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掲載日:2020年4月1日

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整理解雇通告者に対する懲戒解雇について

5 雇用関係の終了(解雇・退職等)・懲戒処分

5-5 整理解雇通告者に対する懲戒解雇について

質問です

ある会社に5年ほど勤務していましたが、今年に入って突然「会社の経営状況が悪化したため3月31日付けで解雇する」との通知を受け取りました。
突然の解雇通告には不服でしたが、この御時世では仕方のないものと思い、退職日までの残日数を一生懸命働いていました。
しかしある日、取引先の社員と話をした際、「もう辞めるのに何でそんなに頑張るのか」と言われ、精神的にショックを受け翌日から2週間無断欠勤してしまいました。すると、会社から「就業規則の規定に基づいて懲戒解雇とする」といった内容証明郵便が自宅に届きました。
無断欠勤した私にも落ち度があったと思いますが、一度解雇通告をした者に対し、懲戒解雇に変更することは可能なのでしょうか。

ここがポイント

  • 懲戒処分を行うには、就業規則に懲戒の種類・内容が明記されていなければなりません。
  • 懲戒事由が存在しても、懲戒権濫用として処分が無効となる場合もあります。

お答えします

労働者は例え解雇通告を受けていたとしても、身分は以前と変わらぬ従業員であり、その間通常どおり勤務する義務を負っています。
したがって、この間に労働者が規定違反を行えば、会社は当然その従業員に何らかの処分を下すことになります。
あなたの場合、精神的にショックを受けたとしても、2週間という長期間に渡り無断欠勤をしてしまったとのことであり、これは一般的な会社では懲戒解雇事由に当てはまるとされることは十分考えられます。
ただ今回の場合、2週間の欠勤の間、会社から一度も出勤の督促がなかったとすれば、会社の対応にも問題があったといえるのではないでしょうか。
懲戒事由に該当する行為を犯してしまったとしても、その原因の一要素が会社にもあるとすれば、最も重い懲戒解雇とする会社の判断は正しいか疑問であり、もう一度会社と話し合ってみてはいかがでしょうか。
懲戒処分が、懲戒事由に該当する行為の性質、態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、その懲戒処分は無効となります。
なお、すでに解雇通告書を受け取ってしまっているようですので、弁護士による相談をお勧めします。

ここにも注意!

労働者の服務規律違反や非行などを理由とする懲戒解雇が有効であるためには、次のような要件を満たしていることが必要と考えられます。

  • (1) 罪刑法定主義の原則
    基本的には、懲戒事由、懲戒の種類・内容は、予め就業規則等に定めておくことが必要です。
  • (2) 平等取扱いの原則
    違反行為の内容や程度が同じ場合には、それに対する懲戒の種類や程度も同じでなければなりません。特別な理由もなく、人により処分の重さを変えてはなりません。
  • (3) 相当性の原則
    違反内容と処分内容が均衡していることが必要です。懲戒処分にも戒告といった軽いものから解雇といった重いものまでありますので、違反行為の程度がそれぞれの処分をするに値するものでなくてはなりません。
    些細なミスなどで懲戒処分をすることは、権利の濫用として無効になると考えられます。
  • (4) 適正手続
    就業規則などに定められた手続を適正にとっていることが必要です。
    例えば、処分の対象者に弁明の機会を与えるという規定があるにもかかわらず、これを与えないで処分した場合、適正な手続がとられたとは言えません。

当初の解雇(整理解雇)についても、会社は自由にできるものではありません。判例によれば、整理解雇が有効とされるには4つの要件が必要とされています。

  • (1) 人員削減の必要性
    会社が経営危機に陥っていて、人員整理の必要性があること
  • (2) 解雇回避の努力
    希望退職者の募集や配置転換・出向など、解雇を回避するために相当な努力をしたにもかかわらず、解雇をする必要性があること
  • (3) 整理基準と人選の合理性
    解雇される者の選定基準が客観的かつ合理的であり、その具体的適用も公平であること
  • (4) 解雇手続の妥当性
    対象労働者や労働組合に対して、整理解雇の必要性やその内容(時期・規模・方法など)について十分説明し、誠意をもって協議したこと

この4要件をあなたの場合に当てはめてみて、当てはまらないものがあるようでしたら、当初通告された解雇自体が無効とされることも考えられます。

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