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掲載日:2024年3月26日

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答申第102号 「平成14年4月1日から平成15年5月27日までの間の埼玉県立浦和高等学校長の出張に係る書類すべて」の開示決定(平成18年11月28日)

答申第102号(諮問第100号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)に対し平成15年5月27日付けでされた、平成14年4月1日から平成15年5月27日までの間の埼玉県立浦和高等学校長の出張に係る書類全ての開示請求につき、以下の1から3までの3件の文書を新たに特定して、開示等の決定をすべきである。

  1. 平成14年度総会の開催について(平成14年3月11日付け埼高長第41号)
  2. 財団法人日本修学旅行協会創立五十周年記念式典・祝賀会の案内状
  3. 埼玉県立熊谷農業高等学校創立百周年記念式典・祝賀会の案内状

2 異議申立て及び審議の経緯

(1)異議申立人は、平成15年5月27日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「平成14年4月1日から平成15年5月27日までの間の浦和高等学校長の出張に係る書類全て(出張命令書及び出張報告書、出張旅費等請求書及び受領書等)」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。

(2)実施機関は、本件開示請求に対する公文書を特定し、平成15年6月19日付けで全部開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、その旨を異議申立人に通知した。

(3)異議申立人は、平成15年7月28日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件処分は、特定すべき公文書が不足しており条例第10条等に違反した公文書隠しであり、これを撤回し、改めて開示決定通知書を作成すべきであるとして異議申立てを行った。

(4)当審査会は、本件異議申立てについて、平成17年3月29日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5)当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成18年1月26日付けで「開示決定等理由説明書」の提出を、異議申立人から平成18年2月27日に反論書の提出を受けた。

(6)当審査会は、平成18年7月11日に、実施機関の職員から意見聴取を行った。

(7)当審査会は、平成18年8月1日に、異議申立人からの口頭による意見陳述を行い、同日異議申立人から資料の提供を受けた。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1)異議申立書

  • ア 本件処分において開示された文書について、平成14年12月16日に県立浦和第一女子高等学校から同校校長の出張に係る情報公開の開示があった文書と比較したところ、次の公文書が不足していた。
    1. 平成14年3月11日付け埼高長第41号「平成14年度総会の開催について(通知)」(以下「文書1」という。)
    2. 平成14年4月17日付け事務連絡「第2回南部地区校長会の開催について」(以下「文書2」という。)
    3. 平成14年5月16日付け教高第140-1号「地区別校長会議の開催について(通知)」(以下「文書3」という。)
    4. 平成14年4月30日付け事務連絡「第1回理事会の開催について(通知)」(以下「文書4」という。)
    5. 平成14年6月3日付け事務連絡「第2回理事会の開催について(通知)」(以下「文書5」という。)
    6. 平成14年8月26日付け教高第3143号「第3回理事会の開催について(通知)」(以下「文書6」という。)
    7. 平成14年7月10日付け事務連絡「第3回理事会の開催について(通知)」(以下「文書7」という。)
    8. 平成14年9月27日付け教高第3188号「第4回理事会の開催について(通知)」(以下「文書8」という。)
    9. 平成14年9月4日付け事務連絡「第4回理事会の開催について(通知)」(以下「文書9」という。)
    10. 平成14年10月11日付け教高第3225号「第5回理事会の開催について(通知)」(以下「文書10」という。)
    11. 平成14年9月30日付け事務連絡「第5回理事会の開催について(通知)」(以下「文書11」という。)
    12. 平成14年11月12日に開催された(財)日本修学旅行協会の創立50周年記念式典・祝賀会の開催通知書(以下「文書12」という。)
    13. 平成14年11月8日に開催された埼玉県立熊谷農業高等学校創立100周年記念祝賀会の開催通知書(以下「文書13」という。)
  • イ 文書12及び文書13については、異議申立人が情報開示の当日に気付き、県立浦和高等学校の職員にその理由を求め、また、「何故、公務出張として旅費請求書等が作成できたのか」等の質問をしたところ、情報開示当日に提供された。
    また、文書1ないし11については、後日、各校から受けた情報公開資料と突合せを行ったところ、埼玉県高等学校長協会の会議に係る開催通知が隠されていたことがわかったため、同校の職員に対しその理由を求めたが、回答がなかった。
  • ウ 以上のとおり公文書隠しは明白であり、また、行政処分として不開示決定したものを抗議があったから情報提供をすることは明らかに公文書隠しの条例違反である。本件処分を撤回し、改めて開示決定をすべきである。その上で、今後同様な違反措置が行われないよう、教育委員会として調査を行い、この顛末を報告するとともに、再発防止策等の是正措置を求める。

