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掲載日:2025年12月17日
Q 戸野部直乃 議員(公明)
令和5年9月定例会の私の一般質問で、フリースクールに通うための補助制度を求めた際、教育長の答弁は、フリースクールの定義や運営は様々で学習塾との違いもあいまい、そのため支援基準の整備が課題で現在国で検討中との趣旨のものでした。
そうした中、東京都をはじめ三重県や茨城県などは、国任せにせず、学校に行けない児童生徒や御家庭に寄り添い、独自に支援の在り方を検討し、補助制度事業を開始しております。県でも、フリースクールに関する調査を実施しました。調査結果によると、経済的負担や情報不足等により利用しない選択をしている家庭があることが明確になりました。このたび、千葉県ではフリースクールの活動条件を精査して、対象事業者への支援事業をスタートさせました。
こうした取組は、保護者や児童生徒の適切なフリースクール選びにも役立ってくると考えます。そこで、本県でもフリースクールに係る支援基準を精査し、フリースクール等に通う児童生徒の御家庭への経済的支援事業の創設をすべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。
また、両輪でフリースクール運営に係る事業者や団体への支援もすべきと考えますが、県民生活部長の御所見を伺います。
A 日吉亨 教育長
フリースクール等に通う家庭への経済的な支援の在り方については、教育機会確保法の附帯決議において、国で検討し、必要な財源措置を講じることとされておりますが、現時点では結論が出ておりません。
県では、教育機会均等の観点から、自治体によって支援の格差が生じることは好ましいことではなく、国の責任において支援すべきものと考えていることから、国に対し、経済的支援の在り方を速やかに検討し、必要な措置を講ずるよう要望しております。
また、不登校児童生徒やその保護者の支援に向けて、県とフリースクール等の民間団体が連携し、支援策の検討を行う「官民連携会議」や、利用を検討する家庭のための個別相談会を実施しております。
こうした取組を通して、フリースクール等へ通う家庭を支援するとともに、引き続き、速やかに必要な措置を講じるよう、国に要望してまいります。
A 横内ゆり 県民生活部長
フリースクールには明確な定義はなく、運営形態、児童生徒への学習指導体制、施設の状況、学校教育との連携の在り方なども様々で、いわゆる学習塾との違いも明確ではありません。
教育長からも答弁がありましたように、教育の機会均等の観点から、自治体によって支援の格差が生じることは好ましいことではないと考えます。
経済的支援に当たっては、団体の組織体制や活動を評価する基準などの国の統一した見解が必要と考えており、本年7月も令和8年度予算編成などに向けた検討を国に要望したところです。
また、フリースクールを始めとした、こども・若者を支援する団体の職員の資質向上のため、本年度も不登校児童生徒への支援をテーマにした研修や支援者同士の連携を図る意見交換会を行います。
引き続き、こうした取組を通して、フリースクール等を支援するとともに、速やかに必要な措置を講ずるよう国に働き掛けてまいります。
再Q 戸野部直乃 議員(公明)
今回、県が実施した不登校児童生徒及び家庭のフリースクール等に関する意識調査結果の回答は457名でした。そのうち、フリースクールを検討した家庭が179人、検討しなかったのが278人、検討した家庭のうち実際に通っている子は61人、経済的理由で行かなかった、行けなかった子が34人、検討した中の3割いるという事実があります。
さらに、フリースクールを検討しなかった278人の中に、経済的理由で検討しなかった、できなかった子はどのくらいいたでしょうか。どうしても家から出られない、人との関わりに不安を感じる、そういった児童生徒たちには、教育メタバースも一つの居場所として求められるものと思っています。しかし、学校には行けないけれども、週に1回でも2回でも家の外に出てリアルなつながりを持ちたいとフリースクールなどに気持ちが向く子がいるのです。支援を実施している三重県教育委員会では、経済的な事情に左右されず、学びを継続することを目的として支援をしております。
教育長が国へ要望していくと、私の一般質問の答弁で言ってから2年がたちました。その間、子供たちは成長しています。こうしている今もなお、経済的理由によって社会参画や学びのチャンスを逃している児童生徒がおります。
全国的にフリースクールの支援は自治体発で広がってまいりました。県がモデル事業を行えば、それが国の制度化にもつながる、県の先行事例が国の政策を動かす突破口になる。この間、置き去りにされている児童生徒たちとその御家庭に対しどのような思いでいらっしゃるのか、教育長の見解をお聞かせください。
また、先ほど県民生活部長も、フリースクールの定義や運営は様々で学習塾との違いもあいまい、そのため支援基準の整理が課題で国が検討中というふうな御答弁を頂きましたが、支援を行っている他県はその基準を精査して支援を行っております。今回のこの意識調査の中でも、フリースクールに対して情報が少なく詳しく知ることができなかったという御回答をされている方もいらっしゃいます。こうした方々への情報提供のためにも、しっかりと県の責任としてフリースクールの支援をすべき基準を精査していただきたいと思いますが、教育長と県民生活部長にお答えいただきたいと思います。
再A 日吉亨 教育長
私がどのような思いかでございますが、私はこれまで、埼玉県の公立高校の教員として、不登校の生徒を担任したこともございます。
児童生徒はもちろんのこと、その御家族や先生方の思いは、完全ではございませんが、少しは理解しているつもりでございます。
議員お話しの、約3割の家庭がフリースクール等を利用しない理由として、経済的な負担をあげており、利用を検討している家庭のなかには、経済的支援を求める声があることも認識しております。
学校に行けず、フリースクールも含め、どこにも行けない児童生徒がいるということは、学びの保障という観点で、極めて重要な課題であると認識しております。
これまでも県では、不登校の児童生徒に対し、スクールカウンセラーを配置するなど、各学校を支援しております。
また、今年度からは自宅から出られないなど、これまでの既存の取組では、支援が届きにくかった不登校児童生徒に対して、メタバース空間を活用した支援を開始したところです。
さらに、フリースクールも不登校児童生徒への支援の選択肢の1つと考えることから、国に対し、フリースクール等へ通う家庭への補助について、統一的な見解を示すとともに、必要な措置を講じるよう、要望しております。
県では、今後も、多様な学びの場の確保を進め、すべての子供たちの教育機会の確保に、全力で取り組んでまいります。
再A 横内ゆり 県民生活部長
フリースクールの定義や認証に関しては、国の統一した基準が必要であると考えますけれども、個々の不登校児童生徒の状況に応じて、学習活動を始めとした支援を提供する、児童生徒にとっては多様な学びの場の一つであるというふうに考えてございます。
県では、そうした考えのもと、フリースクールに対し様々な支援を行っております。
例えば、職員の資質向上を図る観点から、フリースクールを始めとしたこども・若者支援団体の職員に対し、不登校児童への支援をテーマとした研修会や、支援者同士の連携を図る意見交換会などを開催しております。
また、先ほど議員からもお話がありましたが、当事者の不安みたいなことで「情報がない」ということに関しましては、不登校などのこどもたちや保護者への不安に対して、県のバーチャルユースセンターにおいて、こどもたちのそうした悩みや本音を共有し、不安の解消に役立ててもらうプログラムですとか、不登校のこどもを持つ保護者を対象とした「保護者のための情報交換のピアミーティング」なども行っております。
フリースクールの基準については、国に要望しているところでございますけれども、他の自治体の取り組みも研究しながら、引き続きフリースクールに関して、様々な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
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