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掲載日:2025年9月22日

Vol.4 ヨーロッパ野菜

シェフ 羽鳥 雅晴さん/オステリア アズーリ カーサ

本場の味を知るシェフが太鼓判を押す 埼玉で育まれたヨーロッパの味

シェフ

さいたま市のイタリアンレストラン「アズーリ カーサ」のシェフ・羽鳥雅晴(はとり まさはる)さんが用意してくれた一皿は、「ヨロ研」野菜の前菜盛り合わせ。さいたま市産のヨーロッパ野菜を使った5品です。

ヨロ研とは「さいたまヨーロッパ野菜研究会」の略で、羽鳥さんは会員の農家が育てた野菜をこよなく愛しています。

「料理には様々な表現方法があって、和野菜を使う人もいますが、私は本場イタリアの味にこだわります。それをヨロ研野菜で実現できるんです」。

イタリアに修行経験がある羽鳥さんは、さいたま市産のヨーロッパ野菜は現地の味に近いと言います。

例えばズッキーニ。

「当時、日本のものは苦かったが、現地で食べると感動的に甘くて、地物の魅力にすっかりやられました。味の違いは、育った土地の気候風土や土壌の質、育て方などの違いによるもの。ところが、地元のさいたま市でも生産されていることを知り、食べてみると、現地のものに引けを取らないおいしさ。新鮮な気づきでした」。

「料理は食材が育った土地の風土との相性が大事」と話す羽鳥さん。

「風土とは、その土地の気候や土壌、文化や暮らしの豊かさなどといった意味です。イタリアで生まれた「スローフード」という考え方は、『風土を育み、食への関心を高める』というもの。この考え方に魅力を感じています。その土地で育った野菜をその土地で調理すると、さらにおいしくなります」。

と、地場産ヨーロッパ野菜に太鼓判を押します。

前菜

お皿を彩るのは、カラフル人参のロースト、ヨロ研野菜のピクルス、ロロンかぼちゃの冷製スープ、ヤングコーンのフリット、フィレンツェなすのパルミジャーナ。中でも、カラフル人参のローストは絶品です。うま味がギュッ、食感はモチっとしてねっとり。低温で3時間かけてゆっくり、じっくり火を入れると「こうなる」そうです。

ヨロ研野菜でないと、この味は出ないのだとか。

「ヨーロッパ野菜は風味や香りが強いので、ローストやグリルして水分をゆっくり飛ばすのがコツです」。

野菜のポテンシャルを引き出す料理人の技術とこだわりはさすがです。

「レストランは、食材のおいしさをお客様に届ける場」と話す羽鳥さんは、生産者に必ず会いに行きます。

「話をしっかり聞いて、生産者のこだわりを地元の誇りとしてお客様に伝えるのが、地元シェフの役割と責任だと思っています」。

お客様に料理を説明する際、羽鳥さんが決まって口にする言葉があります。

実はですね――。

丹精込めて野菜を育てた生産者の想いも伝えています。「生産にかけるこだわりの物語」とともに、どうぞおいしく召し上がれ。


今回御紹介した店舗はこちら

外観

店舗名:オステリア アズーリ カーサ
所在地:さいたま市浦和区東仲町11-21
営業時間:ランチ11時30分~15時/ディナー18時~22時
定休日:火曜日

福田 裕子さん/さいたまヨーロッパ野菜研究会 事務局長

「地元産を使いたい」 シェフの声が後押し

ヨロ研

さいたまヨーロッパ野菜研究会。通称「ヨロ研」といえば「飲食業界では知られた存在」。特に埼玉のイタリアン好きなら「ヨロ研野菜を知らない人はいないはず」と、事務局長の福田裕子さんは笑顔で語ります。

「ヨーロッパ野菜を使いたいのになかなか手に入らない。輸入物は価格が高いし、鮮度もよくない。なんとか地元で栽培できないものか」。

イタリアンやフレンチのシェフの嘆きから、ヨロ研の胎動は始まりました。

しかし、誕生までの道のりは苦難の連続でした。さいたま市岩槻区の10軒の若手農家がヨーロッパ野菜の栽培に初めて挑戦しましたが、出荷まで漕ぎ着けられたのはわずか4軒、売り上げは100万円ほどでした。

「栽培技術が未熟だったし、たとえ収穫できても売り先や売り方が分からなかった」と、福田さんは当時を振り返ります。

一方、地元産ヨーロッパ野菜を仕入れた地元シェフからは、驚きと感謝の声が上がります。

「おいしい。まさか地元で作れると思わなかった」。

ヨーロッパ野菜

地元シェフが農家の背中を押してやる気につながり、行政、種苗会社、卸売業者、ホテル・レストランが協力して、ヨロ研は産声を上げました。目指したのは、地産地消。地域の中で売れる仕組みを模索していきました。

「料理に使いやすい収穫に適したサイズが分からないから、シェフに畑に来てもらって教えてもらいました。種苗会社は毎週のように畑にやってきて、手取り足取り指導してくれました」。

設立から13年。参加する農家は20軒に増え、年間に約70品種を生産しています。取引先も全国に広がり1,200軒を超えました。さいたま市内の公立小中学校では、給食の食材にも使われています。今やヨーロッパ野菜の人気は各地でうなぎ登りです。

「実は、ヨロ研をお手本にしたフォロワー産地が全国に広がっていて、それぞれの地域で地産地消に取り組んでいます」。

福田さんは笑顔満面、自信たっぷりです。

「はっきり言って、地場産ヨーロッパ野菜は本場のおいしさと変わりません。私の推しは、イタリアのそら豆・ファーベです。春が収穫期で、えぐみが少なく生食もできます。チーズと赤ワインを合わせると、魅惑のグルグルが永遠に止まりません」。

ただ、「私のためだけに栽培されているのではないかと思えるほど希少な野菜」とか。店頭で見かけたらラッキーです。

9月下旬からは、白なす(クララ)やフェレンツェなす、バターナッツかぼちゃなどが収穫期。

「ヨーロッパ野菜は苦みや香り、風味が強いものも多いので、しっかり火を通すとよりおいしく食べられます」

とのこと。ぜひお試しを。

【「さいたまヨーロッパ野菜研究会」について】

所在地:さいたま市浦和区仲町1-5-15 ECOLA内
ホームページ:さいたまヨーロッパ野菜研究会 - 公式

新聞掲載記事はこちら(PDF:2,319KB)

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎5階

ファックス:048-830-4830

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