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掲載日:2024年4月2日

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答申第122号 「平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験第1次試験の結果を転記する得点一覧表」外1件の不開示決定(平成20年1月8日)

答申第122号(諮問第140号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、次の公文書について平成19年1月11日付けで行った不開示決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

(1)平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験第1次試験の結果を転記する得点一覧表(以下「本件文書1」という。)

(2)平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考第2次試験

  1. 電算処理用データ1(以下「本件文書2」という。)
  2. 電算処理用データ2(以下「本件文書3」という。)

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 異議申立人は、平成18年11月14日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、以下の請求を行った。
平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用試験

  1. 第二次試験 2選考方針 縦軸(論文・実技)の得点の(a、b、c)のそれぞれの基準と横軸(ア、イ、ウ、エ)の基準
  2. 第一次試験 1次選考方針 Aゾーンの最低点とBゾーンの最低点

(2) これに対し、実施機関は、平成19年1月11日に以下のとおり決定を行い、異議申立人に通知した。

  • ア 上記(1)1のうち「2選考方針」の対象文書として「平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験第2次試験選考について」を、2のうち「1次選考方針」の対象文書として同じく「第1次選考方針」をそれぞれ特定した上で、開示決定をした。
  • イ 上記(1)1のうち「縦軸(論文・実技)の得点の(a、b、c)のそれぞれの基準」の対象文書として本件文書2を、1のうち「横軸(ア、イ、ウ、エ)の基準」の対象文書として本件文書3を、2のうち「Aゾーンの最低点とBゾーンの最低点」については本件文書1をそれぞれ特定した上で、「開示することにより当該事務事業の適正な執行を著しく困難にするおそれのあるものであり、埼玉県情報公開条例第10条第5号に該当するため。」として不開示決定(以下「本件不開示決定」という。)をした。

(3) 異議申立人は、(2)イの本件不開示決定に対して、公文書の開示を求めるとして、平成19年3月8日付けで実施機関に異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)をした。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成19年5月15日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成19年6月4日付けの開示決定等理由説明書(以下「理由説明書」という。)の提出を受け、また、平成19年7月26日に実施機関から意見を聴取した。

(6) 当審査会は、異議申立人から平成19年6月20日付けの反論書の提出を受け、また、平成19年9月20日に異議申立人から口頭意見陳述を聴取した。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人の主張は、おおむね次のとおりである。

(1) 「開示しない理由」にある「おそれ」は、きわめて一般的で抽象的な説明である。当該情報が公開されることによって、どのような支障をきたすのか具体的、個別的かつ明白な説明でなければ「不開示」の根拠にならない。

  • ア 第1次試験得点一覧表について
    理由説明書の「理由」は、説得性がない。受験者がAゾーン又はBゾーンの最低点以上の成績を得ているからといって第1次試験に合格できるということではないことは、「第1次選考方針」で明らかである。したがって、受験者の間に無用の混乱や、受験者から相当量の質問や苦情を寄せられることは基本的にありえないことである。
    また、「第1次選考方針」にある「・・・成績に加えて、運動能力検査、人物考査書、クラブ活動・部活動・ボランティア活動等を勘案して選考する」の「勘案」の基準を明らかにすることによって、無用の混乱は回避されるものと考える。
  • イ 第2次試験電算処理用 データ1及び2について
    理由説明書の「理由」は、説得性がない。
    実施機関は、以前に第2次試験要項(場面指導試験・集団面接試験)で、「観察の方法」や「観点」など事細かに情報公開してきている。これらは、明らかに具体的、個別的な「項目」になっており、今さら「選考で重視されている項目が明らかに」なることにそれほど大きな問題が生じるとは考えにくい。

(3)文書開示の整合性について

今まで実施機関は教員採用試験に関して、平成18年度第1次方針・第2次方針を全面的に開示してきたが、このたびの不開示はまったく整合性がみられない。

(4) 他県の動向について

他県でも情報公開が進んでおり、本県も他県の動向に足並みをそろえるべきである。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1) 平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験第1次試験の結果を転記する得点一覧表について

第1次試験の結果を転記する得点一覧表は、第1次試験の合格者を決める選考作業を実施するための用紙であり、一般教養・教職科目、専門科目、面接試験及びクラブ活動、部活動、ボランティア活動等の実績の各得点を転記するものである。
この第1次試験の結果を転記する得点一覧表を作成することにより、第1次試験受験者の個々の成績に基づく第1次選考方針のAゾーン及びBゾーンの最低点が決定されることになる。
ところで、埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験は、人物重視の採用選考であることから、Aゾーン又はBゾーンの最低点以上の成績を得ているからといって第1次試験に合格できるということではない。
このため、この一覧表を開示することにより、Aゾーン又はBゾーンの最低点に達しているにもかかわらず、不合格になっていた場合などが判明し、受験者の間で無用の混乱を招くことになり、又、実施機関に対して、受験者から相当量の質問や苦情が寄せられることが予想される。
よって、毎年行う教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第10条第5号の規定に該当するため不開示としたものである。

