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掲載日:2024年3月25日

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答申第97号 「弁明書の提出について(回答)」外4件の不開示決定(平成18年9月27日)

答申第97号(諮問第105号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成17年4月21日付けで行った次の公文書を埼玉県情報公開条例(以下「公開条例」という。)第10条第4号に該当するとして全部不開示とした決定(以下「本件処分」という。)は、妥当ではない。

  1. 弁明書の提出について(回答)(以下「本件対象文書1」という。)
  2. 反論書(回答)(以下「本件対象文書2」という。)
  3. 弁明書等の提出について(以下「本件対象文書3」という。)
  4. 弁明書の送付等について(以下「本件対象文書4」という。)
  5. 反論書の送付について(以下「本件対象文書5」という。)

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成17年4月11日付けで、公開条例第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「平成8年12月2日に川口市より仮換地指定があり、この仮換地指定に対して特定の法人より申立てのあった審査請求の内容及びその後の県の対応、折衝内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2) これに対し、実施機関は、本件請求のうち平成8年12月2日に川口市より仮換地指定があり、この仮換地指定に対して特定の法人より申立てのあった審査請求のその後の県の対応、折衝内容に対する公文書を本件対象文書1から本件対象文書5と特定した上で、いずれも公開条例第10条第4号に該当するため、不開示決定を行うのが適当であると判断し、平成17年4月21日付けの公文書不開示決定通知書により、その旨を申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成17年5月17日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件処分を取り消すとの決定を求める趣旨の異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成17年5月26日付けで実施機関から公開条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に対し、実施機関から、平成17年7月29日に「開示決定等理由説明書」(以下「理由説明書」という。)の提出を、平成17年9月9日付けで申立人から反論書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成17年12月15日に、実施機関から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 本件処分は、公開条例の解釈適用を誤ったものであり全部公開をすべきである。

(2) 決定通知書に記載の開示しない理由は、その理由として掲げている公開条例の第10条第4号に該当しない。

(3) 決定通知書に記載の開示しない理由には、適法に処分理由が明示されていないので、埼玉県行政手続条例(以下「手続条例」という。)第8条の規定に違反し本件処分は無効である。

(4) 申立人は、自己の所有する土地の仮換地の使用・収益開始ができないことにより、健康、生活及び財産が既に侵害されている上、建物の老朽化に起因する生命の危険にさらされている。
川口市より聴取したところ、審査請求の審議が平成9年以来8年間以上も事実上放置されていることが、申立人の所有する土地の仮換地が使用・収益開始できない理由でもあるとの説明があった。

(5) 理由説明書によると、県民を混乱させ、又は土地の投機を助長するなどして特定のものに利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあることを理由としているが、むしろ非公開であると、裁決を遅らせ県民を混乱させ、審査請求人に利益を与えたことを隠蔽する目的で非公開にしているとの誤解を生じさせかねない。また、公開条例第10条第4号に該当することが不開示の理由としているが、公開の目的文書は、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報であるので、理由説明書に記載する非公開理由を否認の上、全部の公開を求める。

4 実施機関の主張の要旨

異議申立てに対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1)公開条例の解釈適用について

本件処分は、公開条例第10条第4号の規定により不開示としているものであり、公開条例の解釈適用に誤りはない。文書ごとの不開示理由は次のとおりである。

  • ア 弁明書の提出について(回答)及び反論書(回答)
    審査請求に対する処分庁の主張とそれに対する審査請求人の主張が公にされると、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、審査請求人又は処分庁が正当に主張を行うことや意思決定の中立性が損なわれるおそれがある。また、当該審査請求の裁決は、他に与える影響が極めて大きく、その裁決前の段階において、審査庁が判断の材料とする情報を公にすることは裁決の方向性に予断を与えるおそれがある。
    さらに、審査請求人あるいは処分庁からの一方的な情報ないし未成熟な情報が公にされると、当該土地区画整理事業の今後の進捗等に関して誤解や憶測を生じさせて、県民を混乱させ、又は土地の投機を助長するなどして特定のものに利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるものである。
  • イ 弁明書等の提出について、弁明書の送付等について及び反論書の送付について
    これらは、審査庁の審理進行に関する文書であり、これらが公にされると裁決の方向性等に予断を与え、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、意思決定の中立性が損なわれるおそれがある。

(2)手続条例の適用について

本件処分は、公開条例の規定に基づいているとともに、手続条例の規定に基づいて不開示の理由を書面により根拠条項と該当する事実を示しているので、手続条例にも則ったものである。したがって、本件処分は瑕疵のない適法なものであり、有効である。

