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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その31

地下に蓄えられた貴重な水資源

安心して利用し続けるには

地下水は、古くから私たちの生活にとってなくてはならない存在であった。井戸からくみ上げた水は、飲み水や洗濯などの生活用水に利用され、井戸端は地域住民の社交場となっていた。現在では、生活用水のほか、農業用水や工業用水としても広く用いられている。

地下水の源は、山や台地に降り注いだ雨水や雪解け水だ。大地に染みこんだ水は、長い時間をかけて地中をゆっくりと移動し、その過程でろ過されるとともに、ミネラル成分が溶け込む。地下水が清澄で美味しいのは、この自然の持つ作用によるところが大きい。

しかし最近、地下水の安全性が脅かされ始めている。様々な有害物質により、地下水が汚染されているためだ。茨城県神栖町で発生した有機ヒ素化合物による地下水汚染は、記憶に新しい。

地下水汚染の原因・経路は、次の三つに大別される(図)。一つ目は、工場・事業場で使用している有害物質が不適切な取り扱いにより地中へと漏れだし、地下水を汚染するケース。二つ目は、必要以上の施肥や家畜排せつ物が地下に浸透するケース。例えば窒素肥料の場合、亜硝酸性窒素や硝酸性窒素となって地下水を汚染する。三つ目は、人為的汚染ではないが、もともと自然界に存在する金属などにより地下水が汚染されるケースである。

これらの原因・経路で汚染された地下水は、見た目で判断できない場合が多い。従って、私たちが地下水を安心して利用し続けるためには、その水質を定期的に検査する必要がある。埼玉県では、一九八八年から県内を三地区に分け地下水の水質調査を開始した。翌年には地下水質の監視が法律で義務付けられたことから、山間部を除いて県内全域を四km四方に分け、それぞれの地域において地下水質を継続的に監視している。

地下水汚染対策では、できるだけ早く水質の変化を捉える必要がある。変化に気付くのが遅れれば、生活環境に影響を及ぼす恐れがあるからだ。埼玉県環境科学国際センターでは、地下水中のヒ素や重金属類を簡単に測れる技術を開発した。くみ上げた地下水試料中に複数の電極を入れ、その間に流れる電流値から汚染物質の濃度を測る。測定時間は、五~十分程度だ。装置は小型軽量なため、車に積んで汚染現場に駆けつけることができる(写真)。この技術の大きな特徴は、その場で汚染の有無が判定できることだ。これにより、井戸所有者への迅速な情報提供、円滑かつ効果的な汚染対策が可能となる。現在、県が行っている地下水汚染の調査では、この簡易計測技術も活用している。

地下水は、川や湖沼と並ぶ貴重な水資源である。埼玉県は地下水に恵まれ、県南部の武蔵野台地や県北部の櫛引台地の周辺だけでも百八十カ所以上のわき水が確認されている。わき水周辺は、多種多様な動植物が生息し、周辺住民にとって憩いの場となっている。地下水を汚染から守り清澄な水質を維持することは、私たちの生活環境そのものを守ることにほかならない。

地下水汚染の原因・経路の説明図

地下水汚染の簡易測定技術

水環境担当 石山 高

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 土壌・地下水・地盤担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2055

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