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掲載日:2024年3月26日

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答申第101号「特定組合との話し合い(記録)」の部分開示決定(平成18年11月28日)

答申第101号(諮問第111号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成17年10月21日付けで行った「平成17年4月7日・○○○○○○組合との話合い記録」(以下「本件文書」という。)の部分開示決定のうち、次の部分は開示すべきではなく、その余については、妥当である。

  1. 1枚目「2 質疑」の1行目団体側の意見、始めから1行目最後までの部分
  2. 2枚目の5行目団体側の意見、始めから5行目最後までの部分

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 開示請求者(実施機関の許可を受け本件異議申立てに参加。以下「参加人」という。)は、平成17年9月9日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「教職員評価に係る職員団体との話し合に関する文書一切」の開示請求(以下「本件請求」という。)をした。

(2)実施機関は、本件請求に対する公文書のうち、○○○○○○組合に係る文書一部を本件文書と特定した上で、個人の氏名を除いて部分開示決定することが適当と判断し、本件文書に含まれる第三者に関する情報について平成17年9月27日付けで、条例第17条第1項の規定による第三者である異議申立人(以下「申立人」という。)に対して、意見書提出の機会を「公文書開示決定等に係る意見照会書」により通知した。

(3)申立人は、平成17年10月3日付けで、開示決定に対する反対の意見があるとして「公文書開示決定等に係る意見書」を実施機関へ提出した。

(4)実施機関は、平成17年10月21日付けで、条例第17条第3項の規定により、公文書開示決定に係る通知書を申立人に送付し、参加人には、公文書部分開示決定通知書を、同日付けで送付した。

(5)申立人は、平成17年11月1日付けで、本件処分を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、本件文書を不開示とすることを求める異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行い、同日付けで、行政不服審査法第34条第2項の規定により、不開示を求める執行停止の申立てを行った。

(6)当審査会は、平成17年11月15日付けで、本件処分について実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(7)当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成17年12月13日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受けた。

(8)当審査会は、平成18年3月17日に実施機関から口頭による意見聴取を行った。

(9)当審査会は、平成18年4月24日に申立人から口頭による意見聴取を行った。

(10)当審査会は、平成18年5月15日に申立人から補充の理由説明の提出を受けた。

(11)当審査会は、平成18年5月30日に参加人から口頭による意見聴取を行った。

(12)当審査会は、平成18年6月5日に申立人から補充の理由説明の提出を受けた。

3 申立人の主張の要旨

申立人の主張は、次のとおりである。
教育委員会が「○○○○○○組合(○○○)との話し合い」という「話し合い」の経過を要約した文書について、申立人である○○○○○○組合(以下「組合」という。)は、意見が誤解されるような形で要約されており、現状のままの文章では、組合の主張が歪んだ形で伝わってしまい、組合の正当な利益を害するおそれがあるため不開示を求める。
なお、申立人は、本件文書の教育委員会が要約した部分について、補充の理由説明により、次の主張をしている。