5 審査会の判断

(1)本件対象文書について

本件対象文書は、川口市が特定の法人に対して行った川口都市計画事業芝東第4土地区画整理事業に係る仮換地指定について、特定の法人が、実施機関に対して平成9年2月10日付けで行った、行政不服審査法に基づく審査請求(以下「原審査請求」という。)に係る弁明書をはじめとする一連の事務手続文書である。
原審査請求の結果として、本件処分後に、埼玉県知事において特定の法人に対して裁決がなされている。
なお、当仮換地指定は、特定の法人が本件区画整理事業地内で経営している大規模小売店舗の敷地及び駐車場のための法人所有地について行われたものである。

(2)公開条例第10条第4号の該当性について

公開条例第10条第4号は、「県、国及び他の地方公共団体の機関、独立行政法人等並びに地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」を不開示情報と規定している。
実施機関は、行政不服審査に係る公文書については、当事者間の主張及び審査庁としての実施機関の事務手続が公開条例第10条第4号に該当し、全部不開示とした処分としているので、以下のとおり検討する。

  • ア 本件対象文書1及び本件対象文書2について
    本件対象文書1は、実施機関が収受した川口市長の弁明書とその添付書類であり、本件対象文書2は、実施機関が収受した特定の法人の反論書であり、原審査請求におけるそれぞれの当事者の主張に関する文書である。
    実施機関は、審査請求に対する処分庁の主張とそれに対する審査請求人の主張が公にされると、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、審査請求人又は処分庁が正当に主張を行うことや意思決定の中立性が損なわれるおそれがあり、また、裁決前の段階において、審査庁が判断の材料とする情報を公にすることは裁決の方向性に予断を与えるおそれがあると主張する。
    これは、行政不服審査に係る公文書を、当事者の審査手続の進捗情報を含め主張全体が、公開条例第10条第4号に該当するため不開示としたと解される。
    まず、当事者の審査手続の進捗情報は、すでに本件処分において文書件名が明らかにされていることから、当事者の書類がいつ提出され、収受されたかという期日情報がそれにあたることが認められる。実施機関のいう期日情報を開示することにより、当事者が正当に主張を行うことや意思決定の中立性が損なわれるおそれは、蓋然性にすぎず、不開示とする理由とは認められない。
    つぎに、裁決前に公にすることは裁決の方向性に予断を与えるおそれがあるとの実施機関の主張については、開示することによって実施機関の中立性を損なう可能性はなく、裁決の方向性について県民に予断を与えたとしても、当該土地区画整理事業の今後の進捗等に関して誤解や憶測を生じさせるものではなく、また裁決そのものに影響があると認めることはできないことから、不開示とする理由には当たらない。
    ところで、行政不服審査は、不服申立人からの不服申立てを受けた審査庁が不服申立人及び処分庁の当事者双方から、それぞれの立場からの主張や意見等を受けて審理事務を進めるものである。さらに、行政不服審査法は、審理の手続や関係文書を非公開とする旨の規定を特段設けていない。
    これらのことから、裁決前であれば格別、裁決後は他の不開示条項に該当する情報を除き、全体として公開条例第10条第4号に該当すると認められない。
  • イ 本件対象文書3、本件対象文書4及び本件対象文書5について
    本件対象文書3は、実施機関が川口市長あてに弁明書の提出を依頼した起案文書であり、本件対象文書4は、実施機関が特定の法人あてに弁明書を送付した起案文書であり、本件対象文書5は、実施機関が川口市長あてに反論書を送付した起案文書であり、すべて実施機関の審査庁としての審理進行に関する文書である。
    実施機関は、これらが公にされると裁決の方向性等に予断を与え、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、意思決定の中立性が損なわれるおそれがあると主張する。
    しかしながら、上記アと同様の理由から、裁決前であれば格別、裁決後は他の不開示条項に該当する情報を除き、全体として公開条例第10条第4号に該当すると認められない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
飯塚 英明、岩渕 美智子、大橋 豊彦

審議の経過

年月日

内容

平成17年5月26日

諮問を受ける(諮問第105号)

平成17年7月29日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年9月9日

異議申立人より反論書を受理

平成17年12月15日

実施機関より意見聴取及び審議(第一部会第8回審査会)

平成18年1月27日

審議(第一部会第9回審査会)

平成18年2月16日

審議(第一部会第10回審査会)

平成18年3月17日

審議(第一部会第11回審査会)

平成18年4月24日

審議(第一部会第12回審査会)

平成18年5月30日

審議(第一部会第13回審査会)

平成18年6月19日

審議(第一部会第14回審査会)

平成18年9月7日

審議(第一部会第16回審査会)

平成18年9月27日

答申

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