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掲載日:2024年3月26日

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答申第108号 「公文書部分開示決定通知書の一部変更について(通知)」の部分開示決定等(平成19年2月21日)

答申第108号(諮問第116号)

答申

1 審査会の結論

(1) 埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成15年9月9日付けで行った公文書部分開示決定通知書の一部変更のうち、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」を不開示とした決定は取り消し、開示すべきである。

(2) 実施機関が、押印された付箋が付されていない起案文書を対象文書に特定して行った平成15年9月26日付けの公文書部分開示決定は妥当である。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人は、平成15年7月23日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、埼玉県立春日部高等学校における以下の公文書の開示請求(以下「本件開示請求1」という。)を行った。

  • ア 平成15年1月1日から平成15年7月23日までの間に埼玉県校長協会から配布(会議、郵送等含む)された資料を全て
  • イ 平成15年1月1日から平成15年7月23日までの間に埼玉県高等学校Pta連合会から配布(会議、郵送等含む)された資料を全て
  • ウ 平成15年1月1日から平成15年7月23日までの間の校長の出張に係る資料(開催通知書、会議等資料、出張命令簿、出張報告書、復命書、旅費請求・受領書等)全て
  • エ 平成14年7月24日から平成15年7月23日までの間の校長会議及び校長協会の会議資料(開催通知を含む)

(2) 実施機関は、対象文書を特定し、平成15年8月21日付けで公文書部分開示決定(以下「部分開示決定1」という。)を行った。その後、当該決定について平成15年9月9日付けで以下の内容の変更(以下「本件変更通知」という。)を「公文書部分開示決定通知書の一部変更について(通知)」(平成15年9月9日付け春高第2231号)により行った。

ア 「開示する公文書の名称」欄に示す別紙一覧に、次の事項を追加する。

平成15年7月1日

平成16年度見込み学級数及び配当見込み教員数
県費外諸費に係る事務処理について(素案)

イ 「開示する公文書の名称」欄に示す別紙一覧のうち、次の事項を訂正する。

平成15年5月7日

第1回理事会次第

平成15年7月1日

第1回理事会次第

ウ 「開示しない情報及びその理由」の欄に示す別紙に、次の事項を追加する。

開示しない情報

その理由

県費外諸費に係る事務処理に
ついて(素案)の全部

審議、検討又は協議に関する情報であり、埼玉県情報公開
条例第10条第4号に該当するため

エ 「開示する公文書の名称」欄に示す別紙に、次の事項を訂正する。

 

開示しない情報

その理由

平成15年度見込み学級数及び配
当見込み教員数

人事管理に関する事項であり、埼玉県情報公開条例
第10条第5号に該当するため。

平成16年度見込み学級数及び配
当見込み教員数

人事管理に関する事項であり、埼玉県情報公開条例
第10条第5号に該当するため。

(3) 異議申立人は、平成15年9月13日付けで、「埼玉県立春日部高校に対して、平成15年9月9日付け春高第2231号の起案文書。」について公文書開示請求を行った。

(4) 実施機関は、当該公文書について、平成15年9月26日付けで公文書部分開示決定(以下「部分開示決定2」という。)を行った。

(5) 異議申立人は、本件変更通知及び部分開示決定2について、埼玉県情報公開条例及び埼玉県教育局等文書管理規則第3条(文書等の管理の原則)に違反していることを理由に、平成15年11月17日付けで実施機関に異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(6) 当審査会は、本件異議申立てについて平成18年2月28日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(7) 当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成18年5月2日付けの開示決定等理由説明書(以下「理由説明書」という。)の提出を受け、また、平成18年9月7日に実施機関の意見を聴取した。

(8) 当審査会は、平成18年6月13日付けで異議申立人から反論書の提出を受け、また、平成18年8月1日に異議申立人の口頭意見陳述を聴取した。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人の主張はおおむね次のとおりである。

