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掲載日:2024年3月26日

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答申第90号 「埼玉県立草加西高校の特定職員5名分に係る平成9年度旅行命令簿」等の部分開示決定(平成18年7月18日)

答申第90号(諮問第95号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成10年3月27日付けで行った「平成9年度(平成10年1月27日まで)旅行命令簿(A校長、B教頭、C教諭、D教諭及びE教諭分)1件」(以下「本件文書」という。)の部分公開決定のうち、請求対象外とした「A校長が平成9年7月14日の次に出張をした部分」及び「C教諭が平成9年10月28日の次に出張をした部分」については、公開すべきであり、その余については、妥当である。

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成10年1月28日付けで埼玉県行政情報公開条例(昭和57年埼玉県条例第67号。以下「旧条例」という。)第5条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、草加西高等学校の平成7年度、平成8年度、平成9年度(ただし、平成10年1月27日分までのもの)のA校長、B教頭、C教諭、D教諭及びE教諭の「旅行命令簿」、「出張報告書又は出張のしたことが証明できるもの」及び「出張に係る費用の積算が判るもの」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2) 実施機関は、本件請求に係る公文書を本件文書と特定した上で、平成10年3月27日付けで行政情報部分公開決定通知書(以下「通知書」という。)により、本件文書の部分公開決定を行い、申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成10年5月26日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件処分のうち非公開となった次の部分を公開するべきであるとして異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

  • ア A校長が平成9年7月14日の次に出張をした部分(以下「対象情報1」という。)
  • イ C教諭が平成9年10月28日の次に出張をした部分(以下「対象情報2」という。)
  • ウ C教諭が平成10年1月19日の次に出張をした部分(以下「対象情報3」という。)
  • エ D教諭が平成9年11月20日の次に出張をした部分(以下「対象情報4」という。)
  • オ E教諭が平成9年11月20日の次及びその次に出張をした部分(以下「対象情報5」という。)

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成17年3月9日付けで実施機関から諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に際し、実施機関から平成17年8月31日付けで開示決定等理由説明書(以下「説明書」という。)の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成17年9月20日付けで申立人に説明書を送付し、反論書の提出を求めた。

(7) 当審査会は、平成17年10月25日に申立人から反論書の提出を受けた。

(8) 当審査会は、平成18年4月14日に申立人の意見聴取を行った。

(9) 当審査会は、平成18年5月18日に実施機関から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、次のとおりである。

(1) 実施機関は、通知書で公開しない行政情報を「職員の職務の級及び号給並びに用務先欄のうち個人情報」と限定しているにもかかわらず、対象情報1から対象情報5までの部分が、非公開とされており、通知書から逸脱をした不当な行政処分である。

(2) 実施機関が審査会へ提出した説明書の中で、「旅行命令簿に誤って記入したために削除した部分2か所及び情報公開請求の対象期間外の記載部分3か所について、請求対象外とする処分を行った」と記載して旧条例第6条第1項第1号に基づく処分としているが、この誤った記載内容を情報公開の対象外とする処分は、旧条例第6条第1項第1号に違反をした処分であることは、当時の条例の解説等からも明白である。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が、主張している内容は、次のとおりである。

(1) 通知書において、「職員の職務の級及び号給並びに用務先欄のうち個人情報」を旧条例第6条第1項第1号に該当するため、該当部分を非公開とした。

(2) 情報公開請求の対象文書の中に、開示請求等に係らない情報が存在する場合は、請求対象外を白抜きとし、請求対象外と明記する方法に従い、次の部分について請求対象外とし、部分公開を行った。

  • ア 旅行命令簿に誤って記入したために削除した部分2か所
  • イ 情報公開請求の対象期間外の記載部分3か所

(3) 公簿に記載された事項が、後に判明した事由により公的に削除された場合、その事項は公簿に記載されたことにならない。したがって、上記(2)アは、申立人にとって請求に見合う有意な情報とは言えず、請求する対象情報ではないと判断した。

5 審査会の判断

(1) 適用条例について

新条例は平成13年4月1日に施行されたが、本件は旧条例に基づきなされた処分に対する不服申立てであるため、当審査会は、旧条例の規定に基づき検討を行う。

(2) 本件文書等について

本件文書は、草加西高等学校の平成9年度(平成10年1月27日まで)の校長外4名が出張する際に作成した旅行命令簿であり、職員番号、職名、氏名、職務の級、年度、所属課所、発令年月日・旅行命令番号、用務、用務先、旅行年月日、認印(旅行命令権者印・部長印・課長印・係長印・旅行者印)、精算月日、金額及び備考の各欄で構成されたものである。
実施機関は、本件文書中の職員の職務の級及び号給並びに用務先欄のうち個人情報を旧条例第6条第1項第1号に該当するものとして非公開とし、「旅行命令簿に誤って記入したために削除した部分2か所」及び「情報公開請求の対象期間外の記載部分3か所」を請求対象外とした上で、部分公開決定を行っている。本件異議申立ては、請求対象外とした部分の公開を求めるものである。

