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掲載日:2024年3月26日

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答申第92号 「埼玉県立所沢西高校の平成13年度夏季休業中における教職員の出勤簿」の不開示決定(平成18年9月7日)

答申第92号(諮問第102号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成14年8月26日付けで行った、埼玉県立所沢西高等学校の平成13年度夏季休業中における教職員の出勤簿(以下「本件対象文書」という。)を全部不開示とした決定(以下「本件処分」という。)は妥当でなく、別表に掲げる部分を開示すべきである。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1)本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成14年8月12日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、埼玉県立所沢西高等学校の平成13年度夏期休業中における教職員(以下「職員」という。)の出勤簿について開示請求を行った。

(2)実施機関は、本件開示請求に対する公文書を本件対象文書と特定し、条例第10条第1号に該当するとして不開示決定が適当と判断し、平成14年8月26日付けの公文書不開示決定通知書により、その旨を申立人に通知した。

(3)申立人は、平成14年10月3日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件対象文書上に記載のある集計欄の開示を求めるとして異議申立てを行った。

(4)当審査会は、本件異議申立てについて、平成17年3月31日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5)当審査会は、本件審査に際し、実施機関から、平成18年2月23日付けで「開示決定等理由説明書」の提出を受けた。

(6)当審査会は、平成18年6月7日に、実施機関の職員から意見を聴取した。
なお、申立人からは、反論書の提出、口頭意見陳述の求めはなかった。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1)実施機関からの公文書不開示決定通知書には、公文書の様式、内容等の説明は一切なく、文書不存在と同一形式をとったことは妥当でない。行政側が有する説明責任に反する。

(2)本件対象文書にある集計欄には、出勤日数、研修日数等の数字が記入されており、集計欄の開示は是非とも必要であり、その開示を求める。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1)条例第10条第1号は、個人のプライバシーを保護するため、個人に関する情報の内容のいかんを問わず、特定の個人が識別され又は識別され得る限りにおいて、当該情報を原則として開示しないものとして取り扱うこととしている。ただし、本号ただし書ハにおいて、公務員の職務の遂行に係る情報のうち、公務員の職及び職務遂行の内容に係る部分を不開示とする情報から除外することとしている。

(2)本件対象文書である出勤簿は、職員の監督者が職員の人事管理のため、その出勤状況を把握する目的で作成するものであり、職員が出勤した、あるいは休暇等を取得したという状況が判明するだけで、個々の職員の具体的な職務の遂行と直接関連を有する情報が判明するものではない。条例第10条第1号ただし書ハには該当しない。

(3)以上から、本件対象文書は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当するため、公文書不開示決定処分とした。

(4)なお、実施機関は、近年の情報公開に係る動向を踏まえ再検討を行い、現在は、出勤簿の開示請求があった場合には次の部分を除き開示するものとしている。

  • (一) 年次休暇及び特別休暇の情報が記載されている部分並びに年次休暇の「前年からの繰越日数」、「本年受けられる休暇日数」、「本年受けた休暇日数」及び「翌年への繰越日数」の各欄
  • (二) 出勤、出張、職務専念義務の免除の情報が記載されている部分と上記1の記載部分とが重なり合う部分
  • (三) 月別統計欄における年次休暇、病気休暇、特別休暇、夏季休暇、欠勤及び休職期間

