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掲載日:2024年3月26日

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答申第98号 「平成9年2月10日付けで提起のあった仮換地指定処分に関する審査請求についての裁決書」の部分開示決定(平成18年9月27日)

答申第98号(諮問第109号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成17年7月14日付けで行った、「平成9年2月10日付けで提起のあった仮換地指定処分に関する審査請求についての裁決書」(以下「本件文書」という。)を部分開示とした決定(以下「本件処分」という。)のうち、次に掲げる部分は開示すべきであるが、その余の決定は妥当である。

  1. 裁決の理由1(4)のうち、1行目から3行目までの不開示部分
  2. 裁決の理由1(7)(エ)のうち、1行目から2行目までの不開示部分

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成17年7月1日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「公開条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「平成9年2月10日付『川口市の仮換地指定に対する審査請求』に対して平成17年5月に県の裁決を出している裁決書謄本一式」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2) これに対し、実施機関は、本件請求に対する公文書を本件文書と特定した上で、平成17年7月14日付けで次のアに示す情報を除いて開示するとの部分開示決定を行い、次のイに示す理由を付して申立人に通知した。

  • ア 開示しない情報
    審査請求の要旨及び裁決の理由の一部
  • イ 開示しない理由
    法人の事業用資産に関する事項であって、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報であり、公開条例第10条第2号に該当するため。

(3) 申立人は、平成17年9月9日付けの異議申立書により、実施機関に対し、不開示部分を開示する決定を求める趣旨の異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成17年9月14日付けで実施機関から公開条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に対し、実施機関から、平成17年10月12日に「開示決定等理由説明書」(以下「理由説明書」という。)の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成17年12月15日に、実施機関から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 本件処分は、公開条例の解釈適用を誤ったものであり全部公開をすべきである。

(2) 決定通知書に記載の開示しない理由は、その理由として掲げている公開条例の第10条の各号に該当しない。

(3) 決定通知書に記載の開示しない理由には、適法に処分理由が明示されていないので、埼玉県行政手続条例(以下、「手続条例」という。)第8条の規定に違反し本件処分は無効である。

4 実施機関の主張の要旨

異議申立てに対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1)公開条例の解釈適用について

本件処分は、公開条例第10条第2号の規定により不開示とされている情報の部分に限って不開示とし、その他はすべて公開条例第11条第1項の規定により開示しているものであり、公開条例の解釈適用に誤りはない。
不開示とした情報は、当該法人の事業用資産に関する次の情報であって、開示することにより当該法人の事業活動が害されるおそれがあるものである。

  • ア 当該法人に対して指定された仮換地及び従前地に関する、公にされていない情報
  • イ 当該法人が使用している土地の地積及び使用の権原等の事業用資産に関する内部管理情報
  • ウ 当該法人の仮換地に対する評価を示している内部管理に関する情報
  • エ 当該法人の営業戦略を示している情報
  • オ 審査請求における主張の主な部分であり、当該法人の法務戦略の一端を示している内部管理に関する情報

(2)手続条例の適用について

本件処分は、公開条例の規定に基づいているとともに、手続条例の規定に基づいて部分開示の理由を書面により根拠条項と該当する事実を示しているので、手続条例にも則ったものである。したがって、本件処分は瑕疵のない適法なものであり、有効である。

5 審査会の判断

(1)本件文書について

本件文書は、川口市が特定の法人に対して行った川口都市計画事業芝東第4土地区画整理事業に係る仮換地指定について、特定の法人が、実施機関に対して平成9年2月10日付けで行った、行政不服審査法に基づく審査請求(以下「原審査請求」という。)に係る裁決書である。
なお、当仮換地指定は、特定の法人が本件区画整理事業地内で経営している大規模小売店舗の敷地及び駐車場のための法人所有地について行われたものである。

