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掲載日:2021年3月30日

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答申第109号 「通常学級を担任する教諭が取得している教育に関係する資格、障害児教育の経験が記載されている文書(氏名、取得資格、取得年月日、経験年数)のうち職員調査票」の不開示決定(平成19年2月28日)

答申第109号(諮問第117号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成17年3月8日付けで行った「職員調査票」を不開示とした決定について、公文書の特定に誤りがあるため妥当でなく、改めて公文書の特定をし直した上、開示等の決定をすべきである。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1)異議申立人は、平成17年2月23日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「通常学級を担任する教諭が取得している教育に関係する資格、障害児教育の経験が記載されている文書(氏名、取得資格、取得年月日、経験年数)。」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。

(2)実施機関は、本件開示請求のうち通常学級を担任する教諭が取得している教育に関係する資格が記載されている文書について、職員調査票(以下「本件対象文書」という。)を特定し、平成17年3月8日付けで、条例第10条第1号及び第5号を理由とした不開示決定(以下「本件処分」という。)をし、その旨を異議申立人に通知した。

(3)異議申立人は、平成17年3月13日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件処分について、条例第10条第1号及び第5号には該当せず、その取消しを求めるとの異議申立てを行った。

(4)当審査会は、当該異議申立てについて、平成18年3月23日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5)当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成18年5月31日付けで開示決定等理由説明書の提出を、また、異議申立人から平成18年7月10日に反論書の及び同年12月6日に意見書の提出を受けた。

(6)当審査会は、平成18年8月21日及び同年10月13日に、実施機関の職員から意見聴取を行った。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1)反論書

  • ア 県立養護学校の役割について、養護学校の教諭は、障害のある児童・生徒の教育に関する専門家であり、特別支援教育に関係する免許状、資格は、当該教諭が特別支援教育に関する専門的知見を持っていることの1つの基準である。
    養護学校の教諭は、地域の学校を巡回して、通常学級に在籍する発達障害の児童・生徒の教育に関して、通常学級を担任する教諭の相談を受け、指導・助言をしている。その専門性を担保する資格、免許等の保有の有無を明らかにしても、当該教諭が不利益を被る等の問題が発生するおそれはない。
    県教育委員会は、特別支援教育の推進のため、発達障害に関する専門的知見を有する教諭を養成する必要がある。養成できたかどうかは、関係する資格・免許状を取得しているかによって把握される。
    巡回相談を行う教諭に関しては、関係する資格・免許状等は職務遂行上必要な情報、職務遂行能力があることを証明する情報であり、公開が予定されている情報である。
  • イ 人事管理について、発達障害の児童・生徒に関する教育の充実には、発達障害についての知見を有する教諭を養成していくことが重要である。そのために、どのように人事管理が実施されているのかが、開示理由説明書の中で明らかにされることが必要である。公平かつ円滑な人事の確保は当然なことである。障害のある児童・生徒や保護者にとって、発達障害を理解する意欲のある教諭が通常学級を担任することが、適切で、公平・円滑な人事である。
    必要な教科・種別の教員免許のほかに、教育内容の高度化、より専門性の高い個別教育計画の作成が教諭に求められるようになり、教諭の人事も、それを踏まえて行われる必要がある。
  • ウ 異議申立人は、教育に関係する資格・免許状の有無を開示すべきと主張しているのであって、教育に関係しないと思われるものは求めていない。
  • エ 以上のとおり、条例10条1号ただし書イ、ロ及びハに該当し、同条5号に該当しないため、不開示としたことにつき理由がないので、公開すべきである。

(2)意見書

  • ア 本件開示請求の「通常学級を担任する教諭が取得している資格」は、市町村立学校の通常学級を担任する教諭に係るものである。
  • イ 「通常学級を担任する教諭」については、実施機関が文部科学省に提出した資料(平成17年度特別支援教育課程等研究協議会LD・ADHD・高機能自閉症等教育部会に提出したもの)に記載してある学校の教諭に絞り込むことも可能である。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである

