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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その2

国道17号沿い上尾、与野の緑地帯

大気汚染を平均14%軽減

植物は光合成によって二酸化炭素を吸収して生長する。酸素を放出したり、動物の餌になるなど、人を含む全ての生物の存在を支えている。最近は地球温暖化の原因物質、二酸化炭素の吸収源としての役割にも注目が集まっている。

このような植物が空気を取り込む働きは以前から知られていたため、道路際の大気汚染対策として、緑地帯や街路樹がどのくらい空気をきれいにするのか、ということがしばしば問われていた。実際に、道路建設時や局地的な大気汚染対策として緑地帯の整備も行われてきた。しかし、その効果の実態については、はっきり分かっていなかった。

環境科学国際センターでは、国道17号沿いにある上尾運動公園(写真)や与野公園など、県内の大小様々な緑地帯で調査を行い、長期間、二酸化窒素(NO2)の濃度などを測定した。その結果、6月から12月の調査期間中、上尾運動公園の幅15mの緑地帯の内側では、緑地帯のない場所に比べて毎月NO2濃度が低下した(図)。平均では14%も低かった。同様に幅15mの与野公園の緑地帯でも平均7%が低下し、緑地帯が自動車排ガスによる大気汚染を軽減する対策として有効であることがわかった。

その仕組みは、緑地帯が自動車排ガスの侵入を遮ぎることによって、その一部を人の住まない上空に拡散させていたことによる。さらに、緑地帯内では、自動車排ガス中に多量に含まれる一酸化窒素(NO)が、より有害なNO2に変化する反応が抑えられたためだ。もともと緑地帯に期待されていたNO2の吸収による濃度の低下は1%にも満たないこともわかった。

局地的とはいえ、上尾運動公園の緑地帯がNO2濃度を14%も低下させた効果は、交通量を47%減らす効果に相当し、与野公園での7%の低下は交通量を18%減らす効果に相当した。このような、緑地帯がNO2濃度を低下させる効果は緑地帯から離れるに従って小さくなるが、上尾運動公園や与野公園ではおおむね100m付近までは確認されている。

加えて、同時に測定した大気中に浮遊する粒子(浮遊粒子状物質)の濃度でも、上尾運動公園では平均10%、与野公園では6%の低下がみられた。これもNO2の低下と同様、緑地帯が自動車排ガスを遮る効果によるが、緑地に付着して取り除かれる効果も確認されている。

このようなすぐれた機能を持つ緑地帯だが、その効果の大きさは緑地帯の構造や規模によっても変わってくる。局地的な大気汚染対策に限れば道路側は常緑樹とし、高密度の緑地帯が望ましい。なお、街路樹のような緑地は木陰を提供するので夏の暑さ対策などには極めて大切であるが、低密度なので、その場の大気汚染を改善するまでの効果はもたない。

国道17号を挟むように茂る緑地帯の様子
国道17号を挟むように茂る緑地帯
上尾市の県営上尾運動公園

沿道緑地帯による二酸化窒素濃度の低下率(%)のグラフ

自然環境担当 小川和雄

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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