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掲載日:2026年10月23日
Q 渡辺大 議員(自民)
学校は、子供たちが社会と出会う場です。校内に、民間企業、福祉、医療、IT、製造、金融、海外勤務など多様なバックグラウンドを持つ教員が存在することは、子供たちの視野や将来の選択肢を大きく広げます。また、培った人生経験を教育に生かしたいと志す社会人を迎えることは、単なる欠員補充ではなく、教員集団の多様性を高め、学校教育そのものを豊かにする重要な人材戦略です。
しかし、本県の民間企業等経験者の採用実績はいまだ極めて限定的です。令和9年度採用の教員採用試験では、全体合格者1,780人に対し、セカンドキャリア特別選考の合格者は56人と全体の3.1パーセントに過ぎません。特に小学校等教員では、合格者725人中僅か15人、約2.1パーセントです。県は、令和9年度採用から民間採用企業等での勤務要件を通算5年以上に加え、1か所で継続3年以上に緩和しました。この見直し自体は評価しますが、より本質的な障壁はその先にあると思います。
現在のセカンドキャリア特別選考は、教員採用選考試験に合格しても、原則として普通免許状を取得しなければ教員として採用されません。最長2年間の名簿登載猶予制度はあるものの、大学に改めて入学して単位を取得したり、平日の教育実習、介護等体験が必須となります。既に仕事を持つ30代、40代が、現職を続けながら大学に通ったり、平日に教育実習、介護体験等のためにまとまった休暇を取るということは極めて困難です。現行制度は、大学に通う時間を確保できる人を前提としています。
しかし、本県が本来獲得すべきターゲットは、教員としての高い専門性や能力を持ちながら、時間の制約、教職課程に通う時間を確保できない人ではないでしょうか。時間の制約のみで門戸を閉ざすのは、本人にとっても子供たちにとっても大きな損失です。
そこで、戦略的に活用すべき制度が特別免許状です。特別免許状は、優れた知識や社会経験を持つ人材に対し、普通免許状がなくても都道府県教育委員会が独自に授与できる正式な免許状です。ところが、令和9年度の教員採用選考試験において、合格後に特別免許状を取得できる枠は高校の看護に限られています。
競争倍率は、3倍から7倍程度が十分な資質を持つ教員確保の目安になるとも言われています。対して、本県の令和9年度採用の教員採用選考試験では、小学校が全体で1.5倍、中学校の技術、理科、英語、美術、家庭、音楽が1倍台、高校の英語も1.9倍と、深刻な低倍率が続いています。まずは小学校の専科指導、英語、理科、算数、体育など、中学校の技術、理科、英語、美術、家庭、高校の情報、工業、商業、福祉など、民間の専門性が直結し人材ニーズが高い教科から、特別免許状を前提とした採用枠を新設、拡大すべきです。
そこで第1に、セカンドキャリア特別選考の合格実績が約3パーセントで横ばいにとどまる現状を打破するため、例えば3年間以内に年間100人以上といった明確な数値目標を設定し、目標とする受験者数、合格者数、採用後の定着率を毎年度公表すべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。
また、普通免許状の取得時間を確保できない優秀な民間人材に教職への道を開くため、特別免許状の授与を前提とした特別選考を新設、拡充すべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。
A 石川薫 教育長
まず、セカンドキャリア特別選考の数値目標の設定と公表についてでございます。
教員の採用人数は、学校種ごとの教員の必要数や欠員の状況を踏まえて決定しているものであり、選考区分ごとに採用人数を定めてはおりません。
議員お話しのように、セカンドキャリア特別選考に限って合格者数等の数値目標を設定した場合、その目標の達成を優先することにより、他の選考区分における合格者数を抑制してしまうことも懸念されることから、慎重な検討が必要であると考えております。
一方、議員ご指摘の採用後の定着率につきましては、学校での勤務経験がない方が安心して教職を目指す上で参考となるものと認識しております。
今後は、採用後の定着率について説明会等で情報提供を行うなど、新たな志願者の確保に努めてまいります。
次に、特別免許状の授与を前提とした特別選考の新設・拡充について、でございます。
民間企業等で培った、優れた知識や社会経験を有する人材を学校に迎え入れることは、教員集団の多様性を高め、学校教育の充実を図る上で重要であると認識しております。
県では、教員免許状を持たない優秀な民間人材を採用するため、高い専門性を有した社会人経験を持つ方や、特定の資格を持つ方を対象とした特別選考を実施し、合格者に特別免許状を授与してきたところです。
議員お話しの、特別免許状の授与を前提とした特別選考につきましては、学校種や教科に関する専門的な知識や技能、経験を有しているかといった観点等を踏まえ、適切に実施する必要があります。
こうした点や本県において実施した場合の効果について整理するとともに、他県における実施状況などを踏まえ、特別免許状を活用した特別選考の新設・拡充について研究してまいります。