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掲載日:2024年3月25日

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答申第128号 「平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験第1次試験実施要項」等の部分開示決定(平成20年3月21日)

答申第128号(諮問第143号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った平成19年2月23日付けの不開示決定のうち、次の公文書について平成19年11月19日付けの変更決定で、部分開示決定に変更しても、なお不開示とした部分は、不開示とすることが妥当である。

(1)平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第1次試験実施要項(課題討論の部)(以下「対象文書1」という。)

(2)平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第2次試験実施要項(場面指導の部)(以下「対象文書2」という。)

(3)平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第2次試験実施要項(個人面接の部)(以下「対象文書3」という。)

(4)平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第2次試験集団面接試験実施要項(以下「対象文書4」という。)

2 異議申立て及び審査の経過

(1) 異議申立人は、平成18年12月27日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、以下の公文書の開示請求(以下「本件開示請求」とする。)を行った。
《開示請求する公文書の内容の要旨》
平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験(実施)に関わるすべての文書(実施要項、会議、通知等も含む)

(2) 実施機関は、本件開示請求の対象となる公文書として9文書を特定し、埼玉県情報公開条例第10条第5号に該当するものとして、平成19年2月23日付けで全部を不開示とする決定(以下「本件不開示決定」という。)を行った。

(3) 異議申立人は、本件不開示決定を不服として、開示を求め、平成19年4月5日付けで、実施機関に対して異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成19年8月14日付けで、実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 実施機関は、平成19年9月7日付けで開示決定等理由説明書(以下「理由説明書1」という。)を当審査会に提出した。

(6) 異議申立人は、平成19年10月2日付けで、理由説明書1に対する反論書(以下「反論書1」という。)を当審査会に提出した。

(7) 実施機関は、平成19年11月19日に本件不開示決定について変更決定を行い、9文書のうち5文書を開示決定に変更し、残りの4文書(対象文書1から対象文書4まで)を部分開示決定に変更し、開示を実施した(開示しない情報及びその理由は別紙のとおり。)。
また、同日付けで当該変更決定に基づいて、改めて開示決定等理由説明書(以下「理由説明書2」という。)を当審査会に提出した。

(8) 異議申立人は、実施機関の変更決定を受けて、平成19年12月7日付け(平成19年12月18日収受)で「情報公開の取り扱いに関する異議申し立ての趣旨の縮減及び理由の差し替えについて」を実施機関に提出し、以下のとおり、異議申立ての趣旨を縮減するとともに異議申立ての理由を差し替えた。(以下、趣旨を縮減し、理由を差し替えた後のものを「本件異議申立て」という。)
本件異議申立ての趣旨
埼玉県教育委員会が変更決定(平成19年11月19日付「公文書不開示決定の変更決定について(通知)」)で依然として不開示とした部分の開示を求める。

(9) 実施機関は、異議申立人が異議申立ての趣旨の縮減及び理由を差し替えたことから、改めて、平成19年12月27日付けで開示決定等理由説明書(以下「理由説明書3」という。)を当審査会に提出した。

(10) 異議申立人は、平成20年1月17日付けで理由説明書3に対する反論書(以下「反論書2」という。)を当審査会に提出した。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。

(1)理由1:開示しない理由にある「おそれ」は、極めて一般的で抽象的な説明である。
「開示しない理由」にある「具体的な情報であり、これを開示することは、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり」は極めて一般的で抽象的な説明でそれこそ具体性がない。
当該情報が公開されることによって、どのような支障をきたすのか具体的、個別的かつ明白な説明でなければ、「不開示」の根拠にならない。

(2)理由2:文書開示の整合性がない。
今回「公文書不開示決定の変更決定について(通知)」で開示されたものは、以前に開示されたものである。したがって、今回のような不十分な形で開示するのではなく、前回同様全面的に開示されるべきである。以前に全面的に開示してもなんら「教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」はなかったのであるからその点を十分に踏まえ、以前のように開示することが文書開示の整合性をもつものと考える。
もし『新たに作成したもの』が『平成17年度』のものと違い変更になっているのであれば『新たに作成した内容である。』等誠実にそのように分かるように記述すべきである。ただ『新たに作成したもの』という理由でもって「不開示」理由とすることは、誤魔化そうとしたものと思わざるをえない。

