環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 研究課題 > 令和3年度研究課題一覧 > R04第1回審査会コメント1/研究課題(大気 R04-R05 新たな計測技術とドローンを活用した)

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掲載日:2023年1月10日

環境科学国際センター研究課題(大気環境担当/R4~R5)

新たな計測技術とドローンを活用した上空の大気汚染物質の解明

(大気環境担当:米持、市川、佐坂、松本、長谷川、村田;温暖化担当:大和/R4~R5)

 我々が生活する対流圏は、地上1,000~2,000 m程度までの大気境界層とその上部の自由大気とに分かれています。大気汚染物質は地上に配置された常時監視測定局で測定されていますが、空気塊の全体像を知る上で、上空の大気の実測は重要です。近年、ドローンに代表される無人飛行機の開発がめざましく、また、O3やPM(粒子状物質)の計測には、高精度の小型測定器が市販されるようになりました。更には、捕集管とミニポンプを組み合わせることで、上空のVOCの採取も可能になりつつあります。

 本研究では、これまで東秩父やCESSで試行する中で得られたノウハウを活かし、計測手法や解析手法の検討を進めることで、これまで実測例の少ない上空(主に大気境界層内)の汚染物質の実測を行い、汚染物質の鉛直方向の分布を知ることで、光化学大気汚染などの施策立案に貢献することを目指します。なお、ドローンの飛行については、安全性の確保も含め、豊富な経験を有する民間の専門業者と連携によって実施します。

《研究の概要》(PDF:230KB)

 

令和4年度第1回研究審査会コメント

研究課題

新たな計測技術とドローンを活用した上空の大気汚染物質の解明

研究審査会コメント

  •  今後の観測体制を考えた場合、ドローンを用いた観測は、科学的にも行政に活かしていく上でも、極めて重要な技術であり、研究目標としては妥当です。
     研究の方向としても、様々なものが考えられます。
     大気観測に活かしていく上では、一日のうちで、地上の濃度、各高さの濃度を経時的に測定、上下方向の大気循環の特性と、化学物質の濃度の変化との関係の把握、場所ごとに測定することで、地上特性との関係の把握、また、周辺の都県と連携して、海陸風による大気の移動中の変化など、様々な応用があります。
     大気の上下方向の循環との影響を調べる場合には、ドローンに温度計と地上を映す赤外線カメラを搭載することで、地上の温度(加熱度)との関係で把握することもあります。地上特性の把握では、通常のカメラで地上の状況の把握が考えられます。応用を考える上では、既に、衛星観測等で用いられているNDVI等のデータと関係づけることで、これまで植生の活性度のみの情報として得られていた地域的な分布の情報に対し、新しく得られる化学物質の特性を関連付けることで、より高度な情報の収集、また、それに伴った施策が可能になります。
     ドローンの場合、安定して飛行できるので、風速計を取り付けて、風向、風速のデータの取得も可能です。今回、3つ目の課題として紹介された、都からの窒素酸化物の輸送量の詳細な把握も可能になります。こうした、広く、周辺領域の技術やデータと関係させることで、大きな技術に発展させることができます。
     県にとって重要な様々なデータの把握が可能になる技術開発であり、積極的に進めていくべき課題です。
     大気観測におけるドローンの利用は、海外でも積極的に進められています。わが国の大気化学は、国際的にも高いレベルにあることから、海外に向けての発信も重要です。
  •  大気境界層の鉛直濃度プロファイルを測定する技術として実用性、発展性が高く、特にVOC成分の測定は新規性も高いと考えます。将来の展開のために、化学輸送モデルとの連携も視野に入れてほしいです。ドローンに搭載して浮かせた状態での測定・サンプリングの不確実性についても検証がなされると、測定結果の信頼性が増すと考えます。
  •  ドローンを使用してこそ到達可能となるサンプリングの範囲があることがわかりました。今後、市民調査等にも応用を目指していただきたいと思いました。
  •  観測・取得したデータについては、精査のうえ早い時期に公開していくことを積極的にご検討いただくと、他機関での関連研究との連携促進、知見の一般化の加速がなされると思います。(その際、解析に有用な周辺域のデータへのリンクなども一緒に整理・配信頂くとさらに付加価値が増すものと考えます。)
  •  近年の技術発展を活用し、大気汚染物質計測をするという手法は大変良い計画と考えます。気球などと異なり、緯度経度も正確に鉛直分布が計測可能であり、正確なデータ取得ができることから、今後の県内の大気環境保全に貢献できるデータ取得が期待できます。

 

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

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