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ページ番号:270305
掲載日:2025年7月8日
Q 渡辺大 議員(自民)
現在、埼玉県の県立高校入試制度では、受検生は原則として1校しか出願できず、その合否結果によって県立高校への進学が決定されます。この仕組みは非常にシンプルですが、受検生や保護者にとっては進学先の選択肢が制限されることや、実力に見合った合格機会を逃してしまうという課題が指摘されています。
例えば、私立に通うことによる経済的負担を回避したいと考える世帯にとっては、公立への合格が最優先となるため、確実な合格を期して自分の実力に見合った水準よりも合格の可能性が高い学校に出願せざるを得ず、本来希望している学校への挑戦を諦めざるを得ないというようなケースです。
こうした弊害を解消できる仕組みが今回提案する受入保留アルゴリズム、いわゆるDA方式と呼ばれるものです。経済学で進歩の著しいマッチング理論、海外では受入保留アルゴリズム(Deferred Acceptance)、いわゆるDA方式を用い、複数志願を許容し、生徒や学校側の満足度を最大化しつつ進学先を決定する仕組みが増えています。
DA方式による併願制では希望する学校に複数志願できるので、ほかの生徒の動向にかかわらず、全ての生徒が本当の希望をそのまま出願することが可能になるというのがポイントです。言い換えると、生徒は志願先決定に際して倍率や合格率などの情報に左右される必要がありません。生徒は戦略的に高校を選ぶ必要がなくなります。
また、合格校より志望順位が高い高校には、自分より入学優先順位、総得点の高い人しか合格していないという意味で、公平性も保たれます。
現状、経済的には私立は厳しいため、志望度は低いが実力的に合格率が高い高校に出願という家庭もあります。しかし、DA方式なら、公立の中で第2希望、第3希望、第100希望と選べるので、希望を下げずに第1希望に挑戦できます。
さらに、DA方式では、生徒が努力して総得点を伸ばすほどより高い希望の学校に合格できる可能性が高まり、生徒の努力に報いる仕組みとなっています。これは、一定の手順をコンピューター内で処理していくもので、割り振りについて人力を煩わせるものではなく、生徒の合格校決定に教職員の負担を増すものではありません。
DA方式による併願制の導入は、主体的な意思決定と希望に向けてチャレンジできる経験を通して、自己効力感を高める機会にもなるはずです。本県においても県立高校に複数校の志望を可能とし、DA方式に基づくマッチングを活用すれば、生徒の個性や志望の多様性をより適切に反映し、また、定員割れ、偏りの是正や合格機会の最大にもつながると考えます。
そして、この仕組みは東京大学マーケットデザインセンターが2021年に提案しており、ここでは行政機関への導入のサポートを申し出ています。埼玉県として今すぐ手を挙げていただき、県立高校入試に受入保留アルゴリズム(DA)方式での併願制の導入を提案します。教育長の御所見をお伺いします。
A 日吉亨 教育長
議員お話しのとおり、デジタル技術を用いた併願制は、受検生にとって複数の県立高校に同時に志願することができるという意味で、選択肢が増えると考えております。
また、県立高校を受検する中学生が、それぞれの高校の特色を十分理解した上で、自分自身にとって、より良い志望校を決定することも充実した高校生活を送るために大切でございます。
現在、県ではDA方式での併願制について、国や他県から情報収集をしており、導入する際の効果や影響について、しっかりと研究してまいります。
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