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掲載日:2020年8月19日

災害が起こったとき、大気環境への影響は?~石綿(アスベスト)を例にして~

*この記事はニュースレター第47号(令和2年4月発行)に掲載したものです。

Question - 質問します

災害が起こったとき、大気環境への影響は?~石綿(アスベスト)を例にして~

Answer - お答えします

自然環境担当 米倉哲志

 近年、豪雨や大型台風による風水害や地震などの災害が多く発生し、各地に大きな被害をもたらしています。とりわけ大きな災害の発生時には、有害な物質を扱う工場や保管場所の周辺に限らず、皆さんの身のまわりの環境中にも健康に有害な物質が漏出するおそれがあります。その一例として、ここでは石綿(アスベスト)よる影響について説明します。

石綿の使用とその現況

 石綿は、天然に産する繊維状の結晶鉱物の総称であり、安価で、かつ耐火性や防音性、電気絶縁性などに優れていることから、主に建築材料(以下、建材)として広く使用されてきました。その一方で、石綿を肺に吸引したのち、数十年を経て発症する悪性疾患(中皮腫や肺がんなど)による健康影響が社会問題となり、平成18年9月に、石綿を含む製品の使用が全面的に禁じられました。しかし、それ以前に公共施設(学校・病院など)や民間建築物(マンション・ビルなど)の建材として使われた石綿は現存しているため、解体等工事に伴うばく露防止や周辺大気への飛散防止対策が段階的に強化されてきました。

県内大気中における石綿を含む繊維状物質の濃度(総繊維数濃度)

 石綿を含む建材を使用している建築物等が、被災により損壊した場合には、周辺大気への石綿の飛散が懸念されます。このため、その飛散状況のモニタリングを行うことは、避難や復旧作業における安全性を確保する上で大変有用です。また、こうして得られた測定値を評価するためには、平常時における一般環境中の石綿の実態を把握しておくことも重要です。
 県では、一般環境における総繊維数濃度を把握するため、年1回、20地点で測定調査を実施しています。この調査は、フィルターに毎分10ℓ(リットル)の空気を4時間通気して捕集した繊維状物質を、位相差顕微鏡で計数して濃度を求めるもので、各地点で連続3日間行っています。繊維状物質の中には石綿も、それ以外の物質も含まれます。総繊維数濃度が1f/ℓ(大気1ℓあたり繊維状物質1本)を超えた場合には、電子顕微鏡を用いて石綿のみを計数してその濃度を求めます(石綿繊維数濃度)。平成22年度~令和元年度における各測定地点の総繊維数濃度の平均を図1に示します。近年、国内の一般環境における総繊維数濃度は、概ね0.5 f/L 以下のレベルで推移しています。県内の各調査地点における総繊維数濃度の平均(0.14~0.34f/L)もほぼ同レベルにあるといえます。

 

 ココが知りたい47号図1

 

災害時における石綿モニタリング

 災害による建築物等の倒壊・損壊が発生したり、解体・除却作業に伴い石綿の飛散やばく露が懸念される場合、県では速やかに①避難所、②倒壊・損壊した建築物等が多い地域、③災害廃棄物の仮置場等について石綿モニタリングを実施する体制を整備しています。その一環として、平成30年11月に埼玉県と一般社団法人埼玉県環境計量協議会(埼環協)との間で締結した「災害時における石綿モニタリングに関する合意書」に基づき、共同で年1回、モニタリング実習や図上での訓練、事例発表等の場を設け、経験の共有を図っています〔図2〕。このような場は技術力の向上を図る貴重な機会となっており、将来的には標準的な災害時モニタリング作業手順の策定等にも生かされることが期待されます。

ココが知りたい第47号図2

 

 

 

 

図2 モニタリング訓練の様子

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 自然環境担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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