(2)反論書

  • ア 異議申立人は、県立浦和高等学校のほか県立浦和第一女子高等学校及び県立春日部高等学校に対し、同一の内容で情報公開請求をした。県立浦和高等学校以外の学校の情報公開資料には、埼玉県高等学校長協会の会議に係る開催通知が存在したが、県立浦和高等学校の情報公開資料にはなかった。処分が異なる主因は、県立浦和高等学校には、埼玉県高等学校長協会の事務局があるため、同協会に関係する書類を意図的に隠したいとの思惑があったものと思慮される。教育委員会としての処分に違いがあり、本件処分は条例第10条違反の公文書隠しである。
  • イ 実施機関は、開示決定等理由説明書において、文書1、文書2、文書4、文書5、文書7、文書9及び文書11については県立浦和高等学校長が公文書として認識していなかったと説明する。このことは、条例第1条、第2条、第10条違反であり、また、埼玉県立学校文書管理・公印規程にも違反している。この規程には、学校に届いた文書は全て収受手続を行うことが明記されており、公文書であるかどうかの判断を職員に委ねると理解できる規定はない。埼玉県高等学校長協会からの文書は、県立浦和高等学校長に連絡・通知するために作成され、また、受領されたものであり、個人的な文書ではない。
  • ウ 実施機関は、文書12及び文書13について、同様に当該文書に対する校長の認識を説明するが、県教育委員会として当該校長の行為を合法又は違法と認識しているのか、理由を付けて説明すべきである。当該文書に記される記念式典の存在は、これらの行事に校長が公費で出張をしていたことを出張手続の公文書から知り、当該文書の提出を事務長に求めたところ、提示されたものである。
  • エ 実施機関は、文書12及び文書13を情報提供したことについて、開示対象文書として特定しなかった文書を異議申立人の要求に従い提供したものと説明するが、この説明は、開示請求者が気付かなければ開示しないが、気付けば情報提供するという、開示請求者の足元を見ながら情報公開を行うことを認めるものである。また、当該情報提供は、開示対象文書を変更するものではなく、改めて開示決定の必要はないと説明するが、条例第10条に基づく処分が行われていないという条例違反を説明するものである。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1)本件文書について、県立浦和高等学校に確認したところ、以下のことを確認した。

  • ア 文書1、文書2、文書4、文書5、文書7、文書9及び文書11については、任意団体である埼玉県高等学校長協会に係る文書であり、また、文書1を除いては同協会会長である県立浦和高等学校長が自らにあてることとなる文書であることから、同校長がこれらを公文書とは認識していなかった。このため、これらの文書は、埼玉県立学校文書管理・公印規程に基づく事務処理手続によらず、同校長自身の手元に保管され、共有のキャビネット等に保管されていなかった。
  • イ 文書3、文書6、文書8及び文書10については、これら文書に係る出張用務が、いずれも県立浦和高等学校で行われたものであり、同校校長は在勤公署を離れて出張していないため、本件開示請求の対象外である。
  • ウ 文書12及び文書13については、県立浦和高等学校長にあてられた式典の招待状であり、同校長がこれらを公文書とは認識していなかった。このため、これらの文書は、埼玉県立学校文書管理・公印規程に基づく事務処理手続によらず、同校長自身の手元に保管され、共有のキャビネット等に保管されていなかった。以上のとおり、これらの文書について、異議申立人が主張するような「公文書隠し」をしたものではない。

(2)異議申立人は、行政処分として不開示決定したものを抗議があったからといって情報提供することは明らかに公文書隠しの条例違反と主張しているが、本件処分において公文書と認識しなかった文書について情報提供したものである。これは、開示対象文書を変更するものではなく、また、異議申立人の利益に供することにこそなれ不利益となることはない。本件処分は妥当であり、改めて開示決定する必要はない。