(3) 本件文書に係る請求対象外の該当性について

  • ア 情報公開事務の手引(平成9年10月発行)によれば、対象文書の1ページのうち一部分に請求対象外の部分が含まれる場合は、対象となっていない部分を除く必要があることから、対象となっていない部分を紙などで隠して写しを取る(白抜きする)ことにより、開示するものとされていた。
    本件文書について、実施機関は、「旅行命令簿に誤って記入したために削除した部分2か所」(対象情報1及び対象情報2)及び「情報公開請求の対象期間外の記載部分3か所」(対象情報3、対象情報4及び対象情報5)を対象外として、白抜きにし、請求対象外と明記し、その余の部分について部分公開決定を行ったものである。
  • イ まず、本件文書の請求対象外とされた部分のうち、「情報公開請求の対象期間外の記載部分3か所」(対象情報3、対象情報4及び対象情報5)であるが、申立人請求書において指定する請求対象期間に含まれない情報であることは明らかなため実施機関が請求対象外とした判断は妥当なものと認めることができる。
  • ウ これに対して、「旅行命令簿に誤って記入したために削除した部分2か所」(対象情報1及び対象情報2)は、申立人が指定する請求対象期間に含まれる情報であるが、誤記を理由として対象外とされていることが認められる。この点について、実施機関は、後に判明した事由により公的に削除した場合は、本件文書に記載されたことにはならない。したがって申立人にとって請求に見合う有意な情報とは言えず、請求する対象情報ではないとする。
  • エ 当審査会が本件文書を見分したところ、請求対象外とされた「旅行命令簿に誤って記入したために削除した部分2か所」のうち対象情報1については、発令年月日、旅行命令番号、用務、用務先、旅行年月日、精算月日及び金額が記載され、認印欄については、旅行命令権者の押印がされ、削除を表す二線が引かれた情報が記録されている。対象情報2については、発令年月日、用務、用務先及び旅行年月日が記載され、認印欄については、旅行命令権者の押印がされていなく、削除を表す二線が引かれた情報が記録されていた。
  • オ ところで、旧条例第2条の本文において「行政情報」とは、次に掲げる文書(磁気テープ、磁気ディスク、フィルム等を含む。以下同じ。)で、県の機関が保管しているもの(以下「公文書」という。)に記録された情報をいう。
    • 一 県の機関が作成した文書で決裁が終了したもの
    • 二 県の機関が入手した文書で受理等の手続が終了したものと規定されている。
  • カ 以上の点から判断すると、対象情報1は、旅行命令権者の押印が終了していることから、最終的に旅行命令権者としての意思決定がされたものであり、本条本文における「県の機関が作成した文書で、決裁が終了したもの」に該当し、公文書に記録された情報と認めることができる。このため、削除した情報であるから本件文書に記載されたことにはならないとする実施機関の主張は認めることができない。
    また、対象情報2は、旅行命令権者の押印のみがされていないが、旅行命令権者の押印がないことにより、旅行命令を発しなかったという旅行命令権者の意思として確定したもの(決裁が終了したものと同様)であり、公文書に記録された情報と認めることができる。このため、対象情報1と同様に実施機関の主張は認めることができない。
  • キ したがって、「旅行命令簿に誤って記入したために削除した部分2か所」(対象情報1及び対象情報2)は、申立人の請求対象期間内に含まれる情報であり、かつ、公文書に記録された情報に該当することから、請求対象外とした判断は、認めることができない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
白鳥敏男、野村武司、渡辺咲子

審議の経過

年月日

内容

平成17年3月9日

諮問を受ける(諮問第95号)

平成17年8月31日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年10月25日

異議申立人より反論書を受理

平成18年3月20日
(第二部会第9回審査会)

審議

平成18年4月14日
(第二部会第10回審査会)

異議申立人より意見聴取及び審議

平成18年5月18日
(第二部会第11回審査会)

実施機関より意見聴取及び審議

平成18年6月13日
(第二部会第12回審査会)

審議

平成18年7月18日

答申(答申第90号)

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

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