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掲載日:2024年3月26日

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答申第103号「埼玉県高等学校長協会から埼玉県立浦和高等学校長に対して通知された同協会の会費納付案内書及び会費の受領書」の不開示決定(平成18年11月28日)

答申第103号(諮問第101号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成15年7月17日付けで行った「平成14年3月頃に埼玉県高等学校長協会から埼玉県立浦和高等学校に対して通知された同協会の会費納付案内書及びこの会費の受領書」及び「平成15年3月頃に埼玉県高等学校長協会から埼玉県立浦和高等学校に対して通知された同協会の会費納付案内書及びこの会費の受領書」についての不開示決定は妥当ではない。
2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人は、平成15年7月2日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、以下の公文書の開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。

  • ア 平成14年3月頃に埼玉県高等学校長協会から埼玉県立浦和高等学校長に対して通知された同協会の会費納付案内書(平成15年6月27日の情報公開の際に、私に提示されたもの)及びこの会費の受領書
  • イ 平成15年3月頃に埼玉県高等学校長協会から埼玉県立浦和高等学校長に対して通知された同協会の会費納付案内書及びこの会費の受領書
  • ウ 平成15年4月1日から平成15年7月2日までの間の浦和高等学校長の出張に係る書類すべて(出張命令書及び出張報告書、出張旅費等請求書及び受領書等)

(2) 実施機関は、(1)のア及びイについて「当該公文書は保有していない」ことを理由として異議申立人に対し平成15年7月17日付けで不開示決定(以下「本件不開示決定」という。)を行った。
なお、埼玉県立浦和高等学校長(以下「浦和高等学校長」という。)は、公文書不開示決定通知書の送付にあたって、埼玉県高等学校長協会(以下「校長協会」という。)から受け取っていた「平成14年度総会の開催について(通知)(埼高長第41号)」、「平成14年度新旧会員歓送迎会の開催について(ご案内)(埼高長第42号)」及び「平成14年度諸会費集計表〈県立学校用〉」の写しに「情報提供」と書いた付箋を貼って同封した。

(3) 異議申立人は、本件不開示決定は条例第2条第2項の「公文書」の定義に違反するものであるとして、平成15年7月28日付けで実施機関に異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて平成17年3月29日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成18年1月26日付けで開示決定等理由説明書(以下「理由説明書」という。)の提出を受け、また、平成18年7月11日に実施機関の意見を聴取した。

(6) 当審査会は、平成18年2月24日付けで申立人から反論書の提出を受け、また、平成18年8月1日に申立人の口頭意見陳述を聴取した。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人の主張はおおむね次のとおりである。

(1) 実施機関は、異議申立人が開示請求した文書は校長協会の文書であって、情報提供を行ったものは、事務部長が個人的に保有していたものである、との説明であったが、これは条例第2条第2項の「公文書」の定義に違反したものであり、条例第10条(開示義務)違反である。実施機関は、理由説明書で条例第2条の一般的な説明をするのみであり、本件不開示決定処分の理由の説明としては不十分である。

(2) 校長協会からの開催通知書を、埼玉県立学校文書管理・公印規程に基づかず、自らの手元に保管する行為が許されると、校長等の職員の判断で私文書と公文書を分けることが可能となり、埼玉県立学校文書管理・公印規程第5条第1項各号の規定に違反した到達文書の収受方法等を認めていることになる。

(3) 実施機関は校長協会の会議を「公務」としており、校長が勤務時間中に公費を使用している。一方で、不開示決定の説明として、この業務に対する開催通知書を「公文書と認識せず」としているのは矛盾である。

(4) なお、当審査会で、異議申立人に異議申立ての趣旨を確認したところ、「開示請求した文書は公文書であるから開示せよ」とのことであった。

4 実施機関の主張の要旨

本件異議申立てに対して、実施機関の主張はおおむね次のとおりである。

(1) 本件開示請求の請求時に、担当課所において当該文書を保有していなかったため、不開示決定をしたものである。

(2) 当該文書について、浦和高等学校長が任意団体である校長協会からの文書であったため、公文書とは認識せず、埼玉県立学校文書管理・公印規定に基づく事務処理手続きによらず、自ら手元に保管し、共有キャビネットや書庫等に保管していなかった。したがって、当該文書は、公文書としては不存在であったので、本件不開示決定は妥当である。

