研究課題評価の公開(令和3年度)
研究課題評価の公開
限られた研究資源で、効率的かつ効果的な研究開発を実施するために、研究課題の評価(以下「課題評価」という)を実施しています。課題評価において適切な助言を得ることで、研究員の創造性が十分に発揮できるように活用するものです。
ここでは、課題評価の透明性を高めるとともに、試験研究について、広く県民の皆さまに知っていただくために、ホームページで公開いたします。
「埼玉県農林水産試験研究機関研究課題評価実施要領(平成27年4月1日最終改正)」に基づき、厳正かつ公平性、客観性を確保するため課題評価を行う組織として、外部の有識者等で構成する研究等評価委員会(以下「評価委員会」という)を設置しています。
令和3年度の評価委員会構成員は、次の7名です。
専門分野
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氏名
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現職等(令和3年4月現在)
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作物全般
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髙屋 武彦
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元 独立行政法人 農業技術研究機構
中央農業総合研究センター所長
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園芸
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荒木 陽一
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高崎健康福祉大学農学部教授
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畜産
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牛島 仁 |
日本獣医生命科学大学応用生命科学部動物科学科教授
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植物 |
米林 仲
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立正大学地球環境学部教授環境システム学科教授
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食品 |
青柳 康夫 |
女子栄養大学栄養学部名誉教授 |
病害虫 |
高橋 賢司 |
元 一般社団法人 日本植物防疫協会技術顧問 |
土壌肥料
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加藤 直人 |
JA全農耕種資材部技術主管 |
※ 敬称略
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評価委員会で行う課題評価には、下記の3つがあり、このホームページで公開するのは、令和2年度に終了した研究課題を対象にした「事後評価」です。
事前評価
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新たに実施する研究課題について、県民ニーズなど農林水産行政からみた緊急性や重要性、本県農林水産業への貢献の可能性、技術的な達成の可能性等、多様な観点から、課題化の妥当性を評価します。
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事後評価
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研究終了後、当該研究の成否について総括するとともに、新たな研究計画の策定等に活かすため、研究目標の達成の度合い、 研究成果の波及効果、県民生活や本県農林水産業への貢献度など研究内容の全般について、 総合的な観点から評価します。
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追跡評価
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事後評価だけではその成果が確定できないと判断された研究課題については、研究終了後一定期間経過後に、追跡評価を実施します。
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令和2年度に実施した課題の評価
令和3年7月に評価委員会を開催しました(新型コロナウイルス感染拡大防止のためWeb開催としました)。評価は、完了課題の研究進行管理表、プレゼンテーション印刷資料をもとに、評価委員6名(1名欠席)から評価をいただきました。
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令和2年度に終了した課題の評価公開
