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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「持続可能な社会目指して」その2

光化学スモッグが再燃

低炭素化と共通する対策

光化学スモッグは環境に多くの悪影響を与える大気汚染だ。最近、この光化学スモッグが大きな話題になっている。30年ほど前、学校などに注意報が発令され、屋外活動を控えるように言われた記憶を多くの人が持っているだろう。その後、あまり注目されなかったこの話題が、再燃している。事実、光化学スモッグの指標となる大気中の光化学オキシダントの濃度は、1980年ごろを底としていったん低下していたが、その後は上昇傾向となっている。話題となった報道の多くは西日本を中心とした光化学スモッグ注意報発令状況を取り上げているが、その主な原因は中国大陸からの越境汚染だと解説している。

実は、この光化学スモッグ注意報が日本で一番多く発令されているのは埼玉県だ。近年、大気環境は大きく改善し、ほとんどの大気汚染物質に関する環境基準が達成されてきている中、埼玉県ではこれまで一度も光化学オキシダントの環境基準を達成したことがない。埼玉県周辺の都県も注意報が多く発令される地域だが、関東地方における高濃度の光化学オキシダントは大陸からやってくるものが主ではなく、関東地方の原因物質発生源が大きく影響している。光化学オキシダントは、工場や自動車などから大気中へ排出される窒素酸化物と揮発性有機化合物が原因物質となり、これらに太陽光線が当たって化学反応が起こり、発生する。一般家庭も小規模ながら、これらの発生源に含まれる。

窒素酸化物は空気中の高温現象でできるので、主に物の燃焼によって発生する。窒素酸化物はそれ自体が大気汚染物質なので、法規制などによってこれまで対策が実施され、環境基準が達成されるようになってきた。しかし、光化学オキシダントの原因物質でもあることから、更に対策を進める必要がある。物の燃焼を減らすことが有効で、燃料使用の削減、省エネルギー、自然エネルギー利用など、地球温暖化対策に通じる手段が窒素酸化物対策にもなる。したがって、低炭素社会を目指すことは光化学オキシダント対策にも役に立つことになる。

一方、揮発性有機化合物はガソリンなどの燃料やシンナーなどの溶剤が蒸発することで発生する。揮発性有機化合物には多くの種類があるが、埼玉県の調査により、光化学オキシダントの生成に寄与する物質や、その濃度変化の特徴などが分かってきた。例えば、シックハウス症候群で注目されるホルムアルデヒドは、室内だけでなく、自動車からの排出などによって屋外でも存在し、光化学オキシダントの発生に大きく寄与している。また、埼玉県で多く排出されているトルエンなどの有機溶剤も光化学オキシダントの発生に影響する。環境基準超過が続く光化学オキシダント対策を目的として、最近、揮発性有機化合物排出低減のための新たな取り組みが進められている。現在はすべての種類の揮発性有機化合物が対象となっているが、光化学オキシダント生成への寄与に応じて、物質の種類ごとの取り組みも有効だろう。

光化学オキシダントの生成機構

光化学オキシダント濃度の推移

埼玉県環境科学国際センター 大気環境担当 竹内庸夫

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