を減らすことが温暖化対策につながるのである。技術面からは、酸素がごみ埋立地の中に入るように工夫してメタンガスの放出量を減らしたり、二酸化炭素ガスをごみ埋立地内に化学的手法を用いて固定化することなどが考えられる。ごみ埋立地内のガス制御方法を確立することにより、温室効果ガスの削減に貢献できるであろう。メタンの主な発生過程と大気放出

ガス抜き管からのガス放出量の時間変動

埼玉県環境科学国際センター 廃棄物管理担当 長森正尚

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