  1. 教育委員会の要約は、組合が「自己申告制度」を認めているかの印象を与える。(本件文書1枚目「2 質疑」の1行目団体側の意見、始めから12文字目までの部分、以下「対象部分1」という。)
  2. 教育委員会の要約は、組合の意見がねじ曲げられるように要約されている。(本件文書1枚目「2 質疑」の1行目団体側の意見、13文字目から1行目最後までの部分、以下「対象部分2」という。)
  3. 教育委員会の要約は、組合の要求の真意が伝わらないと思う。(本件文書1枚目「2 質疑」の3行目団体側の意見、11文字目から24文字目までの部分、以下「対象部分3」という。)
  4. 教育委員会の要約は、組合の主張の真意が伝わらないことになってしまう。(本件文書1枚目「2 質疑」の4行目団体側の意見、7文字目から4行目最後までの部分、以下「対象部分4」という。)
  5. 教育委員会の要約は、組合の主張が誤解されるように要約している。(本件文書1枚目「2 質疑」の8行目団体側の意見、始めから8行目最後までの部分、以下「対象部分5」という。)
  6. 教育委員会の要約は、組合の真意が伝わらないのであり、問題であると思われる。(本件文書1枚目「2 質疑」の12行目団体側の意見、始めから13行目の最後までの部分、以下「対象部分6」という。)
  7. 教育委員会の要約は、組合の意見をねじ曲げるような形でまとめられ、肝心な主張や意見が消去されている。(本件文書1枚目「2 質疑」の16行目団体側の意見、始めから17行目の最後までの部分、以下「対象部分7」という。)
  8. 教育委員会の要約は、組合の肝心な主張や意見が消却されている。(本件文書1枚目「2 質疑」の18行目団体側の意見、始めから18行目24文字目までの部分、以下「対象部分8」という。)
  9. 教育委員会の要約は、組合の意見をねじ曲げるような形でまとめられ、肝心な主張や意見が消却されている。(本件文書1枚目「2 質疑」の20行目団体側の意見、
    11文字目から21行目の12文字目までの部分、以下「対象部分9」という。)
  10. 教育委員会の要約は、組合の肝心な主張や意見が消却されている。(本件文書1枚目「2 質疑」の24行目団体側の意見、14文字目から24行目最後までの部分、以下「対象部分10」という。)
  11. 教育委員会の要約は、組合の肝心な主張や意見が消却されている。(本件文書1枚目「2 質疑」の25行目団体側の意見、17文字目から26行目の最後までの部分、以下「対象部分11」という。)
  12. 教育委員会の要約は、組合の意見をねじ曲げるような形でまとめ、肝心な主張や意見が消却されている。(本件文書2枚目の5行目団体側の意見、始めから5行目最後までの部分、以下「対象部分12」という。)

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、次のとおりである。
情報公開請求のあった一連の公文書は、教育委員会の進める教職員の新たな人事評価制度の導入に関して、職員団体(組合)からの要求、意見とそれに対する教育委員会の対応に関するものであり、本件文書は、平成17年4月7日に行われた話し合いの職員団体側(組合)の主張と教育委員会側の回答の概要を記したものである。
開示決定にあたっては、仮に、一般の県民に公開されたとしても、職員団体(組合)の正当な利益を害するものではないと判断した。
教育委員会は、県民に対して公正で透明な開かれた県政を推進する立場にあり、政策を推進する上での職員団体(組合)との話し合いも、県民から求められれば公開すべき情報である。
以上のことから、開示決定処分とした原処分は妥当である。

5 参加人の主張の要旨

参加人が、主張している内容はおおむね次のとおりである。

(1)「○○○○○○組合(○○○)との話し合い」の記録は条例上の法人等に関する情報といえるか。

本件文書の作成者及び名義人は教育委員会であり同上組合ではない。判例においても、財団法人徳島新聞社(徳島地裁平成4年11月27日判決)学校法人帝京大学(最高裁平成13年11月27日判決)両法人作成名義に係る財務諸表であり、審査会答申においても、医療法人(大阪府情報公開審査会平成16年12月8日答申)の同法人作成名義に係る決算書である。それに対し本件文書は教育委員会と組合の新しく導入される人事制度について相互の発言の記録に過ぎない。記録内容の齟齬については、教育委員会に訂正を求めるか、自ら作成した交渉記録のフォルダーへの添付請求をすればいいことで、閉ざすことを指向すべきではない。

(2)本件文書の条例第10条第2号非該当

本件文書が条例第10条第2号に係る法人等に関する情報であったとしても、同条項に該当しないと思料する。前記(1)の最高裁判決によれば「単に当該情報が通常他人に知られたくないというだけでは足りず、当該情報が開示されることによって当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されることを要すると解すべきであり、また、そのことが客観的に明らかでなければならないと解される。」としている。翻って反論書をみると、「私たちの意見の内容が、世間の常識を逸脱した非常識なことをあたかも要求しているかのような印象をあたえてしまう」としているがそのことを具体的に裏付けることをうかがわせる特別の事情の証明もなされていない。
したがって、開示されてしかるべきだと思料する。