5 審査会の判断

(1)本件対象文書について

出勤簿は、埼玉県立学校職員服務規程第7条に基づき教育委員会が定めた様式で、職員1人につき暦年ごとに1枚作成される。職員は、校長の定める執務開始時刻までに出勤し、ただちに所定の出勤簿に自ら押印をしなければならないとされている。また、職員の出張、研修、休暇等の場合は、校長又は校長のあらかじめ指定する職員が、その旨を出勤簿に記載しておかなければならないとされている。
本件対象文書は、埼玉県立所沢西高等学校の職員の平成13年度の出勤簿であり、(一)氏名情報(「暦年」、「職名」及び「氏名」の欄)、(二)履歴情報(「任命年月日」、「補職年月日」、「転入出年月日」及び「免職年月日」の欄)、(三)年次休暇日数情報(「前年からの繰越日数」、「条例上の年次休暇日数」、「本年受けられる休暇日数」、「本年受けた休暇日数」及び「翌年への繰越日数」の欄)、(四)出勤情報(本年1月から12月までの各日付欄)、(五)月別集計情報(「出勤」、「出張」、「研修」、「年次休暇」、「病気休暇」、「特別休暇(夏季休暇を除く)」、「夏季休暇」、「職務専念義務免除」、「欠勤」、「休職期間」、「備考」の区分ごとに前年の4月から本年の12月までの月別集計欄)から構成されている。
(四)出勤情報の各日付欄には、職員が出勤した場合の押印の印影が表示されるほか、出張した場合の「出張」等、教育公務員特例法第22条の研修をした場合の「研修」、年次休暇又はその他の休暇等を取得した場合の「年休」等、職務専念義務免除を受けた場合の「職専免」、週休日等の指定又は変更を受けた場合の「週休日」等、その他「欠勤」、「休職」等の記載がされる。

(2)不開示情報該当性について

条例第10条第1号は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもののうち、同号ただし書イからハまでに掲げるものを除き、これを不開示情報としている。同号ただし書ハは、当該個人が公務員である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち当該公務員の職及びその職務遂行の内容に係る部分について、同号の不開示情報に該当しない旨規定している。
実施機関は、出勤簿は職員の人事管理のために作成されるものであり、出勤簿に記載された情報は、単に当該職員が出勤した、あるいは休暇等を取得したという事実を示すに過ぎず、これからは具体的な職務遂行の情報は判明せず、同号ただし書ハに該当しないため、全部不開示としたと主張している。そこで、当該不開示情報該当性について、以下検討することとする。
なお、申立人は、異議申立ての趣旨において、本件対象文書上に記載のある集計欄の開示を求めているところ、その真意が、少なくとも集計欄の開示はすべきとの趣旨か、集計欄の開示だけでよいとの趣旨か定かでなく、異議申立ての理由における記載や情報公開制度の目的に照らし、限定的に把握することは適当でないとの判断から、本件対象文書全体をその対象としているものとして検討することとする。