5 審査会の判断

(1)本件異議申立て及び本件文書について

本件異議申立ては、異議申立人の本件開示請求により開示された県立浦和高等学校長の出張に係る文書が、同人によりなされた同種の開示請求により開示された他の高等学校長の出張に係る文書と齟齬があったことから、異議申立人が、実施機関に対して、本件開示請求に係る対象文書として不足している文書(文書1ないし文書13)について、対象文書と特定した上、開示することを求めたものである。
実施機関から提出された資料を見分したところ、文書1ないし文書13の内容は、次のとおりである

  • ア 文書1について
    文書1は、埼玉県高等学校長協会会長(県立熊谷高等学校長)から同協会の平成14年度総会の開催について各県・公立高等学校長及び各県立特殊教育諸学校長あて通知されたものである。なお、当該文書に係る用務について、県立浦和高等学校長は旅行命令を受けて出張していることが認められる。
  • イ 文書2、文書4、文書5、文書7、文書9及び文書11について
    文書2は、埼玉県高等学校長協会の南部地区校長会会長としての県立浦和高等学校長が第2回南部地区校長会の開催について南部地区県公立高等学校長及び南部地区特殊教育諸学校長あて通知をしたものであり、文書4、文書5、文書7、文書9及び文書11は、いずれも同協会の会長としての県立浦和高等学校長が同協会の理事会(第1回から第5回まで)の開催について各関係高等学校長あるいは各関係高等学校等校長あて通知をしたものである。なお、このうち文書2、文書4及び文書5に係る用務について、県立浦和高等学校長は旅行命令を受けて出張していることが認められる。
  • ウ 文書3、文書6、文書8及び文書10について
    文書3は、県教育委員会教育長から同教育委員会による地区別校長会議の開催について各県立学校長あて通知されたものであり、また、文書6、文書8及び文書10は、県教育委員会の高校教育課長から埼玉県高等学校長協会の理事会(第3回から第5回まで)の開催について各関係高等学校等校長あて通知されたものである。なお、これら4文書でそれぞれ通知された会議の会場は、県立浦和高等学校となっている。
  • エ 文書12及び文書13について
    文書12は、財団法人日本修学旅行協会会長から同協会の創立五十周年記念式典・祝賀会について県立浦和高等学校長にあてられた案内状であり、また、文書13は、埼玉県立熊谷農業高等学校創立百周年記念事業実行委員会から同校の創立百周年記念式典・祝賀会について同校長にあてられた案内状である。なお、これら文書に係る用務について、県立浦和高等学校長は旅行命令を受けて出張していることが認められる。