6 審査会の判断

(1)本件文書について

本件文書は、教職員の人事評価制度の導入に関して職員団体(組合)からの要求、意見とそれに対する教育委員会の対応に関するもののうち、平成17年4月7日に行われた組合と教育委員会の話し合いを教育委員会が要約した情報であり、この情報は、「団体側」(組合)と「県側」(教育委員会)とに分け、質疑と応答として整理されている。

(2)本件処分と異議申立て等について

本件処分は、本件文書中の特定個人が識別できる個人に関する情報を条例第10条第1号に該当するものとして不開示とし、その余については開示する公文書部分開示決定処分であるが、本件異議申立ては、本件文書に記載された教育委員会と組合の話し合いを要約した情報を開示しないよう求めるものであって、本件処分の不開示部分を争うものではない。
なお、開示の実施に先立ち、申立人から本件異議申立てと同時に執行停止の申立てがあり、実施機関が本件処分の執行を停止したことにより、本件文書の開示は行われていない。

(3)条例第10条第2号の該当性について

  • ア 申立人は、本件文書が公にされた場合、組合の正当な利益を害するおそれがあると主張していることから、当審査会は、条例第10条第2号の該当性について検討する。
  • イ 条例第10条第2号は「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」を不開示情報として規定している。
  • ウ 当審査会が、教育委員会が要約した本件文書を見分し、申立人の主張、反論書及び補充の理由説明書に基づき検討したところ、対象部分1、対象部分2及び対象部分12については、教育委員会の要約が組合の意見と反するものであり、当該部分を公にした場合、組合の主張が誤解され、組合の信用を失うことになり、組合の正当な利益を害するおそれがあると認められるため、条例第10条第2号に該当する。
    したがって、実施機関が「一般の県民に公開されたとしても、組合の正当な利益を害するものではない」と判断したことは、是認することができない。
  • エ 次に、対象部分3、対象部分4、対象部分6、対象部分7、対象部分9、対象部分10及び対象部分11について見分したところ、教育委員会の要約は、組合の意見と反するものとはいえず、当該部分を公にしたとしても、組合の主張が誤解され組合の信用を失うことにならないことから、組合の正当な利益を害するおそれがないと認められるため、条例第10条第2号には該当しない。
    したがって、実施機関が「一般の県民に公開されたとしても、組合の正当な利益を害するものではない」と判断したことは、是認することができる。
  • オ 前記ウ、エ以外の対象部分5及び対象部分8については、教育委員会の要約が、学校の実情を記述しているだけであり、当該部分を公にしたとしても、組合の主張が誤解されることはなく、組合の正当な利益を害するおそれがないと認められるため、条例第10条第2号には該当しない。
    したがって、前記エと同様に実施機関が「一般の県民に公開されたとしても、組合の正当な利益を害するものではない」と判断したことは、是認することができる。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
飯塚英明、大橋豊彦、城口美恵子

審議の経過

年月日

内容

平成17年11月15日

諮問を受ける(諮問第111号)

平成17年12月13日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成18年1月19日

異議申立人より反論書を受理

平成18年3月17日

実施機関より意見聴取及び審議

平成18年4月24日

異議申立人より意見聴取及び審議
(第一部会第12回審査会)

平成18年5月30日

参加人より意見聴取及び審議
(第一部会第13回審査会)

平成18年6月19日

審議(第一部会第14回審査会)

平成18年9月7日

審議(第一部会第16回審査会)

平成18年9月27日

審議(第一部会第17回審査会)

平成18年10月26日

審議(第一部会第18回審査会)

平成18年11月28日

答申(答申第101号)

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総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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