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掲載日:2026年10月23日
Q 渡辺大 議員(自民)
介護、保育、看護の各分野の人手不足は危機的であり、公定価格により事業者の収入上限が定められ、物価高や人件費の高騰を価格転嫁できないという構造的制約を抱えています。そうした中、切迫した人手不足の現場は、民間優良紹介会社に頼らざるを得ず、巨額の手数料に苦しんでいます。
本県の状況を試算すると、介護約10万人、看護約7万人、保育約3万人の計20万人が従事しています。年間採用率を15パーセント、そのうち民間紹介経由を15パーセント、1人当たりの紹介手数料を相場の年収の20パーセントから30パーセントと見て、平均100万円と仮定すると、年間約4,500人分、実に総額45億円規模の手数料が民間紹介会社へ支払われていると推計されます。本来、現場の処遇改善やサービス向上に充てるべき公的財源が、仲介手数料として外部へ吸い上げられています。
さらに、大手求人業者の多くは都内に本社を置くため、県民の税金や介護保険料が県外へ流出し続けている点も見過ごせません。仮に県の施策で民間紹介市場の1割でも公的ルートへ転換できれば、年間約4億5,000万円のコスト削減となり、そのまま現場職員の処遇改善や環境改善へ振り向けられます。事業者の経営を救い、現場の処遇を改善する極めて即効性の高いアプローチだと思います。
本県には、既に福祉人材センター、保育士・保育園支援センター、ナースセンター等が存在します。しかし、現場からは「民間に比べ使いづらい」「スマホ対応が不十分」「即時スカウトがない」との声が多く、民間大手サイトへ流出して、使命を十分に果たせていません。単なるお役所のポータルサイトではなく、UI/UXに優れたスマホ完結型で本気の埼玉県版公的人材紹介サービスを創設すべきです。
本事業は、仮に1億円を投じてでも取り組む価値があると思います。民間なら年収1,000万円の人材を10人採用すれば1億円の予算が必要ですが、県庁内の優秀な職員を部局横断で10人程度の専門チームとして編成すれば、多額の外部委託費用は必要ありません。さらに、近年飛躍的に進化したクロードコードやオープンAIのコーデックス等の生成AIを活用すれば、サイトやアプリの開発、運用、改善の相当部分の内製化が十分に可能だと思います。
本県には、検索エンジンの評価、信頼性が最上位である「pref.saitama.lg.jp」という最強のドメインがあります。このドメイン力を基盤に、職員自らがデータ分析やSEO、求職者の離脱率・応募率の改善、LINE等によるプッシュ通知等の最適化を内製で行い、PDCAを回し続けるべきです。そこで蓄積されるデジタルマーケティングの知見は、県の幅広い行政サービスの質を高める貴重な財産にもなります。
また、ウェブにとどまらず、職員が県内の施設に直接足を運び、職場の魅力、労働条件、処遇改善加算の配分状況を丁寧に取材し、求職者に響く求人票を作成、発信することも内製化すべきです。
民間手数料の1割を転換するだけで年間4億5,000万円超の削減効果があり、前述のとおり1億円規模の政策経費を投じても、投資経費の4倍から5倍に匹敵する直接支援効果が見込めます。既存施策の再編統合であれ、新規事業であれ、専属チームとデジタルマーケティングの内製化を両輪とし、成果と費用対効果を強く意識した独自の公的人材紹介サービスを創設すべきと考えます。この点についての知事の御所見をお伺いします。
A 大野元裕 知事
少子高齢化の進行や生産年齢人口の減少に加え、他分野との人材確保競争が激しさを増す中で、介護、保育、看護の分野での人材確保は一層困難な状況となっております。
こうした中、本県では、これらの分野において、公的な職業紹介機能を有する人材センター等を設置し、求職情報の提供や求職者と事業者とのマッチング支援を行っております。
これらの公的な人材センター等では、求人・求職者双方の希望の丁寧な把握のほか、マッチング、就職後の定着支援まで、それぞれの分野での専門性と、長年培ってきた信頼関係とネットワークがございます。
また、福祉・看護人材については一定の経験や知識・技能も必要なところ、職業紹介だけにとどまらず、復職に不安を抱える方に対しては、これまでの経験や希望に応じた研修を実施するなど、職場復帰の支援も丁寧に行っているところであります。
こうした強みを生かし、令和7年度には、各分野を合わせて1,971人の採用につなげております。
議員御提案の、県職員による専属チームを新たに設け、サイトやアプリの開発から求人票の作成、発信までを一体的に内製化することについては、専門人材の確保や運営体制の持続性、費用対効果などの課題を十分に見極める必要がございます。
他方、それぞれの専門団体に委託している公的な人材センター等は、専門的知識が豊富である一方、議員お話しのとおり、民間有料職業紹介に比べて使いづらいといった声もあり、マッチング機能向上のための工夫の余地もあると思っています。
このため、まずは、既存の人材センター等が有する強みを生かしながら、UI・UXに優れたポータルサイトへの改善や、求人情報のプッシュ型通知の活用等により、求職者への情報をより伝わりやすくするなど、公的な職業紹介のマッチング力を高め、事業者の人材確保を支援してまいります。