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掲載日:2022年4月7日

土壌地下水汚染の原因者は誰?えっ!微生物が汚染原因者って本当?

この記事はニュースレター第55号(令和4年4月発行)に掲載したものです。

Question - 質問します

土壌地下水汚染の原因者は誰?えっ!微生物が汚染原因者って本当?

Answer - お答えします

土壌・地下水・地盤担当 石山高

環境汚染の多くは、私たち人間の社会活動によって発生しますが、なかには人間以外が汚染原因者となる場合があります。その代表例が土壌微生物です。『微生物が汚染を引き起こす!』なんてあまりピンとこないかもしれませんが、じつは様々な環境汚染には土壌微生物が深く関わっています。そこで今回の『ココ知り』では、微生物の活動により誘発される土壌地下水汚染について紹介します。

土壌地下水汚染の現状

現在、埼玉県内をはじめ全国各地で数多くの土壌汚染や地下水汚染が発生しています。環境省の統計データによると、年間1,000件近くの土壌汚染や200件近くの地下水汚染が新たに報告されています(土壌汚染や地下水汚染の調査法や本県における汚染状況については、ニュースレター第19号(2013年)、第35号(2017年)参照)。

海成堆積物由来の土壌汚染

海成堆積物とは、むかし海の底にあった土のことであり、埼玉県の南部や南東部に広がる低地(荒川低地・中川低地)に分布しています。この海成堆積物は、掘り起こした後、水や酸素と接すると徐々に酸性土壌へと変化して様々な有害物質(砒素やカドミウム、鉛等)が溶出し始めます。この土壌汚染は海成堆積物に含まれている硫化鉱物が土壌微生物によって分解されることで生じます。具体的には、鉄酸化細菌が生成した3価の鉄イオン(Fe3+)が硫化鉱物と反応して硫黄(S)を生成します。この硫黄は硫黄酸化細菌によって硫酸へと変換されます(図1)。このように、海成堆積物による土壌汚染では2種類の土壌微生物によるコラボレーションで土壌の酸性化が進行します。更に、酸性化により汚染土壌となった海成堆積物を搬出するには莫大な処理対策費を必要とするため、土地所有者等の経済的コスト負担も深刻です。CESSでは、このような被害を抑えるため、海成堆積物に微細な貝殻片を混ぜ込み、土壌微生物の動きを封じることで土壌の酸性化を未然に防止する技術を開発しました(ニュースレター第28号(2015年)参照)。

ココ知り55

図1 土壌微生物による硫化鉱物の分解メカニズム

硝酸-亜硝酸性窒素による地下水汚染

地下水汚染物質として、一番多く報告されているものが硝酸-亜硝酸性窒素です。じつは、この汚染にも土壌微生物が深くかかわっています。窒素成分の発生源は、主に農地に撒く肥料と言われています。肥料に含まれる窒素は、主にアンモニア性窒素で、土壌に強く吸着することが知られています。しかし、硝化細菌という微生物によってアンモニア性窒素が亜硝酸や硝酸へと変化すると、土壌粒子に吸着しなくなり、雨水と一緒に地下深くまで染み込むことで地下水汚染を引き起こします(図2)。

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図2 窒素による地下水汚染メカニズム

微生物を利用して汚染を浄化するという技術も開発されていますが、ときとして微生物が汚染を引き起こすこともあります。環境汚染対策では、事業所等における不適切な処理を規制するだけでなく、自然界に生息する微生物の化学的特徴や代謝メカニズムを把握しておくことも非常に重要なのです。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 土壌・地下水・地盤担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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