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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その24

ダイオキシン汚染の昔と今

大気の状況はどうなったか?

ダイオキシンは、廃棄物の焼却や薬品の製造などにおいて不純物として生じる化学物質だ。大気へはごみなどの焼却処分により排出され、ダイオキシンに対する国の規制が無かった時期は、ダイオキシンは大気を汚染した。ダイオキシンは環境中で分解されにくく、大気、地表、川底などに残留し、人を含めた動物の体内に蓄積しやすい性質を持ち、さらに、発がん性や生殖、免疫、神経などに対する毒性を示す。これらのことから、ダイオキシンを含む大気を呼吸することで、私たち人類や動物への悪影響が懸念された。

このような特徴を示すダイオキシンについて、平成十一年ごろ、埼玉県南西部の地域でダイオキシン汚染に関する問題が、テレビ報道され一般に注目された。埼玉県や他県での一連の騒動を受け、ダイオキシン対策に関する法律が平成十一年に作られた。これにより、環境基準や排出基準が設定され大気中ダイオキシンの監視とダイオキシンを排出する工場などの規制強化が行われた。

写真は環境科学国際センターにおいて大気中のダイオキシンを採取している様子だ。これはハイボリウムエアーサンプラーという採取装置である。今年は、県内の調査地点二十三ヶ所にこれが設置され、県内の大気の調査が行われている。

平成九年度から平成十七年度の全国と埼玉県内での大気の中に含まれるダイオキシン濃度を図に示した。大気に含まれるダイオキシンの量は、埼玉県も含め全国的に年々低下した。一立方メートルの大気に含まれるダイオキシンの量は、平成十七年度には県内平均で0・068ピコグラム、全国平均で0・052ピコグラムとなり、ダイオキシン大気環境基準0・6ピコグラムのほぼ十分の一まで低下した。一ピコグラムとは一兆分の一グラムだ。ダイオキシン大気環境基準とは、生涯この空気を呼吸しても、人体に悪影響を及ぼさない濃度だ。県内におけるダイオキシンの総排出量も平成九年度から平成十七年度にかけおおよそ二十分の一に減少した。このことから、県内でのダイオキシンの大気汚染は、安心できる状況に改善された。

県や市町村では、大気中のダイオキシンを減らすために、家庭でごみを分別することにより、燃やせないごみを排除したり、家庭などから持ち込まれるごみを焼却する清掃工場、産業廃棄物処理工場などを監視している。これらの工場の煙突から排出が許されるダイオキシン濃度の基準が法律で決められている。この基準が守られているかどうか工場に立ち入り、排ガスの採取と分析が実施されている。

大気中のダイオキシン濃度は確かに改善されてきているが、ダイオキシンの人体への毒性の影響を考えると、継続した環境の監視とごみ焼却炉などの発生源の規制は重要なことだ。

環境科学国際センターにおいて大気中のダイオキシンを採取している様子

大気中のダイオキシン濃度の推移の図

化学物質担当 野尻 喜好

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 化学物質・環境放射能担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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