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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「自然との共生 埼玉の現状と課題」その15

2008年9月8日掲載

生き物と人とのかかわり

里川の生き物を守るために

かつて、私たちの周りには里川として親しまれてきた川があった。水源の多くはわき水や水田で、ホトケドジョウやゼニタナゴ、マタナゴ、ヤリタナゴ、カタッケと呼ばれたカラスガイ(正確にはドブガイ)等がいた。今では絶滅危惧種となっている生き物の宝庫であった。このような生き物の保全に、里川は多くの役割を果たしている。

昭和三十年代の高度成長期に多くの田畑は宅地などとして開発され、生活排水や工場排水により、里川はどぶ川となり生き物たちは生きるすべを失った。県南からいち早く姿を消したマタナゴやチョウセンブナ(闘魚)(写真)は、今や県内で生息を確認することはできない。

どぶ川を浄化するために、他の河川から導水する試みが行われている。確かに川は見た目にきれいにはなるが、流域全体の汚濁負荷量は変わらない。里川に生き物が復活し、以前の賑わいを見せる水辺へと代えるためには、発生源対策が必要である。つまり、里川の再生と持続的な管理は、人とそこにすむ生き物とのかかわりをあらためて再認識し、汚濁負荷を軽減することにある。生活排水をきれいにして流す自然環境にやさしいライフスタイルを取り入れるというような循環型社会が、今は求められている。

農業用水などの里川は、多くの生き物を育み、生物多様性を保全してきた。しかし、これらの農業用の施設管理は、農村の過疎化や高齢化により維持・保全が難しくなってきている。そこで、農林水産省は、地域の自然環境資源である水田や農業用水等の生産基盤を守り、農業の質と農村環境の向上を目的とした「農地・水・環境保全向上対策」事業を行っている。

これを受けて、埼玉県では、平成十八年に桶川市篠津地区で篠津川辺保全隊が結成された。水田でドジョウやメダカなどを産卵させるなどの生態系に配慮した施設管理や、外来種の駆除、刈り取り、さらに、桶川市立加納小学校と連携し自然観察会を行っている。自然観察会では、農業用水の役割を説明した後に、五年生約七十人を班に分け、保全隊のメンバーが同行して水田の用水で観察を行っている。参加した学童の一割ほどの家が農業を営んでいるが、他の学童にとっては水田に入るのも生き物を捕るのも初体験である。ドジョウや今年生まれたばかりのナマズが捕れるたびに歓声が上がる(写真)。今年は六月二十三日に実施した。

この自然観察会では、ふ化して育った体長二センチ程のドジョウが無数に見られることに驚かされる。水田が持つ生き物を育む自然の生産力に強い魅力を感じる。この取り組みは農家だけでなく付近の住民等が地域ぐるみで、長い年月をかけて守られた農地資源を次世代へ継承することが狙いである。里川の生き物を守るためには、このような活動は今後ますます重要になるだろう。

チョウセンブナの写真

チョウセンブナ

田んぼの生き物調査の写真

田んぼの生き物調査

埼玉県環境科学国際センター 自然環境担当 金澤 光

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 自然環境担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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