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掲載日:2024年4月2日

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答申第96号 「平成9年2月10日付けで特定の法人から提起された審査請求書」の部分開示決定(平成18年9月27日)

答申第96号(諮問第104号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成17年4月21日付けで行った、「平成9年2月10日付けで特定の法人から提起された審査請求書」(以下「本件文書」という。)を部分開示とした決定(以下「本件処分」という。)のうち、次に掲げる部分は開示すべきであるが、その余の決定は妥当である。

(1) 6.審査請求の理由(2)のうち、3行目1文字目から4行目18文字目まで(文字数は、句読点及び括弧の記号を含み、空欄を含まない。)

(2) 別紙図面1

(3) 証拠物件等(埼玉県川口市の仮換地指定通知書の写し)のうち、仮換地位置図及び仮換地明細図

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成17年4月11日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「公開条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「平成8年12月2日に川口市より仮換地指定があり、この仮換地指定に対して特定の法人より申立てのあった審査請求の内容及びその後の県の対応、折衝内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2) これに対し、実施機関は、本件請求のうち平成8年12月2日に川口市より仮換地指定があり、この仮換地指定に対して特定の法人より申立てのあった審査請求の内容に対する公文書を本件文書と特定した上で、平成17年4月21日付けで次のアに示す情報を除いて開示するとの部分開示決定を行い、次のイに示す理由を付して申立人に通知した。

  • ア 開示しない情報
    • (1) 法人の代表者の印影
    • (2) 法人の代表者の年齢
    • (3) 審査請求の理由(2)の一部
    • (4) 図面1及び2
    • (5) 証拠物件等(埼玉県川口市の仮換地指定通知書の写し)の一部
  • イ 開示しない理由
    • (1)、(3)ないし(5) 公開条例第10条第2号に該当する。
    • (2) 公開条例第10条第1号に該当する。

(3) 申立人は、平成17年5月17日付けの異議申立書により、実施機関に対し、不開示部分を開示する決定を求める趣旨の異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成17年5月26日付けで実施機関から公開条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に対し、実施機関から、平成17年7月29日に「開示決定等理由説明書」(以下「理由説明書」という。)の提出を、平成17年9月9日付けで申立人から反論書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成17年12月15日に、実施機関から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 本件処分は、公開条例の解釈適用を誤ったものであり全部公開をすべきである。

(2) 決定通知書に記載の開示しない理由は、その理由として掲げている公開条例の第10条の各号に該当しない。

(3) 決定通知書に記載の開示しない理由には、適法に処分理由が明示されていないので、埼玉県行政手続条例(以下「手続条例」という。)第8条の規定に違反し本件処分は無効である。

(4) 申立人は、自己の所有する土地の仮換地の使用・収益開始ができないことにより、健康、生活及び財産が既に侵害されている上、建物の老朽化に起因する生命の危険にさらされている。
理由説明書によると、公開条例第10条の各号に該当することが不開示の理由としているが、公開の目的文書は、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報であるので、理由説明書に記載する非公開理由を否認の上、全部の公開を求める。

4 実施機関の主張の要旨

異議申立てに対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1)公開条例の解釈適用について

本件処分は、公開条例第10条第1号又は第2号の規定により不開示とされている部分を不開示とし、その他を開示しているものであり、公開条例の解釈適用に誤りはない。開示しない理由は、次のとおりである。

  • ア 法人の代表者の印影
    印影は、法人の対外活動において重要な意義を有するものであって、開示することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な理由を害するおそれがあるものであり、公開条例第10条第2号に該当する。
  • イ 法人の代表者の年齢
    年齢は、個人に関する情報であって、開示することにより、個人の権利利益を害するおそれがあるものであり、公開条例第10条第1号に該当する。
    本件処分では、法人の代表者の氏名は、商業登記簿の登記事項であるため、公開条例第10条第1号ただし書イに該当し開示したものであるが、法人の代表者の年齢は、登記事項ではないため、同号ただし書イには該当しない。
  • ウ 審査請求の理由(2)の一部
    不開示とした情報は、当該法人の事業用資産及び仮換地に関する情報や営業戦略及び法務戦略の一端を示している情報であって、これらの情報は、開示することにより当該法人の事業活動が害されるおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当する。
    特に、仮換地の情報については、当該法人の財産状況に関する情報で、登記されていない未成熟なものであり、開示することにより、競合他社の隣接地への進出を誘発するなどのおそれがあることから、不開示としたものである。
  • エ 図面1及び2
    これらの図面は、公にされていない当該法人の事業用資産に関する情報であって、また、仮換地を不服とする当該法人の営業戦略、法務戦略等を類推することが可能となる内部管理情報であって、開示することにより当該法人の事業活動が害されるおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当する。
  • オ 証拠物件等(埼玉県川口市の仮換地指定通知書の写し)の一部
    不開示とした情報は、当該法人の仮換地の情報であり、上記ウと同様に、登記される事項ではなく、公にされていないものであり、仮換地を不服とする当該法人の営業戦略、法務戦略等を類推することが可能となる内部管理情報であって、開示することにより当該法人の事業活動が害されるおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当する。

