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掲載日:2025年7月8日
Q 新井豪 議員(自民)
2年前の日曜日の夕方、当時、小学2年の私の長男が激しい腹痛を訴え、休日・夜間急患当番である市立病院に連れて行きました。その救急病室の前には、診察を待つ患者や満床でベッドを使用できない診察中の患者であふれておりました。診察を待つ間、頭から流血している方、激しい痛みを訴える方などが続々と来院します。病室をのぞくと、ドクターは1人しかおりません。そのドクターは患者の顔面を縫合しておりました。違うベッドからは、カーテン越しに「お父さん、死なないで」という小さい女の子の声も聞こえてきました。
病院に来てから約2時間、腹痛に耐える長男がやっと診察を受けました。診察を受けている間にも、病室の電話が鳴り続け、看護師さんが応答します。恐らく救急車からの要請であろう連絡に対し、「受けるしかないだろう」とドクターが声を絞り出す、まるでドラマのような場面も見ました。その病室では数時間の間に30人からいたであろう重症患者に対して、数名の看護師とたった1人のドクターが処置に追われていたのです。
私の長男は急性虫垂炎の疑いとのことで、ドクターの判断で埼玉医科大学に救急搬送されることになりました。幸い、観光客の渋滞の時間を避けられ、救急車は国道を疾走し、それでも約50分かけて医大に到着して、無事に処置を受けることができました。もし、これが脳梗塞などの命に関わる高度急性期医療の患者であったらと思うと、私たちはいかに危うい地域に住んでいるのかと実感しました。救急医療に対応する医師の不足と、高度医療施設までの長時間搬送という大きな2つの課題を、家族で身をもって体験したのであります。
秩父医療圏では夜間の重症患者を受け入れる輪番制が3病院で行われていましたが、その1つが医師不足によって離脱し、その負担は残りの2病院にのしかかります。昨年7月の定例記者会見において、秩父の輪番制から1つの病院が離脱することについて問われた知事は、極めて冷静に「大きな問題はありません」と答えられた様子を見て、夜間救急の壮絶な現場を目の当たりにした私はショックを禁じ得ませんでした。
医師の偏在の解消と高度医療施設の整備という民間の力では非常に困難な課題を解決するのは、公の役目だと思います。例えば、奨学金制度の改正や県立循環器センターの分院を整備するなど、埼玉県は今後何をすべきかを含め秩父医療圏が将来どうあるべきかを、知事に御答弁いただきたいと思います。
A 大野元裕 知事
将来の地域医療提供体制につきましては、地域の医療関係者や地元市町が中心となって議論をするべきものでありますが、他方で、地域の実情を踏まえ、県としても地域医療構想などを通じて共に考えるべきものであると考えています。
今後、人口が減少して、更に高齢化が進む中、限られた医療資源を有効に活用し、より一層の機能分化・連携を進めていくことが求められるようになってきます。
身近な医療はなるべく地域の医療機関で対応する一方、高度急性期医療を必要とする方には、対応できる医療機関に円滑にアクセスできる環境を整える等、考えることが必要となってきます。
秩父地域の医療につきましては、議員からお話のあった高度急性期病床がないといった課題のほか、医師の不足、輪番病院の減少など、課題があると認識をしています。
県では、これまで奨学金貸与など医師確保に努める一方で、ドクターヘリやドクターカーを整備するとともに、脳梗塞や大動脈解離に関わる救急患者を迅速に受け入れるネットワークの構築などに取り組んでまいりました。
令和7年度は、これまでの取組を進めるとともに、先ほど部長からも答弁をさせていただきました小児医療の充実などをはじめ、地域での医療機能の分担・連携を推進する地域医療連携推進法人制度の活用の可能性等につき、秩父市あるいは医療関係者などと意見交換等をし、先ほど申し上げたとおり、共に考えてまいりたいと思っています。
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