(1) 本件変更通知について

本件変更通知については条例第15条で定める開示決定等の期間やそれ以外の配慮すべきことが全く検討されることなく、ただ「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」を公開することを阻止するだけを目的とした条例違反の公開決定後の措置である。条例に基づき処分・決定し、公文書で県民に通知した内容を「事務処理上の誤りであった。」とすれば、いとも簡単に、公文書を訂正することができることになる。
情報公開の開示の実施の席上で、開示請求者から「開示請求対象文書である。」の指摘を受けた後に、情報開示の範囲を縮小する行為は、行政の不作為、行政の瑕疵、行政の怠慢等として糾弾される行為であり、条例第15条(開示決定等の期限)違反は明らかである。
私は別件の公文書開示請求の開示の実施時に「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」の提出を求めたが、越谷西高等学校長は「今回の情報公開の手続きしていない資料である。」と認めた。実施機関はその後に「県費外諸費に係る
事務処理について(素案)」を平成15年9月9日付け本件変更通知で開示範囲を縮小する訂正をしている。この開示の範囲を縮小する決定は、開示請求から49日経過した後に行われたものであり、条例第15条違反は明らかである。
なお、当審査会で異議申立人に異議申立ての趣旨を確認したところ、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」を開示すべきである、とのことであった。

(2) 部分開示決定2について

平成15年10月20日に行われた開示の実施の際に、春日部高等学校の事務部長の説明では、当該起案文書の高校教育課の合議欄は、○○課長だけ押印しているように見せかけているが、実際の起案文書は『副課長』、『学事担当班長』、『学事担当』らは付箋上で押印していた。付箋は破棄しろとの指示が高校教育課(現・県立学校人事課)からあったため、このようになった、とのことであった。
しかし、平成15年6月1日から施行された埼玉県教育局等文書管理規程を各部署に周知するための平成15年5月26日付け教総第279号「埼玉県教育局等文書管理規程の一部を改正する訓令について」から、「副課長以下の者の押印は付箋で決裁する」とは理解できない。起案文書を付箋上で決裁する行為は、埼玉県教育局文書管理規則第3条(文書等の管理の原則)の「常にその処理の経過を明らかにしておき、適正に管理しなければならない」との規定に違反した文書処理である。
条例第2条で「公文書とは、実施機関の職員が職務上作成し、」と規定している。付箋上で決裁した職員は職務上の押印をしているのだから、付箋をすべて廃棄して情報公開を行うととれる総務課長の回答(実施機関の説明)は、条例第2条に違反している。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関の主張はおおむね次のとおりである。

(1) 本件変更通知について

本件変更通知は、実施機関が行った平成15年8月21日付けの公文書部分開示決定1の記載を一部訂正したものである。平成15年8月21日付け公文書部分開示決定を行ったが、その後、「『開示する公文書の名称』における『別紙(2)平成14年7月24日から平成15年7月23日までの間の校長会議及び校長協会の会議資料』」及び「『開示しない情報及び理由』における別紙」に訂正及び追加箇所があることが判明した。これは明らかな事務処理上の誤りであったため、訂正をするために異議申立人に通知を行ったものである。
異議申立人は条例第15条違反であると主張しているが、条例第15条の趣旨は、開示又は不開示の決定を行う原則的期間、正当な理由がある場合の延長可能な期間等について定めたものであり、決定通知書の記載の誤りの訂正については、条例第15条の規定に反するものではない。

(2) 部分開示決定2について

平成15年5月26日付け教総第279号は、埼玉県教育局等文書管理規程の一部を改正したものであり、副課長級以上の職員のみが押印するように、回議・合議書の様式のうち主幹級以下の職員の押印欄を削除する通知である。そのため、担当課所室における起案の際には、業務遂行上の必要から、付箋に主幹級以下の職員が押印する処理方法を採っていたものである。
開示請求を受けた時点で、組織において業務上必要なものとして付箋が貼られて保管されているものについては、開示請求文書の一部と考えるが、本件においては、付箋が貼られて保管されているという事実はない。

