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掲載日:2026年7月9日
Q 美田宗亮 議員(自民)
昨年1月の八潮道路陥没事故では、この一つのインフラ障害が広域に影響を及ぼし、県民生活に大きな支障をもたらしました。この事故を通じて浮き彫りになったのは、平時には見えにくい単一障害点、すなわち1か所が機能不全に陥ることで全体の機能が大きく損なわれるリスクの存在です。私は、この視点は災害時医療体制にも当てはまると考えております。
埼玉県東南部地域では人口集積が進み、救急需要も増加していますが、高度救急医療機能は限られた医療機関に集約されています。そのため、平時の受入能力だけでなく、有事において特定の医療機関が機能停止した場合の影響や代替手段を、あらかじめ検証していくことが極めて重要です。
そこで、お伺いいたします。
県は東南部地域の災害時医療体制について、インフラ分野で言う単一障害点の観点から、リスク分析や脆弱性評価を行っているのでしょうか。例えば、東部地域の中核病院である獨協医科大学埼玉医療センターが災害により48時間機能停止した場合、重症患者の受入れをどの医療機関で代替するのか。また、東南部地域で高速道路や列車事故などの多重傷病者事案が同時に発生した場合、現在の医療提供体制で重症患者をどのように収容していくのか。
さらに、視野を広げて首都直下地震を想定した場合、発災直後に東部地域で発生が見込まれる多数の重症患者をどのように受け入れる計画となっているのか。こうしたシミュレーションや脆弱性評価を県として実施しているのか。また、その結果を医療計画や災害時医療体制の整備にどのように反映しているのか。さらに、実際の災害発生時に重症患者を円滑に受け入れるため、今後どのように取り組んでいく考えなのか、知事の御見解をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
危機管理の要諦は想像力と準備であり、脆弱性への想定をはじめ様々な事態をあらかじめシミュレートし、対策を講じておくことは大変重要であります。
例えば、議員お話しのように地域の中核病院が災害により48時間機能停止した場合には、東部保健医療圏では、別に1か所の災害拠点病院と5か所の災害時連携病院を指定しており、これらの病院が中心となり重症患者の受入れを代替することを想定しています。
また、多数傷病者事案が同時に発生した場合に備え、県内消防本部、防災航空隊及び埼玉DMATが一体となって活動する埼玉県特別機動援助隊、いわゆる「埼玉SMART」を編成をしております。
埼玉SMARTは事故等の発生現場で、救助活動を行うとともに、治療と搬送の順位付けを行うトリアージを実施し、その結果に基づき、応急救護処置や患者搬送を行うことといたしており、これまでも関係機関による合同訓練を重ねてきております。
事故等の規模が甚大で、地域内で重症患者の収容が困難である場合にも、近隣地域の災害拠点病院等において患者を受け入れるための搬送調整を行うなどの仕組みを構築し、重症患者の救命を図る体制を準備しているところです。
さらに、首都直下地震のような大規模災害が発生した場合、医療資源が極めて限られる中、多数の傷病者が生じ、重傷患者を地域内では受け入れきれない事態も想定する必要があります。
そこで、患者の搬送を地域内に限定せず、近隣地域や県外も含め、利用可能な医療資源を最大限活用することで人命救助を図るべく、災害時に保健医療活動の総合調整の助言・支援を担う医師である災害医療コーディネーターの協力も得ながら、想定と訓練を重ねております。
次に、その結果をどのように医療計画や災害時医療体制の整備に反映しているのかについてであります。
議員御指摘の、脆弱性のリスクを想定しますと、災害時の医療救護活動を担う病院を各保健医療圏に複数指定することで、リダンダンシー、冗長性を確保することが必要であると考えます。
そこで、埼玉県地域保健医療計画においては、災害拠点病院及び災害時連携病院の整備を位置付けております。
現在、県内に災害拠点病院を22か所、災害時連携病院を32か所指定しているところ、地域保健医療計画では、災害時連携病院を令和11年度末までに40か所とする目標を掲げているところでございます。
引き続き、指定要件の充足が見込まれる医療機関への働き掛けを行い、地域DMATの新規養成やBCP策定などの支援を行うことにより、更なる指定に努めてまいります。
また、災害時には患者の搬送調整や保健医療活動チームの派遣調整など、保健医療活動に関わる様々な調整を適切かつ円滑に実施することが求められます。
そのため、災害時医療に知見を有する医師である災害医療コーディネーターの助言を得ることが極めて有効であることから、地域保健医療計画に位置付け、保健医療調整本部や全ての二次保健医療圏に災害医療コーディネーターを配置しております。
次に、実際の災害発生時に重症患者を円滑に受け入れるために、今後どのように取り組む考えなのかについてであります。
県ではこれまでも、県全域を対象とした埼玉版FEMA訓練を繰り返し実施してまいりましたが、より一層充実させるための取組の一つとして、今年度から、地域における災害時医療体制を想定した訓練を実施いたします。
具体的には、各地域において行政や保健医療、福祉関係者等を対象に、埼玉版FEMAのプロトコールに基づいた具体的な災害を想定したシナリオによる訓練を実施するとともに、災害対応を行う機関同士が共通の情報に基づき適切に対応できるようフォーマットを整備をし、円滑な情報収集・共有の仕組みを確立することで、災害時医療に関わる関係機関相互の連携体制の強化を図ってまいります。
また、今後、大規模災害時に被災地での医療提供や患者搬送を迅速に行うことを目的として、関東1都6県のDMATが参加する関東ブロックDMAT訓練を本県において実施をする予定であります。
訓練を繰り返し、訓練を通じて、議員御指摘のような脆弱性を含めた課題を掘り起こし、その課題を共有することが埼玉版FEMAの要諦で、6年以上にわたり繰り返し訓練を実施してまいりました。
訓練で出た課題を踏まえブラッシュアップしていくことで、本県の災害時医療体制の更なる強化に取り組んでまいります。