(3)理由3:他県の動向
近年全国的に情報公開・開示が進んでいる。教員採用選考試験の内容、手順、方針等に関わる資料については基本的にすべて開示しているのが愛知県であり、その他の県でも情報公開が進んでいる。本県においても同様な対応がされていたので今後も他県の動向と足並みをそろえるべきである。
実施機関の説明は、開示に備えた公開用文書と不開示用文書の2重文書を作成するかのごとくとられかねず、不信を招く。
京都府は、面接試験に関わる「1次集団面接試験評定票」「1次集団面接試験面接委員用評定資料」の「着眼点」等全面に公開している。

(4)理由4:採用選考試験受験者の開示請求権に背くものである。
埼玉県教育委員会の処分は本県教員採用選考試験の「選考」に関する情報を正確に知りたいと言う県民の開示請求権に背くものであり、また、その情報によって、本県の学校教育に寄与できる教員になりたいと思っている受験者の願い(県政参加)に背くものである。

(5) 過去に何故これらすべての「実施要項等」を開示したのであろうか。その後、開示できなくなったのであればその変わった理由を明確に説明すべきである。
今回の変更決定で、新たに開示したのであるから、異議申立人に対してどのような経過で不開示から開示になったかの理由を説明すべきである。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関の主張の内容は、次のとおりである。

(1) 理由1について

対象文書を開示すると受験者は「自分を表現する」ことにより、試験員の側に立ち、自分をつくって表現することに力を注ぐことになる。選考する側にとっては、真に知りたい受験者の姿が見えず、適正な判断をすることができなくなる。
対象文書を開示した場合、対象文書を手に入れた者とそうでない者とが存在し、不公平感を抱かせるとともに、不信感を持たせる原因となる。

(2) 理由2について

対象文書は、平成19年度教員採用選考試験の実施に当たり、要項を新たに作成したもの。申立人の主張は、その前提を欠く。

(3) 理由3について

実施要項等は、試験員が教員採用選考試験を実施する上で必要な内容を記載したものであり受験者等へ公開することを想定して作成したものではない。
採用事務は各都道府県等が自らの責任で行う自治事務であることから、開示するかどうかの判断は本県の責任でなされなければならないものである。

(4) 理由4について

実施要項等を開示し、教員採用選考試験の手順や観察方法、評定及び判定等を公開することは、教員採用選考試験によって人物を見極め、選考するという機能を低下させ、結果として、教員採用選考試験の目的を果たせなくなる。
このことは、県民の付託に応え、教員として資質のより高い人材を確保しようとする教員採用選考試験を適正に運用しようとするものであり、受験者の開示請求権に背くものではなく、また県民の願いに反するものではない。

(5) その他

教員採用選考試験では、試験員と受験者が互いに直接に触れ合うことを通して教員としてふさわしい優れた人物を総合的に評価し、選考することをねらいとしている。実施要項の評定の細目や面接試験において受験者を評価する上で観察方法の具体的な内容等を開示することは、受験者が教員採用選考試験の評価の観点等を知ることにより、繰り返しリハーサルを行って試験に臨むことが可能となり、結果として受験者が真に教員としての適格性を有するかどうかを試験員が観察・判定することを困難にする。

5 審査会の判断

本件異議申立ては、当初の異議申立て後において、実施機関が本件不開示決定を開示決定及び部分開示決定に変更決定し、それを受けて、異議申立人が異議申立ての趣旨を縮減し、変更決定後においても依然として不開示となっている部分の開示を求めていることから、実施機関が部分開示決定に変更しても、なお不開示とした部分の適否について検討する。

(1)条例第10条第5号について

実施機関が変更決定後においてもなお不開示とした情報は、いずれも「教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」として、条例第10条第5号に該当するとしたものである。
条例第10条第5号は、県の機関等が行う事務又は事業の適正な遂行を確保するために不開示とする情報について次のように定める。
「県、国若しくは他の地方公共団体(以下この号において「県等」という。)の機関、独立行政法人等又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの。」
上記引用中の「次に掲げるおそれ」としてイからホまでに掲げられた「おそれ」は、いずれも典型的な例示とされている。
以下、当審査会は対象文書中の不開示情報について条例第10条第5号該当性について検討する。

