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掲載日:2023年1月24日

埼玉の気温は周辺と比べて上昇していますか?

この記事はニュースレター第11号(平成23年4月発行)に掲載したものです。

Question - 質問します

地球温暖化やヒートアイランド現象によって気温が上昇しているという話を聞きましたが、私たちが住んでいる埼玉県ではどれくらい気温が上昇しているのですか?まわりの都県などと比べると、どうなのですか?

Answer - お答えします

温暖化対策担当 武藤 洋介

関東地方の主な気象台における年平均気温の経年推移を図1に示しました。全ての地点において気温が上昇する傾向が見られ、上昇率は地点により異なっていました。埼玉の北部に位置する熊谷の年平均気温は、1946年から2010年までの期間では100年あたり2.9℃の割合で上昇し、東京の3.3℃、宇都宮の3.0℃に次いで大きな上昇率を示していました。また、埼玉の南東部は地理的に東京に近いことから、気温の上昇率も同様に大きくなっていると考えられます。したがって、埼玉は関東地方の中では最も気温が上昇している地域の一つといえるのではないでしょうか。一方、1950年代までは銚子のほうが東京より年平均気温が高くなっていましたが、その後の銚子の気温上昇率が1.1℃と小さかったため、1990年代以降の銚子の年平均気温は横浜よりも低くなるといった特徴も見られました。

年平均気温の経年推移のグラフ

図1 年平均気温の経年推移(気象庁提供)

気温上昇の原因は?

気温上昇の原因の一つとして地球温暖化による影響が考えられます。しかし、地球規模で気温が一様に上昇しているのであれば、全ての地点で気温の上昇率がほぼ等しくなると思われます。ところが、実際は図1に示したように、大規模に都市化の進んだ東京や内陸部に位置する宇都宮と熊谷などでは気温の上昇率が大きい傾向が見られ、周辺を海洋に囲まれた銚子では気温の上昇率が小さい傾向が見られました。都市化が進行すると地表面の人工化や人工排熱の増加などにより、都市の気温が周辺の郊外に比べて高くなるヒートアイランド現象が起こります。ところが海の近くでは、海からの風の侵入により気温の上昇が抑制され、ヒートアイランド現象が緩和されます。しかし、内陸に位置する埼玉では、ヒートアイランド現象による影響を受けて気温が大きく上昇していると考えられます。また、東京から埼玉にかけては都市域が広域化しているため、ヒートアイランド現象も顕著になっていると考えられます。

日最低気温と日最高気温の経年推移

日最低気温の年平均の経年推移を図2に示しました。東京の日最低気温の年平均は100年あたり4.5℃上昇し、日平均気温の年平均の上昇率である3.3℃よりも大きくなっていました。夜間から明け方にかけては大気が安定して地表付近に熱が留まるため、ヒートアイランド現象の直接的な影響が大きい地域ほど最低気温が大きく上昇していると考えられます。

次に、日最高気温の年平均の経年推移を図3に示しました。日最高気温の上昇率は、前橋で2.3℃と最も大きくなっていました。日中は、暖められた空気が海陸風の影響で内陸部に移流するため、大都市域の風下側の地域で最高気温が大きく上昇していると考えられます。

日最低気温の年平均のグラフ

図2 日最低気温の年平均(気象庁提供)

日最高気温の年平均(気象庁提供)のグラフ

図3 日最高気温の年平均(気象庁提供)

おわりに

気温の上昇を防ぐためには、地球温暖化の対策として二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を削減することが重要でありますが、同時にヒートアイランド対策も進めていかなければなりません。特に屋上緑化や壁面緑化、人工排熱の削減及びライフスタイル改善などのヒートアイランド対策は地球温暖化の対策としても有効なことから、これらの対策に積極的に取り組んでいく必要があります。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室  温暖化対策担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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