5 審査会の判断

(1) 本件変更通知について

  • ア 本件変更通知の内容について
    本件変更通知について、実施機関は、記載の誤りを訂正するために異議申立人に通知を行ったものである、と主張する。本件変更通知の内容は、(一)「開示する公文書の名称」の欄の記載の別紙として作成された一覧の記載に「平成16年度見込み学級数及び配当見込み教員数」及び「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」の2件を追加するもの、(二)「開示する公文書の名称」の欄に記載された公文書の名称に付記された日付の記載を変更するもの、(三)「開示しない情報及びその理由」の欄に記載を追加し、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」を不開示情報とするもの、(四)「開示しない情報」の欄に記載された「平成15年度見込み学級数及び配当見込み教員数」の文言中の「平成15年度」を「平成16年度」に変更するものである。したがって、内容の異なる変更を同時に行っているため、それぞれの内容ごとにその適否を検討する。
    • (ア) 本件変更通知のうち、(二)については、「開示する公文書の名称」の欄の別紙に記載された公文書の名称に付記された日付の記載を変更するものであり、対象文書が変更になるものでなく、部分開示決定1の内容に影響を及ぼすものではない。この部分は、単なる記載の誤りを訂正するために行った通知であって、条例に規定がなければ違法になるものではない。
    • (イ) 本件変更通知のうち、(四)については、部分開示決定1の通知書の「開示しない情報」の欄の記載中の年度を変更するものである。この部分は、対象文書を変更するものでなく、開示・不開示の判断を変更するものではないので、部分開示決定1の内容に影響を及ぼすものではない。したがって、単なる記載の誤りを訂正するための通知であって、条例に規定がなければ違法になるものではない。
    • (ウ) 本件変更通知のうち、(一)については、「開示する公文書の名称」の欄の別紙に記載を追加するものであって、「平成16年度見込み学級数及び配当見込み教員数」及び「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」の2件の文書を対象文書として新たに追加するものである。また、(三)では、「開示しない情報及びその理由」を追加し、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」を不開示情報にするものである。
      まず、(一)のうち「平成16年度見込み学級数及び配当見込み教員数」については、(四)で記載の誤りを訂正しているものの、既に不開示情報として決定しているものである。したがって、別紙の一覧に記載されているべき公文書が明らかに漏れていたものであって、これを補充したものであるため、記載の誤りの訂正に含まれるものであると認められる。
      次に、(一)のうち「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」については、対象文書を新たに追加し、さらに、(三)で不開示情報としても追加するものである。当該部分は、異議申立人から「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」が対象文書から漏れているとの指摘を受けた後に行ったものであるから、部分開示決定1の対象文書から漏れていた公文書を追加し、当該文書を不開示情報としたものであって、新たに対象文書として特定して不開示決定を行うべきものである。したがって、これを本件変更通知で、単なる記載の誤りの訂正として行うことはそもそも許されるべきものではない。
  • イ 「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」の条例第10条第4号該当性について
    上述のとおり、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」については改めて決定すべきものではあるが、異議申立ての趣旨が、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」を開示せよとのことであるので、さらに、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」の条例第10条第4号該当性についても検討する。
    当審査会で、実施機関に「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」が条例第10条第4号の不開示事由に該当する理由を求めたところ、実施機関は、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」は、平成15年5月22日から教育局関係課による素案の検討を開始し、平成16年3月24日付けで「県費外諸費に係る事務処理の手引き」として施行したものであって、平成15年7月23日当時においては、慎重に意思決定をしていた過程であり、開示することにより、率直な意見交換等に影響が出るものと判断した、と説明する。しかし、実施機関の説明は単に検討中であったというものに過ぎず、「公にすることにより、率直な意見交換若しくは意思決定の中立性を不当に損なわれる」等の具体的なおそれをなんら説明するものではない。
    当審査会で「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」及び平成16年3月24日付けで施行された「県費外諸費に係る事務処理の手引き」(「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」の検討が終了し、施行されたもの)を見分したところ、その内容は各学校における生徒の保護者が負担する経費の会計処理を定めた要綱であり、当然個人に関する情報や法人に関する情報といった不開示情報は含まれていない。また、「開示することにより率直な意見交換若しくは意思決定の中立性を不当に損なわれるおそれ」がある情報が記載されている事実は認められない。行政機関において会計処理の手続については、通常公にされるべき性質のものであり、施行された「県費外諸費に係る事務処理の手引き」について、実施機関は全部開示情報であるとしている。
    したがって、本件変更通知において実施機関が「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」を不開示情報とした決定の部分は、当該情報が条例第10条第4号に該当するとは認められないため、妥当ではなく、「県費外諸費に係る事務処理について(素案)」については開示すべきである。

