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掲載日:2021年10月20日

水田には、何種ぐらいの生き物が生息しているのでしょうか?

この記事はニュースレター第53号(令和3年10月発行)に掲載したものです。

Question - 質問します

水田には、何種ぐらいの生き物が生息しているのでしょうか?

Answer - お答えします

自然環境担当 安野 翔

国内の水田には、微小なプランクトンから大型の鳥類まですべて合わせると6,000種以上の生物が生息していると言われています。埼玉県内の水田に生息する生物の種数は、はっきりとは分かっていませんが、県内には広大な田園地帯が広がっており、多様な動植物が生息していると考えられます。水田は米作りのための農地ですが、同時に生物多様性の高い環境だとも言えます。

水田は生物多様性が高い環境

水田では、極めて多様な生物が生息しています。水田に水が張られると、微小なプランクトンが発生し、それを餌とする水生昆虫や巻貝、ドジョウ等が姿を現します。畦(あぜ)ではイナゴ等の昆虫やそれを食べるカエルが見られ、カルガモやサギ類といった野鳥も飛来します。植物プランクトン等の微生物から大型の鳥類まで、水田では多種多様な生物が生息しています。国内の水田で見られるこれらの生物をすべて合わせると、6,000種を超えると言われており、肉眼で見える大きさの動植物に限っても、その種数は5,000種ほどになります。なぜ、これほどまでに多様な生物が水田に生息しているのでしょうか?かつて国内には広大な自然湿地がありましたが、現在までにかなりの湿地が人間活動によって消失してしまいました。元々湿地に生息していた動植物が、水田を代替生息地として利用していると考えられています。

水田における水生動物の生存戦略

水田の中には、水生昆虫やオタマジャクシ、巻貝等の様々な水生動物が生息しています。しかし、ドジョウ等を除けば魚類はあまり生息していません。水の無くなる時期を乗り超えられる種しか水田には生息できないからです。代わりに湖や沼とは異なる顔ぶれの水生動物が生息しています。ホウネンエビやミジンコ等は、乾燥に耐えられる休眠卵を産みます。翌春に再び水田に水が入ると卵が孵化し、水があるうちに繁殖を終えます。一方、ドジョウやタニシ類は多少の湿り気があれば水が無くても耐えることができるので、水の無い時期は土の中でじっとしています。トンボやゲンゴロウ等の水生昆虫やカエルは、水田に水が入るとどこからともなくやって来て繁殖をします。幼虫やオタマジャクシ(幼生)は、成長して成虫・成体になると、水田の外へと避難していきます。水田に生息する水生動物は、様々な生存戦略をとっていますが、いずれも水田に水があるうちに水中生活を終える必要があるため、湖や沼で見られる近縁種よりも成長が速い傾向にあります。

埼玉県の水田の特徴と水生動物

埼玉県では、地域によって田植え時期が大きく異なります。県東部地域では、5月頃に田植えをする早植え栽培が盛んです。6月に植える普通期栽培は、県内で広く見られます。裏作として麦を栽培する米麦二毛作は県北部で盛んであり、麦収穫後の6月後半頃に田植えが行われます。現在、これらの農法の異なる水田において、水生動物の“顔ぶれ”を比較する研究を進めています。これまでの調査では、5月植えの水田で、絶滅危惧種のトウキョウダルマガエルの幼生が特徴的に見られました。本種にとって田植え時期の早い水田は繁殖場所として重要だと考えられます。一方、二毛作水田では、ユスリカ幼虫やそれを食べるゲンゴロウ類やガムシ類の幼虫といった肉食性昆虫が多数生息していることが分かりました。麦の収穫後、麦わらは土の中にすき込まれて発酵し、ユスリカ幼虫の餌になると考えられます。さらに、肉食性昆虫の餌となるユスリカ幼虫が豊富であるため、肉食性昆虫が多数生息できると考えられます。このように、田植え時期や単作・二毛作といった水田のタイプが異なると、水生動物の“顔ぶれ”も違うものになることが分かってきました。現在、様々なタイプの水田が混在すると、地域レベルでの生物多様性が高まるという仮説を検証するため、研究に取り組んでいます。

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水田で見られる水生生物

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 自然環境担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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