(2)対象文書1について

  • ア 対象文書1の内容について
    対象文書1は、実施機関が平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第1次試験の面接試験である「課題討論の部」について試験員が教員採用選考試験を実施するために作成された資料である。当該文書は、「1面接試験のねらい」及び「2 課題討論」の2部で構成され、さらに、「2 課題討論」は、「1 ねらい」、「2 実施方法」、「3 観察の方法」、「4 評定及び判定」、「5 課題討論試験員行動表」(課題討論試験員行動計画表)、「6 評定票」(課題討論評定票)及び「7 判定表」(課題討論判定表)の各項目で構成され、最後に「課題討論評定票(例)」及び「課題討論判定表(例)」が添付されている。表紙には「部外秘」、「試験員用」、「試験終了後必ずお返しください」等の記載がある。
    実施機関が不開示とした情報は、「2 課題討論」の「4 評定及び判定」の「(2)評定票の記入方法」の「(3) 所見欄(判定表)」の記載中の「なお」以下の部分、「2 課題討論」の「6 評定票」である「課題討論評定票」の評定等記入欄の「評価項目・評価の観点」中の小項目、「課題討論評定票(例)」の表題以外の部分、及び「課題討論判定表(例)」の表題以外の部分である。
    以下、実施機関が不開示とした各情報の条例第10条第5号該当性について検討する。
  • イ 条例第10条第5号該当性について
    • (ア) 「2課題討論」の「4 評定及び判定」の「(2) 評定票の記入方法」の「(3)所見欄(判定表)」の記載中の「なお」以下の部分について
      「4 評定及び判定」は、試験員が受験者を評定及び判定する上での留意事項、評定票及び判定表の記入方法等が記述されている。内容を見分したところ、実施機関が不開示とした部分以外は、試験員が評定及び判定する上での留意事項や記入方法等についての一般的な内容の記述である。しかし、「(2) 評定票の記入方法」の「(3) 所見欄(判定表)」の記載中の「なお」以下の部分は、受験者の得点等に応じた試験員による判定表の記入に関する具体的な情報であり、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。
    • (イ) 「2 課題討論」の「6 評定票」である「課題討論評定票」の評定等記入欄の「評定項目・評価の観点」中の小項目について
      「課題討論評定票」は、実際の選考試験で使われた評定の記入様式であり、面接会場記入欄、試験員氏名記入欄、評定尺度、及び受験者ごとの評定等記入欄で構成されている。
      「課題討論評定票」の評定等記入欄の「評定項目・評価の観点」は、大項目と、大項目ごとの評定をする上での観点である小項目で構成されている。当該部分を見分したところ、大項目は、「1協調性」、「2積極性」、「3明朗性」、「4理解・判断力」、「5態度」となっており、これは一般的に面接試験等の評価に用いられる項目である。しかし、小項目は、試験員が受験者について大項目ごとの評定を行うために、試験の科目の内容に応じて設定した具体的な観点である。これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。
    • (ウ) 「課題討論評定票(例)」の表題以外の部分について
      当該部分を見分したところ、「課題討論評定票(例)」は、実際に選考試験で評定を行う場合の記入例であって、試験員が実際に受験者の評定を行う際の評定の方法や評定票の記入方法を具体的に示す情報となっている。これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が表題以外の部分について条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。
    • (エ) 「課題討論判定表(例)」の表題以外の部分について
      「課題討論判定表」は、志願区分記入欄、受験者ごとの判定等記入欄、実施日記入欄、試験室記入欄及び試験員氏名記入欄で構成されている様式であるが、「課題討論判定表(例)」は「課題討論判定表」の様式を用いた記入例であって、試験員が受験者を実際に判定する際の具体的な判定の方法や判定表の記入方法を具体的に示す情報となっており、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、表題である第一行目を除き実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。

