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掲載日:2024年3月26日

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答申第88号 「埼玉県立川口北高等学校長の平成13年度出勤簿」外4件の不開示決定(平成18年5月30日)

答申第88号(諮問第89号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成13年12月25日付けで行った次の公文書を全部不開示とした決定(以下「本件処分」という。)は妥当でなく、別表に掲げる部分を開示すべきである。

(1)平成13年度出勤簿(校長 ○○○○)(以下「本件対象文書1」という。)

(2)平成13年度休暇願(校長 ○○○○)(以下「本件対象文書2」という。)

(3)平成13年度休暇届(校長 ○○○○)(以下「本件対象文書3」という。)

(4)平成13年度職務専念義務免除願(校長 ○○○○)(以下「本件対象文書4」という。)

(5)平成13年度週休日の指定簿(校長 ○○○○)(以下「本件対象文書5」という。)

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成13年12月10日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、開示請求を行った。

(2) これに対し、実施機関は、本件請求に対する公文書を本件対象文書1から本件対象文書5と特定した上で、いずれも条例第10条第1号に該当するため不開示決定を行うのが適当であると判断し、平成13年12月25日付けの公文書不開示決定通知書により、その旨を申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成14年1月24日付けの異議申立書により、実施機関に対し、条例第10条第1号に該当するとして不開示決定とした処分は、条例違反の行政処分であるとして異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成16年9月16日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に対し、実施機関から、平成17年7月21日に「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を、平成17年8月26日付けで申立人から反論書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成17年12月22日に、実施機関の職員から意見聴取を行った。

(7) 申立人は、平成18年1月20日に、口頭による意見陳述を行い、当審査会は、同日、申立人から資料の提供を受けた。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) ○○校長は、地方公務員法第2条で規定される地方公務員であり、出勤簿、休暇簿、休暇届等は、校長の職務の遂行状況を示す資料であることから、条例第10条第1号ただし書ハで規定される公開すべき情報であり、不開示とすることは条例第10条第1号の拡大解釈であり、条例第1条で規定される「公正で透明な開かれた県政の推進」を阻む行為で、条例違反の行政処分である。

(2) 特に、○○校長は、埼玉県監査委員から、不適正出張旅費の請求・受領者として返還勧告された者であり、このような者の公務の遂行状況に係る資料は、積極的に開示すべきである。

(3) 校長は、学校運営で多くの報告書の作成や学校管理等の義務を負っている者であり、職務専念義務の免除や休暇の取得が多い校長は、校長の職責を果たせない者と思慮される。したがって出勤簿や休暇簿は、校長と校長以外の教職員を分けて考えるべきであり、校長に関しては、開示すべきである。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張する、本件対象文書1から本件対象文書5の不開示理由はおおむね以下のとおりである。

(1)本件対象文書1

出勤簿には、出勤日だけではなく、職務専念義務の免除や休暇の取得等の学校職員の私生活に関する事項が記載されており、公開することにより、当該学校職員の心身の状況や健康状態が判明し、それにより当該個人の私生活に重大な不利益が生じるおそれがあるので、条例第10条第1号に該当する。

(2)本件対象文書2

埼玉県立学校職員服務規程(以下「服務規程」という。)は、産前産後休暇を除く特別休暇を受けようとするときは、休暇願をもって願い出なければならないと規定している。病気休暇願の記載内容は、学校職員の心身の状況や健康状態に関する情報であり、特別休暇は特別な事由がある場合に認められる休暇であって、その願の記載内容は公務員の職務とは直接関係ない学校職員個人の私生活や行動に関する情報であり、条例第10条第1号に該当する。

(3)本件対象文書3

服務規程は、年次休暇又は産前産後休暇を受けようとするときは、休暇届をもって届け出なければならないと規定している。年次休暇は、その事由を限定せず、学校職員の請求に基づいて与えられる有給休暇であり、産前産後休暇は、学校職員の出産の場合に受けられる休暇である。そのような性質の休暇をいつどのくらい取得したかという情報は、公務員の職務とは直接関係ない学校職員個人の私生活や行動に関する情報であり、条例第10条第1号に該当する。

