環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 研究課題 > 令和3年度研究課題一覧 > R03第2回審査会コメント1/研究課題(資源 H30-R03 埋立廃棄物の受動的な空気流入)

ここから本文です。

ページ番号:211755

掲載日:2023年1月10日

環境科学国際センター研究課題(資源循環・廃棄物担当/H30~R3)

埋立廃棄物の受動的な空気流入による安定化促進実験

(資源循環・廃棄物担当:長森、川嵜、長谷、磯部、鈴木/H30~R3)

最終処分場に埋め立てられた廃棄物は、雨水浸透による有機物の分解や浸出水への化学物質の洗い出しにより徐々に安定化します。埋立廃棄物の安定化評価は、浸出水、発生ガス及び層内温度を指標として行われています。当センターが廃棄物層内をガス調査したところ、酸素がほとんど残っていない「嫌気性状態」でした。もし、空気侵入を増加させることができれば、好気性分解の促進により埋立廃棄物が短期間で安定化する可能性があります。安定化モニタリングの一環で実施した大型模擬埋立実験では、中間覆土として透水性の高い資材を用いると、空気が受動的に侵入し安定化が促進されることを確認しています。本研究では、実処分場における施工・管理を極力抑えた実験として、中間覆土の一部を砕石に変えることにより、廃棄物層内への空気侵入を促進できるか、各種の指標をモニタリングして評価します。

《研究の概要》(PDF:251KB)

 

令和3年度第2回研究審査会コメント

研究課題

埋立廃棄物の受動的な空気流入による安定化促進実験

研究審査会コメント

  • 廃棄物処分場では、廃棄物中の酸素は短期間に消費され、その後、有機物は嫌気性細菌によって分解されることから、メタン等が発生、その対策は重要な課題です。本研究は、直接、それに取り組んだものであり、挑戦的な研究として、高く評価されるものです。当面の課題として、いくつかの問題が提示されていますが、砕石を用いたことから降雨の浸透が抑制されていますが、例えば、砕石中に多孔質の廃材を混ぜることで改善されると考えられ、また、これが水分を保持することから、初期の表面温度の過度な上昇も抑えることができます。逆に、表層温度の日格差は、廃棄物内の空気の移動を引き起こします。また、空気を廃棄物層中に送り込む方法としても、中空の二重のストロー管を風に向けて立ててピトー管の原理を利用する方法などがあり、現状の課題に対しても様々な解決法は存在しており、計画を見直す必要はないです。新しい技術開発として、極めて注目されるものです。
  • 実作業としては、覆土の際の土を選定する際に粒径の大きいものを入れるほうが簡便と思いますし、廃棄物についても持ち込む前に分別を徹底して、付着の有機物量を極力少なくする、などという検討もしてみてもよいように思います。
  • 研究の進捗は順調であり、学会や集会での成果発表も複数行っている点も高く評価できます。今後、汎用化される可能性もあるとのことで、さらに期待したい。
  • 第2廃棄物層について、ガス抜き管のフタを開けた条件での挙動が正しく把握できるよう、必要に応じて観測期間を延長する必要があるのだと思います。
  • 長期管理の必要な最終処分場の管理期間短縮の可能性を探る試験研究といえます。県営処分場を管理する自治体として必要性の高い研究課題といえます。現時点の検討では、底部集排水管近傍の廃棄物層の安定化促進は確認されています。埋立進捗に伴い埋立深さが増えることに伴う影響などが確認でき、さらに効果と施工費用の点が満足されれば実用性も高くなるといえます。現時点までの水質データからは安定化促進が推測されています。
  • 長期的に効果を見なければならないので、たいへんだとは思いますが、当該研究期間終了後も是非取り組みを続けていただきたい。安定化期間の短縮という良い効果に関する指標にのみ着目することなく、起こるかもしれないなんらかの負の影響にも目を配っていただきたいと考えます。そのためにも、残された研究期間内に、これまでの結果をもとにして、負の影響の可能性をリストアップし、それぞれの可能性の評価指標についても明らかにしておいていただきたいと思います。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?