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掲載日:2026年3月23日
Q 蒲生徳明 議員(公明)
初めに、住民に寄り添った県の対応についてです。
昨年1月28日に発生した八潮市での大規模な道路陥没事故から1年がたちました。この間、知事を先頭に県がワンチームで事故対応に当たってこられたことに心より感謝を申し上げます。
とりわけ、事故発生直後から職場の最前線で不眠不休の対応に当たってくださった下水道局職員の皆様をはじめ、全ての関係者の皆様の献身的な御尽力に改めて敬意と感謝の意を表します。
また、県議会においては、八潮市道路陥没事故調査等特別委員会の皆様が、住民の視点に立った質疑や視察を進めてこられたことにも重ねて敬意を表します。
事故から1年を迎えた今、県民の生命と財産を守るという原点に立ち返り、これまでの県の対応と取組を振り返りつつ、私自身の反省も含め、今後のあるべき姿を改めて考えてみたいと思います。
事故現場周辺の住民の皆様の苦しみは、今なお続いています。住民有志による被害者の会や報道機関のアンケートによれば、回答者の約7割が県の保障内容に不満を抱き、86パーセントの方がストレス、精神的負担を訴えています。
現場では今も下水由来の悪臭や復旧工事の騒音・振動が続き、硫化水素の影響と見られるエアコンの故障や金属製品の腐食、さらにはせきや頭痛といった健康被害も報告されています。「あの日から全てが変わった」との住民の声は、決して過去形ではありません。
先日、私は、事故現場に近い住民の皆様と「チーム虹の架け橋」という名の被害者の会を設立した木下史江さんにお会いし、アンケート活動の内容や事故後からこれまでの状況をお聞きしました。9月に我が団が木下さんと事故現場に近い住民の皆様との意見交換を行ってから2度目になります。
前回も初めて知る事実に驚き、戸野部議員がお聞きした問題について委員会で取り上げました。今回も初めてお聞きすることもあり、知事に直接お伝えすべきと考え、取り上げることとしました。
木下さんからは、事故後の住民に対する県の対応等について切実な思いが告げられました。内容の一部を御紹介します。
事故当初、事故現場では硫化水素の値に対応するアラームがずーっとなり続けていて、近くの住民は喉の痛みや頭痛に耐えながら暮らしていました。しかし、その後の県の説明会で専門家の方から「数値的に問題はないので安心してほしい」と言われ、知事からも同様の発言がありました。住民の実感が完全に否定され、生活実態が全く理解されていないと深い失望を抱きました。下水のふたが開いたままの場所からは、今も強い臭気が出ています。
それでも、県は「ある程度落ち着いている」と説明し、住民宅への訪問もお願いがあるとき以外ほとんど行われていません。「これまで、なぜ1軒1軒を訪問してくれなかったのか。受け身ではなく、能動的に寄り添って欲しかった」と木下さんは言います。
そして、私たちは事故当初、連日、被害現場にいらっしゃる御家族の姿を見て、とても自分たちの声を上げることができませんでした。それから、苦しみを抱え込む日々が続きましたが、その沈黙が県に実態が伝わらない結果を招いたと感じています。ずっと声を上げられなかったんです。
一番悔しいのは、時が過ぎてしまっているという事実です。もう事故当初と環境が違うんです。今でも苦しいけれども、事故当初はもっともっと苦しかった。そして、その苦しみは何か月も続きました。でも、県は本気で私たちに寄り添ってはくれなかった。この言葉をお聞きし、私は胸が締めつけられる思いでした。
私も当初から国会議員、八潮市議会議員と連携し、団としても今何ができるかを考え、対応はしていました。現場にも行き、周辺の住民の方から要望も伺いました。しかし、一人一人と継続的に向き合えたかといえば、できておりません。
なぜもっと早くから、もっと丁寧に住民一人一人の声に寄り添えなかったのだろう。声を上げることができなくて苦しんでいる被害者の下に駆けつけて、もっと深く寄り添うべきだったはずだ。何が小さな声を聞く力だと猛省をしました。
木下さんは声を上げることができなかったその悔しさと時間が経過する中、寄り添ってもらえなかった悲しさの中で住民自身が自分たちの過ごした実態を記録し、伝えなければと、被害者の会を立ち上げたというのです。
そこで、知事にお聞きします。
知事は本年の仕事始めの挨拶で、「現在も御不便をおかけしている地域住民や事業者の立場に立った対応を引き続きお願いしたい」と述べられました。であるならば、その言葉が現実と乖離していないのか危惧を抱いております。
県が問題なしとした硫化水素の値についても、値が低くても下水の臭気、不快感、生活の質の低下を引き起します。健康に影響がないイコール問題なしではありません。生活への影響をどう評価し、どう向き合い、どう対応するのかが求められていると思います。受け止めるべきは、住民の皆様は事故発生後ずっとそこに住み続け、苦しんでいるという現実です。
私は、今こそ形式的な説明や補償制度の枠内対応にとどまらず、生活への影響への柔軟な支援、心理的なケアの体制強化、被害実態に即した個別的、継続的な支援など、伴走型の対応が求められていると考えます。
そこで、この一年の県の対応を知事はどう総括し、今の不安を抱えている住民の現実をどう受け止め、どう対応していくおつもりなのか、率直な御所見を伺います。
A 大野元裕 知事
県では、陥没事故発生後速やかに電話相談窓口を設けることと併せ、工事説明会や個別相談会、医師による講演会など様々な機会を捉え、不安を抱える周辺住民の皆様のお声を受け止めるとともに、50メートルの範囲内の全てのお宅については一軒一軒直接お訪ねをし、悩みについてもお伺いをしてまいりました。
また、周辺住民の皆様からの御意見に対し、直接対応できるよう現地に対策本部を設け、職員が日々対応を行っております。
さらに、補償内容を検討するに当たっても、皆様から寄せられたお声を踏まえることとし、補償説明会を開催し丁寧にお示ししてまいりました。
他方、周辺住民から御提出いただいた要望書や住民の方が実施していただいたアンケート結果につきましては私も直接拝見しており、厳しい御意見も頂いておりますが、全てについて、貴重な御意見として受け止めております。
これまでも頂いた御意見等に基づき、できる限りの対応を行ってきたところであり、例えば、硫化水素については、健康に影響がないので問題はないとの評価ではなく、現場付近でほぼ検出されなかったことを御説明してまいりましたが、それでも一方で不安が残るとのお声があったために、8軒の御自宅や事務所の中での測定を追加するなどの対応を行い、また、健康被害への不安等のお声に対し、科学的知見を共有させていただくため、硫化水素中毒に詳しい医師による講演会を実施し、なお不安を抱える住民に寄り添うため心理師による個別相談会を実施をさせていただきました。
また、自動車のメッキ部品に錆が生じているとの御指摘に対しては、試験機関で分析をし、専門家に見解をお伺いした上で、事故現場から発生している硫化水素が影響していることを否定できないことから、補償するとさせていただいたものであります。
今後も復旧工事は継続していくことから、引き続き、皆様の声を真摯に受け止め、被害の実態に即した丁寧な対応に努めてまいります。