5 審査会の判断

(1) 「平成14年3月頃」及び「平成15年3月頃」に「校長協会から浦和高等学校長に対して通知された同協会の会費納付案内書」について

  • ア 対象文書について
    異議申立人が開示請求したものは、校長協会から会員である各高等学校長等あてに会費の納付に関して通知された文書である。実施機関の説明では、「平成14年3月頃」及び「平成15年3月頃」の「会費納付案内書」に当たる対象文書を浦和高等学校長は受け取っていることを前提としている。そのうち、少なくとも、異議申立人が開示請求した「平成14年3月頃」の「会費納付案内書」に当たる対象文書は、異議申立人が浦和高等学校長から写しの提供を受けた「平成14年度総会の開催について(通知)(埼高長第41号)」、「平成14年度新旧会員歓送迎会の開催について(ご案内)(埼高長第42号)」及び「平成14年度諸会費集計表〈県立学校用〉」であることについては争いがない。
  • イ 対象文書の公文書性について
    高等学校において、文書は埼玉県立学校文書管理規則及び文書管理・公印規程(以下「文書管理規則等」という。)に基づき、収受、起案決裁、保管、廃棄されるものである。実施機関は、対象文書について「浦和高等学校長が任意団体である校長協会からの文書であったため、公文書とは認識せず、埼玉県立学校文書管理・公印規程に基づく事務処理手続きによらず、自ら手元に保管し、共有キャビネットや書庫等に保管していなかった。」と主張するのみであるが、この主張は対象文書が公文書であるかどうかの判断には関わりがない。
    公文書であるかどうかは客観的に決まるべきものであって、文書管理規則等に基づき文書として取り扱われたものが公文書となるわけではない。
    実施機関から提出された資料を見分したところ、校長協会は独立した事務局を持った任意団体である。しかし、会員は個人の立場で加入するものとは認められず、職としての高等学校長である。すると、対象文書は高等学校長個人にあてられたものとは認められず、高等学校長という職あてに出されたものであり、公文書となるべきものである。
    したがって、異議申立人が開示請求した「平成14年3月頃に校長協会から浦和高等学校長に対して通知された同協会の会費納付案内書」については、「平成14年度総会の開催について(通知)(埼校長第41号)」、「平成14年度新旧会員歓送迎会の開催について(ご案内)埼高長第42号」及び「平成14年度諸会費集計表〈県立学校用〉」を公文書として特定し、開示すべきである。
    また、「平成15年3月頃に校長協会から浦和高等学校長に対して通知された同協会の会費納付案内書」については、実施機関の説明では浦和高等学校長が対象文書を受け取っていることを前提としていることから、浦和高等学校長が校長協会から受け取った文書を公文書として特定し、開示決定等をすべきである。

(2) 「会費の受領書」について

「会費の受領書」については、会費を現金で支払った場合に、会費を受領した旨を証する書面、一般的には領収書が発行されるものであり、また、銀行振込みで支払った場合であっても銀行から領収書を発行されるものである。「平成14年度諸会費集計表〈県立学校用〉」に「学校で負担するもの」、「個人で負担するもの」及び「公費で負担」の負担の区分の記載がされており、少なくとも公費での負担が想定されているものであるから、公費で支出した場合においては当然領収書等の証憑書類が発行されるべきものである。
この点について、実施機関は不開示の理由の説明で、校長協会からの「会費納付案内書」を浦和高等学校長が「公文書とは認識せず」と主張するのみであって、公文書でないものにより支払った会費の受領書は当然公文書でないとして
いるようである。しかし、浦和高等学校長の職あてに出された「会費納付案内書」は上記(1)のとおり公文書であり、「会費の受領書」を不開示決定したことについては、その前提が違っている。
したがって、「会費の受領書」に当たる文書を特定した上で、公文書となるかどうかを改めて判断し、開示決定等をすべきである。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
白鳥敏男、野村武司、渡辺咲子

審議の経過

年月日

内容

平成17年3月29日

諮問を受ける(諮問第101号)

平成18年1月26日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成18年2月27日

異議申立人より反論書を受理

平成18年7月11日

実施機関より意見聴取及び審議(第二部会第13回審査会)

平成18年8月1日

口頭意見陳述及び審議(第二部会第14回審査会)

平成18年9月7日

審議(第二部会第15回審査会)

平成18年10月10日

審議(第二部会第16回審査会)

平成18年11月10日

審議(第二部会第17回審査会)

平成18年11月28日

答申(答申第103号)

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