評価基準(事後評価)
評価基準は以下のとおりです。
総合評価
- S:目標が達成されており、成果が大いに活用(具体的に計画)され、本県の農林水産業等の発展や研究における優位性に貢献する。
- A:目標が達成されており、成果の活用(具体的に計画)されている。
- B:目標がおおむね達成され、今後、成果の活用が期待できる。
- C:目標の達成度が不十分である。あるいは、今後、成果の活用があまり期待できない。
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評価対象課題と評価結果
研究課題1:イチゴ無病苗供給のための病害診断技術の開発
- 研究担当:遺伝子情報活用担当
- 研究期間:平成29年度~令和2元年度
- 研究概要:種苗センターではイチゴ無病苗の生産と供給を行っている。これまで、炭疽病・萎黄病は目視により検査を行っていたが、判断には経験が必要であり、時間がかかることが問題となっていた。そこで、イチゴ炭疽病及び萎黄病を対象にDNA抽出方法の検討や県内菌株を検出可能なマーカーの改良などを行い、PCRを用いた病害診断技術を開発し、マニュアルを作成した。なお、作成したマニュアルをもとに種苗センター職員に研修を行い、イチゴ無病苗の生産に生かされている。
- 研究評価:総合評価A
評価課題2:水稲高温対策事業 高温耐性品種の普及と種子供給システムの開発、高温耐性品種安定生産技術確立
- 研究担当:水稲育種担当、農業革新支援担当、遺伝子情報活用担当、水田高度利用担当
- 研究期間:平成28年度~令和2年度
- 研究概要:高温障害対策事業(平成23年度~平成27年度)で育成した高温耐性晩生品種「むさしの27号」、「むさしの29号」の普及に向けた試験や種子生産を行った。その結果、「むさしの27号」が有望であると判断し、良食味及び多収生産を目的としたそれぞれの栽培方法を確立した。また、大規模実証による現地適応性の確認を行い、有用性を明らかにした。さらに、DNAマーカーによる品種判別技術を開発し、純度の高い種子生産を実施することで、普及に向けた準備を整えた。
- 研究評価:総合評価A
評価課題3:「彩の国地鶏タマシャモ」血統更新事業 彩の国地鶏タマシャモ開発研究事業
- 研究担当:養豚・養鶏担当
- 研究期間:平成27年度~令和2年度
- 研究概要:「彩の国地鶏タマシャモ」は、作出から30年以上が経過し、原種の近交化が進行していた。そこで、近交回避と繁殖性及び体格の改良のため、別系統との交配を行うとともに、肉質の評価を行った。その結果、種鶏の繁殖性が大幅に向上したことにより、生産者に供給するヒナの生産性が約1.6倍に向上し、増体性も約18%向上した。また、改良鶏の食味評価は150日齢でも180日齢と遜色なく、増体成績も考慮すると、従来鶏よりも短期間で出荷可能と考えられた。
- 研究評価:総合評価A
研究課題4:県産米「特A」プロジェクトクト推進事業 食味向上技術の開発と導入支援
- 研究担当:水田高度利用担当、水稲育種担当、遺伝子情報活用担当、農業革新支援担当
- 研究期間:平成28年度~令和2年度
- 研究概要:各都道府県がオリジナル新品種のブランド化に取り組んでおり、積極的なPR活動を展開している中で、有利販売を行うには日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」において「特A」評価を獲得することが不可欠な状況となっている。そこで、本県が育成した新品種「彩のきずな」が「特A」を獲得・継続するための技術の検討を行った。その結果、極良食味の条件やそのための栽培法を明らかにし、栽培マニュアルを作成した。また、平成29年産および令和2年産「彩のきずな」で食味ランキング「特A」評価を獲得した。
- 研究成果:総合評価A
研究課題5:埼玉スマート農業推進プロジェクト リモートセンシングによる水稲・麦の安定生産技術の開発
- 研究担当:水田高度利用担当
- 研究期間:平成30年度~令和2年度
- 研究概要:生育診断に基づく水稲の追肥は収量や品質の確保に必要であるが、経営の大規模化や猛暑日の増加に伴って手間のかかる診断の実践は困難となっている。そこで、ドローンにより取得した空撮画像から生育診断を行う技術を組み立て、水稲や麦の形質予測の可能性を明らかにするとともに、本県水稲主要品種「彩のかがやき」の追肥診断基準を策定した。開発技術の有用性は現場ほ場でも実証された。
- 研究評価:総合評価B
評価課題6:サトイモ類の種芋安定生産と貯蔵技術の確立
- 研究担当:高収益畑作担当
- 研究期間:平成30年度~令和2年度
- 研究概要:県内のサトイモ産地で課題となっている種芋貯蔵と、県が選抜した「丸系八つ頭」の種芋確保について試験を行った。その結果、種芋貯蔵については、変動温度下での最適貯蔵条件、貯蔵に適する資材を明らかにし、パイプハウスを利用した簡易貯蔵技術を開発した。また、「丸系八つ頭」の種芋確保については、種芋に使用できる芋重量や栽培密度、未利用芋の活用について明らかにし、栽培マニュアルの改訂を行った。
- 研究評価:総合評価A
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