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ページ番号:277120
掲載日:2025年12月24日
Q 小久保憲一 議員(自民)
本県では、令和2年度調査で熊の個体数は150頭から176頭と推計され、今年度の目撃件数は11月末現在150件と過去最多ペースです。
令和7年9月施行、改正鳥獣保護管理法により、日常生活圏に出没した熊に対し市町村判断で銃器使用を可能とする緊急銃猟制度が創設されました。
本制度は、次の4条件を全て満たす場合に実施可能です。1、熊が日常生活圏に侵入、又はそのおそれが大きい場合。2、人身被害防止のため、緊急対応が必要な場合。3、銃猟以外では的確かつ迅速な捕獲が困難な場合。4、発砲により住民等に危害が及ぶおそれがない場合。
しかし、第4条件には、人への被弾、被弾した熊が暴れるおそれも含まれ、差し迫った場面ではこの条件を満たしがたく、制度運用が行き詰まる可能性があります。
一方、緊急銃猟の体制がない市町では、警察官職務執行法による対応のみとなります。令和5年、県警本部全国調査では、通報から現場到着、駆除まで最低30分、最長8時間、平均2時間30分とされ、即時対応が困難です。熊は「待て」ができません。
パネルを御覧ください。
例えば、住宅街に熊が侵入し、人命に危険が迫る。現場にハンターはいるが、警察官や市町村職員は未到着。この場合、緊急銃猟は適用困難、警職法で警察官命令外の発砲は不可。刑法の緊急避難では理論上、発砲可能でも、保障や法的責任は不透明です。結果、初動対応が遅れ、甚大な被害につながりかねません。
本年10月現在、県内市町村の対応方針は3類型に分かれます。1、緊急銃猟適用の検討が8市町村、2、警職法による捕獲優先が22市町、3、警職法による対応のみが29市町、ほか未定が4市。このため、熊が市町村境や県境を越えた場合、責任と指揮系統が断絶しかねません。
そこで伺います。
まず、全県統一体制の構築について。
情報共有や警察、市町村、ハンター連携の合同対応体制の整備は喫緊の課題です。緊急銃猟の全県統一体制整備の必要性について、知事に伺います。
A 大野元裕 知事
これまでは、クマなどの危険鳥獣が生活圏に侵入しても、銃猟による駆除はできず、警察の立会要請など様々な手続を踏む必要があり、迅速に対応することが困難でありました。
こうした課題を解決するため、先ほど議員からご指摘があった令和7年9月に施行された緊急銃猟制度では、クマなどが生活圏に出没した場合、市町村長の判断・指示に基づきハンターが迅速に銃猟を行えるようになりました。
議員からは、「全県統一体制」の御提案を頂きましたが、その時々の現場の状況に応じ市町村長が判断するということが法によって定められており、緊急銃猟は市町村長の責任において実施するべきものであります。
その一方で、生活圏による発砲は、様々なリスクを伴うことや、制度ができてまだ間もないことから、緊急銃猟の判断を行うことに市町村が負担や懸念を感じておられることも十分理解ができるところであります。
このため、県としては、各市町村が的確に緊急銃猟の判断を行えるよう、制度に関する情報提供や相談対応のほか、市町村と警察、猟友会のつなぎ役となり連携強化を促すなど、きめ細かくサポートしてまいりたいと考えております。
再Q 小久保憲一 議員(自民)
ただ今の知事の御答弁によりますと、あくまでもこの緊急銃猟は市町村が主体であって、県は情報提供や相談を行うと聞こえました。
しかし、現場においては、市町村ごとの運用の差いわゆる空白が生じます。結果、初動の遅れが懸念されるんです。ですから、県が主体となってこの全県統一体制をまず構築すべきと考えます。改めて御答弁願います。
再A 大野元裕 知事
通常、現場は最も身近なところにある市町村が判断をするべき問題であると考えます。
しかしながら、先ほど申し上げたとおり緊急銃猟の判断を行う制度として情報共有等が必要な場合がございますので、市町村、警察、猟友会のつなぎ役となり、連携強化を促すことが大切だと考えております。
また、そのような体制が法にも定められているのは、まさにそのような事実関係を考えての上だというふうに我々は判断をしております。