(2)公開条例第10条第2号の該当性について

公開条例第10条第2号は、法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものについては、原則として開示しない旨を規定している。
この「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、法人等の生産技術、営業、事業活動等が損なわれるものの他、公にすることにより法人等の名誉が侵害され、又は社会的信用若しくは社会的評価が低下するものを広く含むものと解される。
そして、これに該当するか否かの具体的な判断については、当該情報の内容、性質をはじめとして、当該法人等又は事業を営む個人の事業活動における当該情報の位置付け等により総合的に判断すべきである。
実施機関は、理由説明書において、本件文書のうち審査請求の要旨及び裁決の理由の一部が、特定の法人の事業用資産に関する情報で、開示することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報であることから、公開条例第10条第2号に該当し、開示すべきでないと主張している。以下この点について検討する。

  • ア 審査請求の要旨の一部
    実施機関は、本件文書の「審査請求の要旨」には、原審査請求の原因となった特定の仮換地指定処分の内容と原審査請求人の主張の要旨が記載されており、実施機関が不開示とした部分は、当該法人の特定の法人所有地(以下「本件従前地」という。)及びその法人所有地に指定された仮換地(以下「本件仮換地」という。)に関する情報や営業戦略及び法務戦略の一端を示している情報であり、これらの情報は、開示することにより当該法人の事業活動が害されるおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当すると主張する。
    当審査会で見分したところ、審査請求の要旨で不開示とされた部分は、本件仮換地の街区番号及び画地番号と原審査請求の理由とその理由をさらに補強する反論書の主旨が記述されている部分である。
    原審査請求の理由には、本件仮換地が立地要件に関して当該法人の営業戦略に合致しないため原審査請求に及んだ主旨が記述されている。
    当該法人の事業活動を行うための立地要件に関する情報は、本件従前地及び本件仮換地に関する情報を含めて特定の当該法人の営業戦略の一部をなすものと認められ、公にされることによって、今後の事業活動に支障をきたすおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
    さらに、不開示とされた部分には、当該法人の私法上の契約に関する情報が含まれており、同様の理由から、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
  • イ 裁決の理由の一部
    実施機関は、本件文書の「裁決の理由」には、原審査請求の主張に対する審査庁としての実施機関の決定理由が記載されており、実施機関が不開示とした部分は、本件従前地及び本件仮換地に関する情報や営業戦略及び法務戦略の一端を示している情報であり、これらの情報を開示することにより当該法人の事業活動が害されるおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当すると主張する。
    当審査会で見分したところ、裁決の理由で不開示とされた部分は、本件従前地の形状及び仮換地の地積等に関する情報、原審査請求人の審査請求理由と反論書の主旨、それに対応する審査庁の決定理由が記述されている部分である。
    原審査請求の理由には、本件仮換地が立地要件に関して当該法人の営業戦略に合致しないため原審査請求に及んだ主旨が記述されている。
    当該法人の事業活動を行うための立地要件に関する情報は、本件従前地及び本件仮換地に関する情報を含めて特定の法人の営業戦略の一部をなすものと認められ、公にされることによって、今後の事業活動に支障をきたすおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
    さらに、不開示とされた部分には、当該法人の私法上の契約に関する実施機関の決定理由も含まれているが、同様の理由から、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
    一方、裁決の理由1(4)及び(7)(エ)中に記載されている本件従前地の形状に関する記載部分については、開示することにより、本件従前地に関する営業戦略の一部が明らかとはならないことから、今後の事業活動が害されるおそれはなく、公開条例第10条第2号に該当しない。

(3)その他

申立人は、本件処分の「開示しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、手続条例第8条の規定に違反している旨主張する。
本件処分の「開示しない理由」には、公開条例の根拠条文及びその条文該当となる根拠が記載されており、申立人は処分理由を了知し得ると考えられることから、規定に違反しているとは認められない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
飯塚 英明、岩渕 美智子、大橋 豊彦

審議の経過

年月日

内容

平成17年9月14日

諮問を受ける(諮問第109号)

平成17年10月12日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年12月15日

実施機関より意見聴取及び審議(第一部会第8回審査会)

平成18年1月27日

審議(第一部会第9回審査会)

平成18年2月16日

審議(第一部会第10回審査会)

平成18年3月17日

審議(第一部会第11回審査会)

平成18年4月24日

審議(第一部会第12回審査会)

平成18年5月30日

審議(第一部会第13回審査会)

平成18年6月19日

審議(第一部会第14回審査会)

平成18年7月10日

審議(第一部会第15回審査会)

平成18年9月27日

答申

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