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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その20

廃棄物からつくる環境配慮製品

硫化水素ガスの発生防ぐ

ごみ埋立地における環境問題として「硫化水素ガス」の発生が知られている。硫化水素ガスは、空気中での濃度が低い場合、卵の腐ったような臭いを放つ。そのため、悪臭による苦情が多い。1000ppmを超えるような高濃度の硫化水素ガスが発生すると、人や動物が死に至る場合がある。実際にごみ埋立地で現場作業員が死亡した事例が過去に報告されている。この硫化水素は私達にとって決して遠い存在ではなく、火山国である日本では、火山地帯や温泉地でその臭いを嗅いだ人も多いだろう。温泉地の窪地にたまった硫化水素ガスにより人が死亡した例も報道されている。

ごみを埋め立てた場合、いくつかの条件が重なると硫化水素ガスが発生する。すなわち、(1)硫化水素の原料となるイオウ(硫酸塩)がごみの中に高い濃度で存在すること、(2)埋め立てたごみの中の酸素が無くなること(嫌気性条件)、(3)硫酸塩還元菌が存在すること(硫酸塩還元菌は硫酸塩を硫化水素に変化させる細菌であり、酸素のない嫌気的な環境に存在する。)、(4)硫酸塩還元菌の栄養源となる有機物が存在すること、(5)硫酸塩還元菌が増殖するための温度・水分条件を満たすことだ(図)。硫酸塩還元菌は普通の土壌に一般的に存在することから、硫化水素ガスはどこでも発生する可能性がある。ごみを埋めることによって硫化水素ガスが発生することが特に懸念されるのは、家屋の壁に使用されている石膏(こう)ボードによることが多い。廃石膏ボードはその発生量が多いだけでなく、汚れていて再利用が困難な場合が多いため、埋立地に処分されているのが現状だ。

環境科学国際センターでは、埋め立てられる廃石膏ボードに、鉄分を多く含む火山灰土壌や水道管を製造する際に発生する鉄粉廃棄物を混ぜて埋め立てると硫化水素の発生が抑えられることを発見した。特に、鉄粉の効果が大きく、鉄鉱業から排出される産業廃棄物である鉄粉廃棄物を重量でみて石膏ボードに対してわずか1%添加するだけで硫化水素の発生を抑制することが分かった。

そこで、鉄粉廃棄物の処分費用を少しでも軽減したい企業と埋め立てても硫化水素を発生させない石膏ボードを製造したい企業と連携して、鉄粉を添加した環境にやさしい新しい石膏ボード製品を開発した(写真)。

このように、ごみを有効に利用することは、ごみの発生量や利用しようとする資源量の削減につながる。特に、国土が狭く、資源の乏しい日本では、ごみを一つの有用資源と位置づけ、業種の異なる企業との連携により、環境に配慮した製品を作ることもこれからの循環型社会を形成するためには重要だ。

通常の石膏ボードと鉄粉廃棄物入り石膏ボードの写真

硫化水素の発生メカニズム説明図

廃棄物管理担当 倉田 泰人

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 資源循環・廃棄物担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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