(2)本件開示請求に係る対象文書該当性について

  • ア 文書1について
    県立浦和高等学校長は、当該文書の受信者である各県・公立高等学校長に該当し当該文書を取得したと考えられるところ、実施機関からの説明によると、当該文書は任意団体である埼玉県高等学校長協会に係る文書であり、県立浦和高等学校長が公文書とは認識していなかったため、埼玉県立学校文書管理・公印規程に基づく事務処理手続によらず、同校長自身の手元に保管され、共有のキャビネット等に保管されていなかったことから、本件開示請求に係る対象文書として特定されなかったとのことである。これについて以下検討する。
    当該文書の受信者は各県・公立高等学校長及び各県立特殊教育諸学校長とされており当該文書は校長の職にある者に対し通知されたと認められること、また、当該文書の受信者を埼玉県高等学校長協会の会員と理解した場合においても、同協会の会員は埼玉県公立高等学校及び埼玉県立特殊教育諸学校の校長とするとされており、同協会の会員の身分は校長の職と不可分のものと認められ、したがって県立浦和高等学校長が校長の職と離れた個人の立場で当該文書を取得したとは認めがたいこと、さらに、同校長は当該文書に係る用務について旅行命令を受けて出張していることから、同校長は職務上当該文書を取得したと認められる。(当該文書の発信者が任意団体である埼玉県高等学校長協会であるか否かはこの判断に関係しない。)
    また、所定の収受・保管等の手続がされないことをもって、特定の文書の公文書性が否定されるものではなく、また、公文書性は客観的に判断されるものであり、実施機関の職員の認識や所定の事務処理手続が行われなかったことに関する実施機関の説明は、公文書性の判断に影響を与えるものではない。
    以上のことから、文書1については、本件開示請求に係る対象文書として特定することが妥当であると認められる。
  • イ 文書2、文書4、文書5、文書7、文書9及び文書11について
    これらの文書について、県立浦和高等学校長は、発信者である埼玉県高等学校長協会会長(又は同協会の南部地区校長会会長)としてこれら文書を作成し、また、受信者である各関係高等学校の校長(又は南部地区県公立高等学校長)に該当するものとしてこれらの文書を取得したと考えられることから、これらについて以下検討する。
    • (ア)作成について
      実施機関からの説明によると、これらの文書は、任意団体である埼玉県高等学校長協会の文書であるため、県立浦和高等学校長が公文書とは認識しておらず、このために所定の事務処理手続によらず、同校長自身の手元に保管され、共有のキャビネット等に保管されていなかったとのことである。
      また、実施機関から埼玉県高等学校長協会に事務局があるとの説明がされたことから、さらに、当該事務局の状況等について確認したところ、事務局長として同協会と雇用契約を結ぶ専属の職員がいること、県立浦和高等学校の事務室の一部について毎年度実施機関が同協会に対して行政財産の使用許可をしていること、同協会における文書の作成や保管に関しては当該事務局長が起案し会長の決裁を受け同協会保有のロッカーに当該文書を保管し処理していること、これらについて県立浦和高等学校の事務職員等は関与していないこととの説明があった。
      以上のことから、埼玉県高等学校長協会については、実施機関とは別の任意団体であると認められ、これらの文書を任意団体である同協会の文書とする実施機関の説明も不合理とは言えない。
    • (イ)取得について
      実施機関の説明によれば、これらの文書の発信者である埼玉県高等学校長協会会長としての県立浦和高等学校長が、当該文書の受信者にも該当する同校長自身にあてることとなるためにその通知を省略したことから、同校長は、これらの文書を取得していないとのことである。
      常識的にはこのような場合でも通知は作成されるべきものと考えられるが、事実上自身にあてることとなる通知を省略する取扱いがなされることはありうると認められるところであり、同校長が受信者の立場としてこれらの文書を取得しなかったという実施機関の説明は不合理とは言えない。
      上記(ア)及び(イ)から、文書2、文書4、文書5、文書7、文書9及び文書11について、本件開示請求に係る対象文書として特定しなかったことは妥当でないとまでは言えない。
  • ウ 文書3、文書6、文書8及び文書10について
    実施機関の説明によると、これら文書に係る用務はいずれも県立浦和高等学校で行われたものであり、同校校長は在勤公署を離れて出張していないため、本件開示請求の主旨が同校校長の出張に係る文書であることから、本件開示請求に係る対象文書に該当しないと判断したとのことである。
    実施機関から提出された資料を見分したところ、これら文書によりそれぞれ通知された地区別校長会議又は埼玉県高等学校長協会の理事会は県立浦和高等学校で開催されたと認められ、これら4文書を本件開示請求に係る対象文書として特定しなかったことは妥当であると認められる。
  • エ 文書12及び文書13について
    実施機関からの説明によると、文書12及び文書13は、いずれも招待状であるため、県立浦和高等学校長が公文書とは認識しておらず、このために所定の事務処理手続によらず、同校長自身の手元に保管され、共有のキャビネット等に保管されていなかったことから、本件開示請求に係る対象文書としなかったとのことであるので、これについて以下検討する。
    これら2文書について県立浦和高等学校長が校長の職を離れた個人の立場で取得したと認められる場合ならともかく、当該文書は県立浦和高等学校長あてに送付されたものであること、当該文書に係る記念式典に同校長は旅行命令を受けて出席していることなどが確認でき、上記アと同様の理由から、同校長は当該文書を職務上取得したと判断するのが妥当である。
    したがって、これら2文書については、本件開示請求に係る対象文書として特定することが妥当であると認められる。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
白鳥敏男、野村武司、渡辺咲子

審議の経過

年月日

内容

平成17年3月29日

諮問を受ける(諮問第100号)

平成18年1月26日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成18年2月27日

異議申立人から反論書を受理

平成18年6月13日

審議(第二部会第12回審査会)

平成18年7月11日

実施機関からの説明及び審議(第二部会第13回審査会)

平成18年8月1日

異議申立人の口頭意見陳述及び審議(第二部会第14回審査会)

平成18年9月7日

審議(第二部会第15回審査会)

平成18年10月10日

審議(第二部会第16回審査会)

平成18年11月10日

審議(第二部会第17回審査会)

平成18年11月28日

答申(答申第102号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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