(4)本件対象文書4

職務専念義務の免除は、公務に支障が生じない必要最小限度の範囲で、条例や規則で定められているものであり、公務員の職務とは直接関係ない学校職員個人の私生活や行動に関する情報であり、条例第10条第1号に該当する。

(5)本件対象文書5

週休日の指定簿は、学校職員の完全週休2日制(週40時間勤務制)を実施するに当たり平成7年4月1日から平成13年度まで使用されたものである。
週休日の指定は、校長が勤務時間を割り振らない日を指定するものであり、そのような情報は、年次休暇と同様に一般に公にされるべき情報ではなく、条例第10条第1号に該当する。

(6)その他

上記のことから、本件対象文書1から本件対象文書5を条例第10条第1号に該当すると判断し、不開示決定処分としたものである。
しかしながら、職務専念義務の免除は、学校職員が研修を受ける場合など、職務と関連する特定の事由により、本来の職務への従事を免除される場合も含んでいることから、公務員の職務の説明責任の観点から、平成14年度から職務専念義務免除願については、不開示とせず、職務専念義務免除の事由及び適用条項を開示しない情報とした部分開示としている。

5 審査会の判断

実施機関は、本件対象文書1から本件対象文書5に記載されている情報が、様式部分を除き、すべて個人に関する情報であるとして条例第10条第1号に該当し、全部不開示とする処分としたため、当審査会では対象文書ごとにその記録されている情報の不開示情報該当性について、検討することとする。

(1)本件対象文書1

  • ア 本件対象文書1について
    出勤簿は、職員が校長の定める執務開始時刻までに出勤したとき、ただちに自ら押印等を行うための、服務規程第7条に基づく教育委員会が定めた様式で、職員1人につき暦年ごとの書式となっている。さらに、校長又は校長のあらかじめ指定する職員は、職員が出張、研修、休暇等の場合は、その旨を出勤簿に記載しておかなければならないと規定されている。
    本件対象文書1は、(一)氏名情報(「年度」、「職名」、「氏名」欄)、(二)履歴情報(「任命年月日」、「補職年月日」、「転入出年月日」、「免職年月日」欄)、(三)年次休暇日数情報(「前年からの繰越日数」、「条例上の年次休暇日数」、「本年受けられる休暇日数」、「本年受けた休暇日数」、「翌年への繰越日数」欄)、(四)出勤情報(本年1月から12月までの各日付欄)、(五)月別集計情報(「出勤」、「出張」、「研修」、「年次休暇」、「病気休暇」、「特別休暇(夏季休暇を除く)」、「夏季休暇」、「職務専念義務免除」、「欠勤」、「休職期間」、「備考」の区分ごとに前年の4月から本年の12月までの月別集計欄)から構成されている。
  • イ 条例第10条第1号の該当性について
    • (一) 氏名情報について
      当該職員の職名及び氏名は、本件処分を行った時点で年度とともに明らかであることから、開示すべきものと認められる。
    • (二) 履歴情報について
      任命年月日をはじめとする職員の履歴情報は、当該職員の個人情報ではあるが、県立学校教員の場合、人事異動情報は、毎年、新聞報道されている事実が認められる。
      したがって、履歴情報は、慣行として公にされる情報と認められ、条例第10条第1号ただし書イに該当する情報であるため、開示すべきものと認められる。
    • (三) 年次休暇日数情報について
      年次休暇は、その事由を限定せず、学校職員の請求に基づいて与えられる有給休暇であり、一定期間に何日取得したのかという情報は、当該職員の健康や私生活の内容にかかわるものである。したがって公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえないことから、「前年からの繰越日数」、「本年受けられる休暇日数」、「本年受けた休暇日数」、「翌年への繰越日数」は、条例第10条第1号に該当するものとして不開示としたことは妥当であると認められる。
      ただし、「条例上の年次休暇日数」については、学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例に基づき、一律同日数が付与されるものであることから、法令の規定により公にされている情報ということができ、条例第10条第1号ただし書イに該当し、開示すべき情報と認められる。
    • (四) 出勤情報について
      各日付欄には、当該職員が出勤した日の押印のほか、出張、休暇の取得等の勤務状況が略記号を用いて記載されている。職員の出勤状況は、公務員の職務遂行の内容に係る情報であるが、休暇等の私生活の内容にかかわる情報も含まれているため、不開示としたと実施機関は主張する。
      年次休暇は、上記ウのとおり公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえず、その他の休暇も、いつ何日取得したかという情報は、当該職員の健康や私生活の内容にかかわるものである。したがって公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえない。
      しかしながら、条例第11条第1項は「開示請求に係る公文書の一部に不開示情報が記載されている場合において、当該公文書から不開示情報が記録されている部分を容易に、かつ、開示請求の趣旨が損なわれない程度に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分以外の部分を開示しなければならない。」と規定していることから、出勤情報は、休暇等の私生活の内容にかかわる情報を除き開示することが可能であれば、開示すべき情報と認められる。
      このことから、各日付欄のうち、年次休暇及びその他の休暇の情報が記載されている日付欄並びに出勤、出張、職務専念義務免除の情報と年次休暇及びその他の休暇の情報が重なりあう日付欄を除いた部分は、条例第10条第1号ただし書ハに該当する情報であるため、開示すべきものと認められる。
    • (五) 月別集計情報
      月別集計情報は、職員の勤務状況を種類別に集計したものであり、職員の出勤状況は、公務員の職務遂行の内容に係る情報であるが、休暇等の私生活の内容にかかわる情報も含まれているため、不開示としたと実施機関は主張する。
      しかしながら、上記エと同様に、出勤情報は、休暇等の私生活の内容にかかわる情報を除き開示することが可能であれば、開示すべき情報と認められる。このことから、月別集計欄のうち、年次休暇及びその他の休暇の情報が記載されている欄並びに欠勤、休職期間欄を除いた部分は、条例第10条第1号ただし書ハに該当する情報であるため、開示すべきものと認められる。