(2) 手続条例の適用について

本件処分は、公開条例の規定に基づいているとともに、手続条例の規定に基づいて部分開示の理由を書面により根拠条項と該当する事実を示しているので、手続条例にも則ったものである。
したがって、本件処分は瑕疵のない適法なものであり、有効である。

5 審査会の判断

(1)本件文書について

本件文書は、川口市が特定の法人に対して行った川口都市計画事業芝東第4土地区画整理事業に係る仮換地指定について、特定の法人が、実施機関に対して平成9年2月10日付けで行った、行政不服審査法に基づく審査請求(以下「原審査請求」という。)に係る審査請求書である。
なお、当仮換地指定は、特定の法人が本件区画整理事業地内で経営している大規模小売店舗の敷地及び駐車場のための法人所有地について行われたものである。

(2)公開条例第10条第1号の該当性について

法人の代表者の年齢は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、公開条例第10条第1号に該当することが認められる。
なお、同号ただし書イないしハにも該当しないことは明らかである。

(3)公開条例第10条第2号の該当性について

公開条例第10条第2号は、法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものについては、原則として開示しない旨を規定している。
この「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、法人等の生産技術、営業、事業活動等が損なわれるものの他、公にすることにより法人等の名誉が侵害され、又は社会的信用若しくは社会的評価が低下するものを広く含むものと解される。
そして、これに該当するか否かの具体的な判断については、当該情報の内容、性質をはじめとして、当該法人等又は事業を営む個人の事業活動における当該情報の位置付け等により総合的に判断すべきである。
実施機関は、本件文書を不開示とした部分のうち、法人の代表者の年齢以外は、特定の法人に関する情報であって、開示することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、公開条例第10条第2号に該当するため、開示すべきでないと主張しているので、以下この点について検討する。