(1)本件処分について、本件対象文書が、ア個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当すること、イ人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあり、条例第10条第5号に該当することから開示しないこととした。

(2)本件対象文書である職員調査票(県立の高等学校及び盲・ろう・養護学校分)には、教諭の氏名、資格・免許の記載がある。これは、必要な教科・種別の教員免許状がなければ教諭として発令できないため、任命権者としてその確認をするために必要である。しかし、どの教諭がどのような資格・免許を有しているかは個人に関する情報であり、不開示とした本件処分は妥当である。

5 審査会の判断

(1)本件対象文書について

本件対象文書は、実施機関から提出された開示決定等理由説明書等から、県立の高等学校並びに盲学校、ろう学校及び養護学校分に係る職員調査票であると認められる。

(2)本件対象文書の特定について

  • ア 実施機関の説明によれば、本件開示請求に対する開示・不開示の決定を実際に処理したのが県教育局県立学校課(現県立学校人事課)であり、同課は主に県立学校に係る事務を所掌することから、実施機関は、本件開示請求のうち「通常学級を担任する教諭が取得している教育に関係する資格」に係る公文書として本件対象文書を特定し、本件処分を行ったとのことである。
    また、実施機関から、ア異議申立人の言う「通常学級」は特殊学級と対となる表現と理解するが、埼玉県内において、特殊学級は、小学校及び中学校には設置されているが、高等学校には設置されていないこと、イ本件処分をするに当たり、本件開示請求の内容について、異議申立人とは特に公文書の特定に向けた確認を行っていないこと、ウ本件処分後において、同課は主に県立学校に係る事務を所掌しており、県立の高等学校並びに盲学校、ろう学校及び養護学校に係るものしか対応できない旨説明したが、その際異議申立人から小学校、中学校への言及はなかったことの説明があった。
  • イ 異議申立人の求める「通常学級を担任する教諭が取得している資格」について、当審査会から異議申立人に対して説明を求めたところ、異議申立人からは、「市町村立学校の通常学級を担任する教諭が取得している資格」であるとの回答を得た。
    そこで、当審査会において、実施機関が発行する学校便覧で「市町村立学校」を確認したところ、埼玉県内の市町村立学校は小学校、中学校、市立の高等学校(埼玉県内には9校)等となっており、当然のことながら県立の高等学校等はこれに該当しないので、実施機関が本件対象文書を本件開示請求に係る公文書として特定したことは、妥当でないと認められる。
  • ウ 当審査会は、基本的には、実施機関が開示請求者の求める公文書を特定した上当該公文書について行った開示・不開示の判断の是非について審議するものであるが、本件処分では、現に実施機関が特定した公文書は異議申立人が求める公文書ではなく、いまだ当該公文書は特定されていないことから、現時点で、開示・不開示の判断の是非について審議することはできない。
    したがって、当審査会は、実施機関に対して、異議申立人が求める市町村立学校の通常学級を担任する教諭が取得している資格が記載されている公文書を検索し、改めて特定し直すことを求めるものである。
  • エ なお、以上のことは、本件処分を行うに当たって本件開示請求の内容の把握が十分でなかったことが原因で生じたと考えられ、今後、実施機関においては、公文書の特定が適切に行われるよう、開示請求されている公文書がいかなるものか、その把握に一層努めるよう求める。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
城口美恵子、田村泰俊、山口道昭

審議の経過

年月日

内容

平成18年3月23日

諮問を受ける(諮問第117号)

平成18年5月31日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成18年7月10日

異議申立人から反論書を受理

平成18年8月21日

実施機関からの意見聴取及び審議(第三部会第17回審査会)

平成18年9月14日

審議(第三部会第18回審査会)

平成18年10月13日

実施機関からの意見聴取及び審議(第三部会第19回審査会)

平成18年11月24日

審議(第三部会第20回審査会)

平成18年12月6日

異議申立人から意見書を受理

平成18年12月15日

審議(第三部会第21回審査会)

平成19年1月19日

審議(第三部会第22回審査会)

平成19年2月20日

審議(第三部会第23回審査会)

平成19年2月28日

答申

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