(2)本件対象文書2

  • ア 本件対象文書2について
    休暇願は、服務規程第10条に基づく所定の様式で、産前産後休暇を除く特別休暇を受けようとするときは、休暇願をもって願い出なければならないと規定されている。休暇願は、決裁欄、願出年月日、願出先、学校名、願出者の職名、氏名、印影、休暇の種類、事由、期間、休暇地及び連絡先が記載されており、願出年月日ごとに1枚作成される様式となっている。
  • イ 条例第10条第1号の該当性について
    特別休暇は、特別な事由がある場合に認められる休暇であり、いつ請求し何日取得したかという情報は、当該職員の健康や私生活の内容にかかわるものである。したがって公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえない。
    ただし、当該休暇願が、服務規程に則って願い出がされ決裁されたものであるか否かは、当該職員の健康や私生活の内容にかかわる情報とはいえない。このため、決裁欄、願出先は、条例第10条第1号ただし書ハに該当し、開示すべき情報と認められる。なお、学校名、願出者の職名、氏名及び印影は、本件処分を行った時点で明らかであることから、開示すべきものと認められる。

(3)本件対象文書3

  • ア 本件対象文書3について
    休暇届は、服務規程第10条に基づく所定の様式で、年次休暇又は産前産後休暇を受けようとするときは、休暇届をもって届け出なければならないと規定されている。休暇届は、決裁欄、届出年月日、届出先、学校名、届出者の職名、氏名、印影、休暇の種類、期間、連絡先が記載されており、届出年月日ごとに1枚作成される様式となっている。
  • イ 条例第10条第1号の該当性について
    年次休暇は、その事由を限定せず、職員の請求に基づいて与えられる有給休暇であり、一定期間に何日取得したのかという情報は、当該職員の健康や私生活の内容にかかわるものである。したがって公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえない。
    しかしながら、当該休暇届が、服務規程に則って届出がされ決裁されているか否かは、当該職員の健康や私生活の内容にかかわる情報とはいえない。このため、決裁欄、届出先は、条例第10条第1号ただし書ハに該当し、開示すべき情報と認められる。なお、学校名、届出者の職名、氏名及び印影は、本件処分を行った時点で明らかであることから、開示すべきものと認められる。