  • ア 法人の代表者の印影
    本件文書に押印された印影は、当該法人の代表取締役印であって、記載事項の内容が真正なものであることを示す、認証的な機能を有する性質のものであり、これが公にされた場合には、当該法人の各種経理書類や証明書類等の作成に悪用されるなど、当該法人の正当な利益が害されるおそれがあり、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
  • イ 審査請求の理由(2)の一部
    実施機関は、本件文書の「審査請求の理由(2)」には、原審査請求を行った理由が記載されており、実施機関が不開示とした部分は、当該法人の特定の法人所有地(以下「本件従前地」という。)及びその法人所有地について指定された仮換地(以下「本件仮換地」という。)に関する情報や営業戦略及び法務戦略の一端を示している情報であり、これらの情報を開示することにより当該法人の事業活動が害されるおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当すると主張する。
    当審査会で見分したところ、審査請求の理由(2)で不開示とされた部分は、本件仮換地が、立地要件に関して当該法人の営業戦略に合致しないため、原審査請求に及んだことが記述されている部分である。
    当該法人の事業活動を行うための立地要件に関する情報は、本件従前地及び本件仮換地に関する情報を含めて特定の法人の営業戦略の一部をなすものと認められ、公にされることによって、今後の事業活動に支障をきたすおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
    さらに、不開示とされた部分には、当該法人の私法上の契約に関する情報が含まれており、同様の理由から、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
    一方、本件従前地に関する情報のうち、本件文書の仮換地指定通知書中に記載された地番、地積等は、不動産登記簿に記載されていることから、すでに開示されているところである。
    したがって、審査請求の理由(2)中に記載されている本件従前地の地番、地積及びその仮換地指定通知の文書番号については、これらを開示したとしても本件仮換地に関する情報が不開示であれば、これらの情報だけでは特定の法人の営業戦略は明らかにはならないので、今後の事業活動が害されるおそれはなく、公開条例第10条第2号には該当しない。
  • エ 図面1及び2
    本件文書の図面1及び2は、審査請求書本文に添付された仮換地位置図と仮換地明細図である。
    まず、仮換地位置図は、当審査会で見分したところ、区画整理事業地内の特定地域の字・地番と計画街路、街区番号、画地番号が重ねて記載されている図であり、本件従前地を含む特定の法人の法人所有地が太線で囲まれ、太線内を赤いラインマーカーで塗られている。
    当該仮換地位置図からは、本件仮換地を識別することができないため、これらの情報だけでは特定の法人の営業戦略は明らかにはならないことから、今後の事業活動が害されるおそれはなく、公開条例第10条第2号には、該当しない。
    一方、仮換地明細図は、区画整理事業地内の特定地域の計画街路、街区番号、画地番号、周囲の距離が記載されている図であり、本件仮換地を含む特定の法人の仮換地が太線で囲まれ、太線内を赤いラインマーカーで塗られている。当該仮換地明細図を開示すると、仮換地位置図と突き合わせることによって、当該法人の事業活動を行うための立地要件に関する情報が明らかとなり、公にされることによって、今後の事業活動に支障をきたすおそれがあるため、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
  • オ 証拠物件等(埼玉県川口市の仮換地指定通知書の写し)の一部
    本件文書の証拠物件等は、原審査請求の原因となった仮換地指定通知書の写しである。不開示となった部分は、本件仮換地を含む特定の法人の仮換地の街区番号、画地番号、地積と仮換地指定通知書に添付された仮換地位置図(以下「通知位置図」という。)及び仮換地明細図(以下「通知明細図」という。)である。
    仮換地指定通知書中の特定の法人の仮換地の街区番号、画地番号、地積は、ウの仮換地明細図と同様の理由から、公開条例第10条第2号に該当することが認められる。
    一方、通知位置図は、区画整理事業地内の本件従前地を含む特定地域の字・地番と計画街路、街区番号、画地番号が重ねて記載されている図であり、通知位置図からは、本件仮換地を識別することができないため、これらの情報だけでは特定の法人の営業戦略は明らかにはならないことから、今後の事業活動が害されるおそれはなく、公開条例第10条第2号には、該当しない。
    また、通知明細図は、区画整理事業地内の本件仮換地を含む特定地域の計画街路、街区番号、画地番号、周囲の距離が記載されている図であり、通知明細図からは、本件仮換地を識別することができないため、これらの情報だけでは特定の法人の営業戦略は明らかにはならないことから、今後の事業活動が害されるおそれはなく、公開条例第10条第2号には、該当しない。

(4)その他

申立人は、本件処分の「開示しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、手続条例第8条の規定に違反している旨主張する。
本件処分の「開示しない理由」には、公開条例の根拠条文及びその条文該当となる根拠が記載されており、申立人は処分理由を了知し得ると考えられることから、規定に違反しているとは認められない。
また、申立人は、自己の所有する土地の仮換地の使用・収益開始ができないことにより、健康、生活及び財産が既に侵害されている上、建物の老朽化に起因する生命の危険にさらされている個人的な事情も含め、本件文書で不開示とされた情報が、公開条例第10条各号ただし書に該当するため全部公開するよう主張する。
しかしながら、本件文書で不開示と認められる情報は、人の生命、身体、健康、生活又は財産等を保護するために公にすることが必要な情報とまでは認められないため、公開条例第10条第2号ただし書等には該当しない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
飯塚 英明、岩渕 美智子、大橋 豊彦

審議の経過

年月日

内容

平成17年5月26日

諮問を受ける(諮問第104号)

平成17年7月29日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年9月9日

異議申立人より反論書を受理

平成17年12月15日

実施機関より意見聴取及び審議(第一部会第8回審査会)

平成18年1月27日

審議(第一部会第9回審査会)

平成18年2月16日

審議(第一部会第10回審査会)

平成18年3月17日

審議(第一部会第11回審査会)

平成18年4月24日

審議(第一部会第12回審査会)

平成18年5月30日

審議(第一部会第13回審査会)

平成18年6月19日

審議(第一部会第14回審査会)

平成18年7月10日

審議(第一部会第15回審査会)

平成18年9月27日

答申

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