  • ア 氏名情報について
    職員の職名は、下記エのとおり本件対象文書が職務遂行に係る情報を含むことが認められることから、条例第10条第1号ただし書ハに該当し、開示すべきものと認められる。
    職員の氏名は、県立高等学校の職員の場合、その人事異動情報が新聞報道され、また、毎年各校が作成し県政資料コーナー等で閲覧ができる学校要覧において職員の氏名等が掲載されているなどの事実が認められることから、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報ということができ、条例第10条第1号ただし書イに該当し、開示すべきものと認められる。
    また、暦年は、本件不開示決定通知書の中でも明らかにされていることに示されるように、慣行として公にされている情報であるということができ、条例第10条第1号ただし書イに該当し、開示すべきものと認められる。
  • イ 履歴情報について
    任命年月日をはじめとする職員の履歴情報は、当該職員の個人情報ではあるが、県立高等学校の職員の場合、その人事異動情報が新聞報道され、また、学校要覧において着任年月日を掲載する学校があるなどの事実が認められることから、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報ということができ、条例第10条第1号ただし書イに該当するため、開示すべきものと認められる。
  • ウ 年次休暇日数情報について
    年次休暇は、その事由を限定せず、職員の請求に基づいて与えられる有給休暇であり、一定期間に何日取得したのかという情報は、当該職員の健康や私生活の内容にかかわるものである。したがって、公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえないことから、「前年からの繰越日数」、「本年受けられる休暇日数」、
    「本年受けた休暇日数」及び「翌年への繰越日数」は、条例第10条第1号に該当するものとして不開示としたことは妥当であると認められる。
    ただし、「条例上の年次休暇日数」については、学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例に基づき、職員に対して一律に同じ日数が付与されるものであり、当該職員の過去の年次休暇の取得状況等個別の事情によりその取扱いを異にするものではないものと認められることから、法令の規定により公にされている情報ということができるので、条例第10条第1号ただし書イに該当し、開示すべきものと認められる。
  • エ 出勤情報について
    • (ア)出勤、出張及び研修に係る情報は、それぞれ、職員が当該日に勤務をしたこと、職員が当該日に公務のため命令を受けて旅行したこと、職員が当該日に教育公務員特例法第22条による研修を行ったことを示すものであり、職務遂行の内容に係る情報と認められ、条例第10条第1号ただし書ハに該当し、開示すべきものと認められる。
    • (イ)職務専念義務免除は、職務に専念する義務の特例に関する条例や職務に専念する義務の特例に関する規則で定められた、公務に支障が生じない必要最小限度の範囲で受けることができるものであり、職員の健康や私生活の内容にかかわるもののほか、職員が研修を受ける場合など職務と関連する特定の事由により、本来の職務への従事が免除されている。また、実施機関の説明によれば、出勤簿の職務専念義務免除の情報が記載されている部分は、現在では、出勤、出張と合わせて開示すべき情報として取り扱うこととしているとのことである。
      以上のことから、職務専念義務免除に係る情報は、当該職員の健康や私生活の内容にかかわる内容を除き、職務遂行の内容に係る情報に該当すると認められ、職員の健康や私生活の内容に関わる事由の記載を除き、開示すべきと認められる。
    • (ウ)週休日等の指定又は変更は、校長が規定に基づいて行うものであるから、職員が週休日等を何日に何時間指定されたかどうかの情報は、変更を含めて、公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえる。したがって、条例第10条第1号ただし書ハに該当するため、すべて開示すべきものと認められる。
    • (エ)(ア)から(ウ)までの情報以外の情報について、年次休暇に係る情報は、上記ウのとおり、公務員としての職務遂行の内容に係る情報であるといえず、また、その他の休暇や休業に係る情報についても、いつ何日取得したかという情報は、職員の健康や私生活の内容にかかわる情報と認められる。したがって、条例第10条第1号ただし書ハの職務遂行の内容に係る情報であるとはいえず、不開示としたことは妥当であると認められる。
    • (オ)なお、本件対象文書を見分したところ、例えば時間単位で年次休暇を取得したために、1つの日付欄において、開示すべきとした出勤を示す印影と不開示とした年次休暇等の情報とが重ねて記載されている場合が見られる。
      条例第11条第1項は、「開示請求に係る公文書の一部に不開示情報が記載されている場合において、当該公文書から不開示情報が記録されている部分を容易に、かつ、開示請求の趣旨が損なわれない程度に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分以外の部分を開示しなければならない。」と規定しているが、上記の場合は、これに該当しないと判断され、不開示とすべきものと認められる。
  • オ 月別集計情報
    月別集計情報は、職員の勤務状況を出勤、出張、休暇等の種類別に集計したものであり、上記エと同様、休暇の取得等職員の健康や私生活の内容にかかわる情報を除いて開示することが可能であれば、開示すべきものと認められる。このことから、月別集計欄のうち、年次休暇及びその他の休暇の情報が記載されている欄並びに欠勤及び休職期間の欄を除いた部分は、条例第10条第1号ただし書ハに該当する情報であるため、開示すべきものと認められる。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
城口美恵子、田村泰俊、山口道昭

別表

  1. 氏名情報
    暦年欄、職名欄、氏名欄
  2. 履歴情報
    任命年月日欄、補職年月日欄、転入出年月日欄、免職年月日欄
  3. 年次休暇日数情報
    条例上の年次休暇日数欄
  4. 出勤情報
    出勤、出張、研修、職務専念義務免除(職務専念義務免除の事由を除く。)及び週休日等の指定又は変更に係る情報が記載されている部分
    ただし、出勤を示す印影と年次休暇その他不開示とすべき情報とが重ねて記載されている部分を除く。
  5. 月別集計情報
    出勤、出張、研修、職専免及び備考の月別集計欄

審議の経過

年月日

内容

平成17年3月31日

諮問を受ける(諮問第102号)

平成18年2月23日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成18年6月7日

実施機関から意見聴取及び審議(第三部会第15回審査会)

平成18年7月25日

審議(第三部会第16回審査会)

平成18年9月7日

答申

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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