(3)対象文書2について

  • ア 対象文書2の内容について
    対象文書2は、実施機関が平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第2次試験の面接試験である「場面指導の部」について試験員が教員採用選考試験を実施するために作成された資料である。当該文書は、「1 ねらい」、「2 実施方法」、「3 観察の方法」、「4 評定」、「5 場面指導試験員行動表」(場面指導試験員行動計画表)及び「6 評定票」(場面指導試験評定票)の項目で構成されている。表紙には「部外秘」、「試験員用」、「試験終了後必ずお返しください」等の記載がある。
    実施機関が不開示とした情報は、「6 評定票」である「場面指導試験評定票」の評定等記入欄中の「着眼点」及び評定等記入欄の下の脚注の2つ目の「※」の後の記載である。
    以下、実施機関が不開示とした各情報の条例第10条第5号該当性について検討する。
  • イ 条例第10条第5号該当性について
    • (ア) 「場面指導試験評定票」の評定等記入欄中の「着眼点」について
      「場面指導試験評定票」は、志願区分記入欄、受験番号記入欄、受験者氏名記入欄、グループ番号記入欄、試験員氏名記入欄及び評定等記入欄からなっており、さらに、評定等記入欄は「評定項目」、「着眼点」、「評定尺度」及び「総合判定」の項目で構成されている。
      当該部分を見分したところ、「評定項目」は、「1協調性」、「2積極性」、「3明朗性」、「4理解・判断力」及び「5態度」であり、これは一般的に面接試験等で用いられる項目である。しかし、「着眼点」は、試験員が各受験者について「評定項目」ごとの評定を行うために、試験の科目の内容に応じて設定した具体的な観点である。これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。
    • (イ) 「場面指導試験評定票」の評定等記入欄の下の脚注の2つ目の「※」の後の記載について
      内容を見分したところ、「場面指導試験評定票」の様式の評定等記入欄の下に記載された脚注は、試験員が評定票を記入する際の留意事項が記載されている。2つ目の「※」の後の記載は、特定の受験者に応じた試験員による評定票の記入に関する具体的な情報であり、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。

(4)対象文書3について

  • ア 対象文書3の内容について
    対象文書3は、実施機関が平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第2次試験の面接試験である「個人面接の部」について、試験員が教員採用選考試験を実施するために作成された資料である。当該文書は、「1 面接試験のねらい」及び「2 個人面接試験」の2部で構成され、さらに、「2 個人面接試験」は、「1 ねらい」、「2 実施方法」、「3 観察の方法」、「4 評定及び判定」、「5 個人面接試験員行動表」の各項目で構成され、最後に「個人面接試験評定票」(様式)が添付されており、初ページには「部外秘」の記載がある。
    実施機関が不開示とした情報は、「3 観察の方法」の(9)、「4 評定及び判定」の「(2)評定票の記入方法」の「(4) 観察記録・意見」の「なお」以下の部分、及び「個人面接試験評定票」の評定等記入欄中の「着眼点」である。
    以下、実施機関が不開示とした各情報の条例第10条第5号該当性について検討する。
  • イ 条例第10条第5号該当性について
  • (ア) 「3観察の方法」の(9)について
    「3 観察の方法」は、個人面接試験を行う際の試験員が受験者を観察する上での留意事項が記載されている。内容を見分したところ、(9)を除く部分については個人面接試験を行う上での一般的な留意事項が記載されている。しかし、(9)の部分は、特定の受験者に応じた評価をする上での試験員の具体的な観察の方法が記載されていることが認められ、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。
  • (イ) 「4 評定及び判定」の「(2) 評定票の記入方法」の「(4) 観察記録・意見」の「なお」以下の部分について
    「4 評定及び判定」の「(2) 評定票の記入方法」については、試験員が受験者を評定及び判定する上での留意事項及び評定票の記入方法等が記載されており、「(4)観察記録・意見」には、試験員が評定票の「観察記録意見」欄を記入する際の留意事項が記載されている。「なお」以下の部分は、特定の受験者に応じて試験員の「観察記録意見」欄への記入に関する具体的な情報であると認められ、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。
  • (ウ) 「個人面接試験評定票」の評定等記入欄中の「着眼点」について
    「個人面接試験評定票」は、志願区分記入欄、受験番号記入欄、受験者氏名記入欄、試験員氏名記入欄、評定等記入欄で構成されており、受験者ごとに作成される評定及び判定の記入様式である。
    評定等記入欄の中には「評定項目」があり、各「評定項目」ごとに「着眼点」が設定されている。当該文書を見分したところ、「評定項目」は「1表現力」、「2積極性」、「3明朗性」、「4理解・判断力」、「5態度」であり、これは面接試験等で用いられる一般的な項目である。しかし、「着眼点」は、試験員が各「評定項目」ごとに評定を行うために、試験科目の内容に応じて設定した具体的な観点の情報であり、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。

