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掲載日:2022年12月27日
Q 美田宗亮 議員(自民)
政府は本年10月、日本経済を再生させるため、物価高・円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革を重点分野とし、新しい資本主義を前に進めるための総合経済対策を策定いたしました。この中で、人への投資の強化と労働移動の円滑化を大きな柱に位置付け、リスキリングから転職までを一気通貫して支援する制度を新設するほか、企業に対しては自らの意思でリスキリングに取り組み、キャリアを形成していく社員を支援する場合には助成率を引き上げるなど、労働者のリスキリングへの支援を強化することとしています。
県でも国の動きに呼応する形で、さきの9月補正においてキャリアチェンジ促進事業を計上し、相談体制の充実や紹介予定派遣制度を活用した就業支援に取り組むとしています。これまでの県の就業支援に係る取組は、事業者や非正規雇用者への支援が中心でしたが、これは新たな基軸であると捉えています。
ところで、さきの経済対策の中で、雇用調整助成金については令和4年12月以降、現行の特例措置を段階的に縮減していくこととし、業況の厳しい企業に配慮しつつも通常制度へ戻していくことになりました。雇用調整助成金の特例措置は、コロナ禍で甚大な打撃を被った企業及びその従業員の雇用を守るというセーフティネットとして重要な役割を果たしてきました。今回の特例措置の縮減は、構造的な賃上げにつながるリスキリングと労働移動の円滑化に力点を置くという、国の方向性が明確になったと思います。
本県の経済に目を転じると、11月1日付けの埼玉県経済動向調査では、「持ち直しの動きが見られるが、海外情勢、物価上昇等が県経済に与える影響を注視する必要があると」されています。実際に、県内企業の倒産件数は今年度上半期で143件、前年同期比13.4%の増で、上半期では5年ぶりに増加に転じており、先行きが不透明な状況が今後も続くと思われます。
また、厚生労働省の生活困窮者自立相談制度における新規相談件数は、令和3年度は約55万4,000件でした。令和元年度までは多くて25万件程度の相談件数で推移していたのに対して一気に増加しており、新型コロナウイルスの感染拡大による雇用情勢の悪化を反映した数字であると考えます。
長引くコロナ禍に加え、円安と物価高で生活困窮者を取り巻く環境は更に悪化しています。企業の生産性・付加価値向上のためのリスキリングや労働移動円滑化について、その必要性、重要性は十分に理解しています。しかし、誰もがこの流に乗れるわけではありません。厳しい経済情勢の中で、特に、生活困窮者や失業者は日々の生活に追われ、そういった自らを磨く環境や状況にない場合も多いのではないかと思います。労働移動の円滑化やリスキリングとは別に、生活が困窮している人たちへの積極的な雇用安定や就業支援対策に力を入れていくべきと考えます。
まとめると、国が労働移動の円滑化に向けてかじを切る中で、県は、生活が困窮者している人たちも誰一人とり残すことのないよう、雇用と生活の安定に対する支援に力点を置くべきではないでしょうか。
限られた財源の中での県の雇用労働政策の今後の方向性について、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
本県における雇用情勢は、有効求人倍率が令和4年10月現在で1.18と、1月の0.99から改善しているものの、失業状態が長期化している求職者がコロナ禍以前に比べ、依然として多い状況でございます。
議員御指摘のとおり、雇用情勢が回復しきれていない情勢の下、県民の生活安定のために就業支援を充実させることは大変重要であります。
一方、生産年齢人口の減少やDXの進展などによる産業構造の変化を見据え、企業の生産性向上を人材面から支えていくために、デジタル人材の育成などにも取り組まなければなりません。
このことは、働く方々にとっても、今後求められる職業能力を身に付け、就職の選択肢を増やすことにより、いわば、自らの雇用を守ることにつながると考えています。
県の雇用労働政策の基本姿勢は、県民の皆様が自らの意欲や希望に合わせて、雇用の安心と働きがいを感じながら働けるよう、幅広い世代の就業を支援することであります。
近年は、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用不安が広がったことから、コロナ禍で離職した方が、より早く就職に結びつくような取組も行っています。
例えば、コロナ禍においても積極的に人材を必要とする企業を集めての面接会を県内各地域で開催し、2週間から1か月以内の就職決定につなげております。
県では、国に対しこれまでも、労働移動が出来ずに固定化されている状況を改めるよう求めてまいりましたが、その結果、国も労働移動に力を入れるようになりました。
引き続き、幅広い世代の方々が自らの意欲や希望に合わせて就業できるよう、埼玉しごとセンター等において、個々の求職者の状況に合わせた就業支援をしっかりと継続してまいります。
私は、年齢や性別などにかかわらず、働く意欲のある方が生き生きと働くことにより、生活の安定を実現するとともに、その能力の発揮によって、産業が更に発展し、新たな雇用を生むという、産業と雇用の好循環を生み出していきたいと考えております。
誰一人取り残すことがないよう、社会経済情勢の変化も踏まえ、多様な人材が能力を発揮できる社会を目指してまいります。
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