(4)本件対象文書4

  • ア 本件対象文書4について
    職務専念義務免除願は、服務規程第8条に基づく所定の様式で、職務に専念する義務の免除について承認を受けようとするときは、職務専念義務免除願をもって願い出なければならないと規定されている。職務専念義務免除願は、承認欄、願出年月日、願出先、学校名、職名、氏名、印影、理由(適用条項)、期間が記載されており、願出年月日ごとに1枚作成され、理由、期間を証明する書類を添付する様式となっている。
  • イ 条例第10条第1号の該当性について
    職務専念義務免除は、職務に専念する義務の特例に関する条例や職務に専念する義務の特例に関する規則で定められた、公務に支障が生じない必要最小限度の範囲で取得できるものであり、一定期間に何日取得したのかという情報は、当該職員の健康や私生活の内容にかかわるものである。したがって公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえない。しかしながら、実施機関の主張にもあるとおり、学校職員が研修を受ける場合など、職務と関連する特定の事由により、本来の職務への従事を免除される場合も含んでいることから、公務員の職務の説明責任の観点から、平成14年度から職務専念義務免除願については、不開示とせず、職務専念義務免除の事由及び適用条項を開示しない情報とした部分開示としている運用がなされているところである。これらのことから、承認欄、願出年月日、願出先及び期間は、条例第10条第1号ただし書ハに該当し、開示すべき情報と認められる。なお、願出者の学校名、職名、氏名及び印影は、本件処分を行った時点で明らかであることから、開示すべきものと認められる。

(5)本件対象文書5

  • ア 本件対象文書5について
    週休日の指定簿は、学校職員の完全週休2日制(週40時間勤務制)実施要領で規定された所定の様式で、学校職員の完全週休2日制を実施するに当たり、平成7年度から平成13年度まで使用されたものである。学校長は、指定権者として週休日の指定を行い、週休日の指定及びその変更を行うときは、学校職員に対し速やかにこれを明示し、週休日の指定簿に記載すると規定されている。
    週休日の指定簿は、職名、氏名、週休日の指定期間、指定の単位となる期間、指定の日時及び時間数、振替指定の日時及び時間数、割振り変更の日時及び時間数、備考欄から構成されており、職員ごとに作成される様式となっている。
  • イ 条例第10条第1号の該当性について
    週休日は、学校長が規定に基づいて指定及び変更するものであるから、学校職員が週休日を何日に何時間指定されたかどうかは、変更を含めて、公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえる。したがって、条例第10条第1号ただし書ハに該当するため、すべて開示すべき情報と認められる。

(6)その他

異議申立人は、管理監督の立場にある校長の情報は、校長以外の教職員と分けて考えるべきであり開示すべきであると主張するが、服務規程は、学校職員の服務を一律に規定していることから、当審査会の判断を左右するものとは言えない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
城口美恵子、田村泰俊、山口道昭

別表

1 区分

2 開示すべき部分

出勤簿

  • (一)氏名情報
    年度欄、職名欄、氏名欄
  • (二)履歴情報
    任命年月日欄、補職年月日欄、転入出年月日欄、免職年月日欄
  • (三)年次休暇日数情報
    条例上の年次休暇日数欄
  • (四)出勤情報
    出勤、出張、職務専念義務免除の情報が記載されている日付欄
    (ただし、出勤、出張、職務専念義務免除の情報と年次休暇及びその他の休暇等の情報が重なりあう日付欄を除く)
  • (五)月別集計情報
    出勤、出張、研修、職専免、備考の月別集計欄

休暇願

決裁欄、願出先、学校名、職名、氏名、印影

休暇届

決裁欄、届出先、学校名、職名、氏名、印影

職務専念義務免除願

承認欄、願出年月日、願出先、学校名、職名、氏名、印影、期間

週休日の指定簿

職名欄、氏名欄、週休日の指定期間、指定の単位となる期間欄、指定の日時及び時間数欄、振替指定の日時及び時間数欄、割振り変更の日時及び時間数欄、備考欄

審議の経過

年月日

内容

平成16年9月16日

諮問を受ける(諮問第89号)

平成17年7月21日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年8月26日

異議申立人より反論書を受理

平成17年12月22日

実施機関より意見聴取及び審議(第三部会第9回審査会)

平成18年1月20日

異議申立人より意見聴取及び審議(第三部会第10回審査会)

平成18年2月22日

審議(第三部会第11回審査会)

平成18年3月17日

審議(第三部会第12回審査会)

平成18年4月20日

審議(第三部会第13回審査会)

平成18年5月30日

答申

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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