(2) 部分開示決定2について

  • ア 対象文書について
    対象文書は、平成15年9月9日付けの本件変更通知に係る起案文書であって、回議・合議書(起案用紙)、起案理由、通知案及び参考資料としての部分開示決定1の通知書の写しから成る文書である。当該起案文書の特定については、争いはない。
    異議申立人は、対象文書のうちの回議・合議書の合議欄に高校教育課の課長を除く職員が押印した付箋が貼られていたとして、この押印された付箋を除いて行った開示の実施は公文書の一部を廃棄した偽りの公文書で行ったものであり、埼玉県教育局等文書管理規則第3条(文書等の管理の原則)の「常にその処理の経過を明らかにしておき、適正に管理しなければならない」との規定に違反すると主張する。
  • イ 部分開示決定2の違法性について
    異議申立人は、押印された付箋を除いた部分開示決定の適否を問題にするので、この点について検討する。
    まず、起案文書への押印についてであるが、回議については埼玉県教育局等文書管理規程第21条で「起案文書は、下位の職にある者から上位の職にある者の順に回議しなければならない。」と規定し、また、合議については同規程第22条で「課において、起案の内容が他の部又は他の課の事務に直接関係がある場合は、当該起案文書を直接関係がある他の部長又は他の課長に合議しなければならない。」と規定するのみであって、各課所において決裁権者である課長より下位の職員が起案文書に押印するかどうかについては、特に規定は置かれていない。
    次に、付箋への押印であるが、実施機関の説明によると、従来、回議・合議書に相当数の職員が押印を行っており、責任の所在が不明確なところがあったことから、押印数を削減するため、平成15年6月1日に埼玉県教育局等文書管理規程が改正され、回議・合議書の押印欄が副課長級以上に削減され、起案文書の回覧過程で回覧した主幹級以下の職員は原則として押印することが無くなった、とのことである。ただし、事務処理の都合上、回覧の状況を確認したり、副課長級以上の職員が回議・合議を行う際に当該事務に関わりのある部下職員が当該起案文書を確認したかどうかということを知るため、必要に応じて付箋に主幹級以下の職員が押印するという処理方法を採っていた、とのことであり、この実施機関の説明は不合理ではない。
    すなわち、付箋上への職員の押印は、決裁権者である課長が決裁するにあたって、部下職員が確認を行ったことを示すため、決裁の便宜のためになされたものであると言える。もちろん、押印をした付箋は組織共用性があるため公文書に当たるものであるが、いわば課長の決裁のための一時的なものであり、課長の決裁が終われば不用となる一時的に作成された公文書である。
    したがって、当該付箋を起案文書と一体の公文書として取り扱ったのであれば全く別であるが、そのような事実は認められず、起案文書に貼られていた付箋を廃棄した行為に違法性はない。よって、押印をした付箋は当該起案文書と一体ではないため、付箋を付していない起案文書を特定した実施機関の部分開示決定に違法性はない。
    なお、異議申立人は条例第1条及び第2条に違反しているなども主張してはいるが、上記判断を左右するものではない。

以上のことから、「1審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
白鳥敏男、野村武司、渡辺咲子

審議の経過

年月日

内容

平成18年2月28日

諮問を受ける(諮問第116号)

平成18年5月2日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成18年6月13日

異議申立人より反論書を受理

平成18年7月11日

審議(第二部会第13回審査会)

平成18年8月1日

口頭意見陳述及び審議(第二部会第14回審査会)

平成18年9月7日

実施機関より意見聴取及び審議(第二部会第15回審査会)

平成18年10月10日

審議(第二部会第16回審査会)

平成18年11月10日

審議(第二部会第17回審査会)

平成18年12月19日

審議(第二部会第18回審査会)

平成19年1月11日

審議(第二部会第19回審査会)

平成19年1月26日

審議(第二部会第20回審査会)

平成19年2月21日

答申(答申第108号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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