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掲載日:2024年2月8日

令和5年度研究評価実施課題(大気環境担当 R2~R4 )夏季におけるVOC集中観測による光化学オキシダント発生要因の解明

(大気環境担当:佐坂、市川、松本、村田、長谷川;研究推進室:米持)

環境基準達成率が低い光化学オキシダント(Ox:主にオゾン)については、原因物質である揮発性有機化合物(VOC)等の排出抑制が進められてきました。その結果、VOCの大気中濃度は低下してきましたが、本県の光化学スモッグ注意報の発令日数は、依然全国ワースト上位を占め、達成率の向上も進んでいません。我々はこれまで月1回採取した大気試料についてVOCの組成を調査し、芳香族とアルデヒド類のオゾン生成ポテンシャルが高いことを把握していますが、Ox高濃度日における観測事例やVOC組成の季節変動を議論できる観測事例は非常に少ないです。

一方で、近年の低公害車の普及や工場等におけるVOC使用量の削減、さらにはコロナウイルスの感染拡大による産業・社会活動形態の変化、東京オリンピック開催に向けた重点的な大気汚染対策や物流・交通需給の調整に伴い、原因物質の排出構造の変化が予想され、これらの影響を解明することは、改善に向けて非常に意義深いと考えられます。

そこで本研究では、Oxが高濃度となる夏季に実施したVOC等のフィールド観測結果を比較、解析することで、Ox濃度の変動と相関の高いVOC発生源を解明し、排出構造の変化が与える影響を把握することを主な目的とします。

《研究の概要》(PDF:240KB)

令和5年度研究審査会コメント

  • せっかく成分ごとに測定して、また、風速分布図など気象条件もありながら、といった感があります。おそらく、移動中に新しく生成されるものもあることから、さらに詳細な解析結果をだしていくことは難しそうだということで諦めたことがありそうです。しかし、いろいろ工夫することで、様々なことが可能になります。諦めるのはまだ早いです。保存される物質の変化と比較するなり、場合によっては物理的、化学的なプロセスの寄与度など、様々な事が利用できそうです。拡散があるので、下流に行くと濃度は下がるはずです。これが、ある場所まで増加、その後は一定、これに生成が寄与しているわけですが、拡散による低下の度合いと上昇、一定になることで生成される量との比較は、すぐにできるはずです。もちろん、成分ごとにもできます。その後は、いろいろな展開がありそうです。
  • 光化学スモッグというトピック自体は、環境系では計測して長年取り組まれてきているし、既存研究も論文等多数存在する。その中で、新たに明らかにした内容を浮き彫りにするような説明図(ポンチ絵など)があるとよいのではないかと思った。
  • 簡便で時間分解能の高い試料採取手法を構築し、その適用性を検討している。当初目標の発生要因の解明までは辿り着けていないが、学会での定期的な研究進捗の報告もできており、他地域での応用などを通じた成果の発展性に期待したい。
  • 本研究で開発された時間分解能の高いVOCサンプリング手法は、今後の関連調査に有益と考えられる。観測データを積み上げて光化学オキシダント発生要因の解明に取り組んでいただきたい。
  • 高い目標設定のもと、難度の高い研究課題を遂行されている。目標への達成は担当研究者もやや不十分との結論も出ているが、計測手法の応用性は高く、既に他機関での計測にも活用されているなど、県として重要な光化学オキシダントの生成に示唆を与える重要な成果が得られている。
  • Ox発生要因であるVOCsの時間分解能の高い測定を、県内の適切な数と位置のサンプリングポイントで行うことで、ある程度、移流分と地域発生分を切り分けることが可能だったのではと考える。確立した高時間分解能測定法の適切な適用を期待する。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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