(5)対象文書4について

  • ア 対象文章4の内容について
    対象文書4は、実施機関が平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第2次試験の面接試験である「集団面接試験」について、試験員が教員採用選考試験を実施するために作成された資料である。当該文書は、「1 ねらい」、「2 実施方法」、「3 観察の方法」、「4 評価及び判定」及び「5 試験員行動計画表」の各項目で構成されている。
    不開示とした情報は、「3 観察の方法」の(9)、及び「4 評価及び判定」の「(2) 観察記録及び意見」中の「なお」以下の部分である。
    以下、実施機関が不開示とした各情報の条例第10条第5号該当性について検討する。
  • イ 条例第10条第5号該当性について
    • (ア) 「3 観察の方法」の(9)について
      「3 観察の方法」は、集団面接試験を行う際に試験員が受験者を観察する上での留意事項である。内容を見分したところ、(9)を除く部分については集団面接試験を行う上での一般的な留意事項が記載されている。しかし、(9)の部分は、特定の受験者に応じた評価をする上での試験員の具体的な観察の方法が記載されており、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。
    • (イ) 「4 評価及び判定」の「(2) 観察記録及び意見」中の「なお」以下の部分について
      当該部分を見分したところ、「4 評価及び判定」の「(2) 観察記録及び意見」は、試験員が判定をする際の観察記録及び意見の記録方法が記載されている。「なお」以下の部分は、特定の受験者に応じた試験員による観察記録及び意見の記入に関する具体的な情報であり、これを開示した場合、教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、実施機関が条例第10条第5号に該当するとして不開示とした判断は妥当である。

(6)異議申立人の主張について

異議申立人の主張については、当審査会で対象文書を見分したところ、実施機関が不開示とした個々の情報に直接関係するものではないので、当審査会としてその主張の適否についての判断は行わない。
なお、実施機関が行った当初の不開示決定は、条例第11条第1項に基づき、部分開示となるか全部不開示となるかについて十分に検討を行ったものとは言えず、もっぱら試験員用に新たに作成したことを理由に全部を不開示にしたものであって、その後、変更決定したものの、実施機関の対応として適切さを欠くものである。また、実施機関の開示決定等理由説明書の主張は、異議申立人の主張に対応したものであるとしても、県の教員採用選考は「自治事務」であるとか、対象文書は「新たに作成したもの」であるなど、条例の規定に基づいた合理的な説明になっているとは言い難く、異議申立人に対して無用の混乱を招くものである。
結果として、実施機関が変更決定で開示及び部分開示に変更したものについて、当審査会として、対象文書を見分した上で、実施機関の判断は妥当であると答申するものであるが、今後、実施機関が開示・不開示の判断を行う場合、特に不開示とした理由に関しては、合理的かつ丁寧な説明がなされることを要望する。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
加々美光子、城口美恵子、山口道昭

審議の経過

年月日

内容

平成19年8月14日

諮問を受ける(諮問第143号)

平成19年9月7日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成19年9月20日

審議(第三部会第30回審査会)

平成19年10月2日

異議申立人から反論書を受理

平成19年10月18日

実施機関から意見聴取及び審議(第三部会第31回審査会)

平成19年11月19日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成19年11月22日

実施機関から意見聴取及び審議(第三部会第32回審査会)

平成19年12月19日

審議(第三部会第33回審査会)

平成19年12月27日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成20年1月17日

異議申立人から反論書を受理

平成20年1月24日

異議申立人の口頭意見陳述及び審議(第三部会第34回審査会)

平成20年2月26日

審議(第三部会第35回審査会)

平成20年3月18日

審議(第三部会第36回審査会)

平成20年3月21日

答申(答申第128号)

別紙

開示しない情報及びその理由

(1) 開示しない情報:所見欄及び観察記録・意見欄等への判定記入上の留意事項

その理由 :受験者の得点等に応じた試験員による判定記入に関する具体的な情報であり、これを開示することは教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、埼玉県情報公開条例第10条第5号に該当するため。

(2) 開示しない情報:試験の評定の細目

その理由 :受験者を評価するための具体的な観点の情報であり、これを開示することは教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、埼玉県情報公開条例第10条第5号に該当するため。

(3) 開示しない情報:評定票及び判定表の記入例(表題を除く。)

その理由 :評定に関する具体的な情報であり、これを開示することは教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、埼玉県情報公開条例第10条第5号に該当するため。

(4) 開示しない情報:面接試験において評価する上での観察の方法の具体的な内容

その理由 :受験者を評価する上での試験員の観察の方法に関する具体的な情報であり、これを開示することは教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、埼玉県情報公開条例第10条第5号に該当するため。

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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