(2) 平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験第2次試験 1電算処理用データ1 2電算処理用データ2について

第2次試験選考方針にある16領域は、選考試験に当たり、学科試験に偏ることなく人物重視の選考方法となるよう、実施機関が独自に設定したものであり、縦軸は、論文・実技試験の得点を表し、横軸は、面接試験の評定による人物評定を表しているものである。
この16領域の縦軸と横軸の基準を開示した場合、選考で重視されている項目が明らかになり、受験者の偏った受験対策を助長するなど、公正かつ公平な選考を困難にするおそれがある。
よって、条例第10条第5号の規定に該当するため不開示としたものである。

(3) 文書開示の整合性について

実施機関は、現在、第1次選考方針や第2次選考方針については、開示を行っているが、今まで選考試験の全てを開示しているというものではない。

(4) 他県の動向について

近県では選考方針なども不開示としているところもあり、埼玉県の開示が進んでいないということではない。

5 審査会の判断

(1) 本件文書1について

  • ア 対象文書について
    第1次試験の結果を転記する得点一覧表は、平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験の第1次試験受験者の試験の得点等を転記して一覧表にしたものである。
    実施機関によると、異議申立人の「第一次試験 Aゾーンの最低点とBゾーンの最低点」との開示請求に対し、平成19年度埼玉県公立小・中学校等教員採用選考試験第1次選考方針のAゾーンとBゾーンの最低点が記載されている文書を探索したところ、AゾーンとBゾーンの最低点が記載された文書は存在していないことから、本件文書1を特定したとのことである。
    審査会が見分したところ、AゾーンとBゾーンの境界及びBゾーンとCゾーンの境界を示す表記が認められることから、実施機関が本件文書1を特定したことは是認できる。
  • イ 条例第10条第5号該当性について
    実施機関は、本件文書1を開示することにより、受験者がAゾーン又はBゾーンの最低点に達しているにもかかわらず、不合格になっていた場合に、受験者の間で無用の混乱を招くことになり、又、実施機関に対して、受験者から相当量の質問や苦情が寄せられることが予想され、毎年行う教員採用選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、条例第10条第5号の規定に該当すると主張する。
    第1次試験の結果により分類されるA、B、Cの各ゾーンは、第1次試験のうち筆答試験(専門、一般教養・教職科目)、面接試験の総合得点を受験者の成績順に転記した後、第1次試験合格予定者数を勘案しながら、実施機関が設定する選考ゾーンである。
    この選考ゾーンは、教員採用選考試験における「選考の基本方針」に「多様な人材を採用するために、筆答試験,論文試験、面接試験、実技試験の成績に加えて、人物考査書、クラブ活動・部活動・ボランティア活動等を勘案して選考する。」にあるとおり、受験者の教員としての人間性や指導性を評価する人物重視の選考を行っていることから、筆記試験の結果に偏った選考にならないように設定されているゾーンである。
    したがって、Aゾーン及びBゾーンの最低点は、各ゾーンを設定するための選考過程の事務情報と捉えることができ、人物重視の選考試験である性質に鑑みれば、開示することにより、教員採用選考試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報であると認められることから、条例第10条第5号の不開示情報に該当すると認められる。

(2) 本件文書2及び本件文書3について

  • ア 対象文書について
    第2次試験電算処理用データ1及びデータ2には、教員採用選考試験の第2次試験の結果を分類するために実施機関が独自に設定した16領域を構成する縦軸と横軸の基準が記載されているものである。実施機関によると、この16領域は、教員採用選考試験が学科試験に偏ることなく人物重視の選考方法となるよう、点数化したものと記号化したものを2次元的に表し、1から16までの優位性をつけた領域であるとのことである。
    審査会が見分したところ、第2次試験電算処理用データ1は、論文・実技試験の得点を4分類するためのa、b、cの3つの基準の一覧表であり、第2次試験電算処理用データ2は、面接試験等の評定を、ア、イ、ウ、エに分類するための基準の一覧表であることが認められる。
  • イ 条例第10条第5号該当性について
    第2次試験電算処理用データ1にあるa、b、cの3つの基準は、第2次試験のうち論文、実技試験の得点分布を勘案した上で、実施機関が設定するものである。
    また、第2次試験電算処理用データ2には、第2次試験のうち集団面接、個人面接・場面指導の各評定をア、イ、ウ、エの4段階に分類するための基準が記載されている。
    したがって、本件文書2及び3は、実施機関において選考過程の情報と捉えることができ、開示することにより、選考で重視されている項目が具体的に明らかになることによって、公正かつ公平な選考を困難にするおそれがあることから、人物重視の選考試験である性質に鑑みれば、教員採用選考試験事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報と認められ、条例第10条第5号の不開示情報に該当すると認められる。

(3) その他

異議申立人は、実施機関の小・中学校等教員採用試験に関する開示状況から、本件不開示決定にまったく整合性がみられない旨主張するが、現在まで本件文書1、2及び3にかかる処分は行われていないことから、整合性について論ずることはできない。
また、異議申立人の他県でも情報公開が進んでおり、本県も他県の動向に足並みをそろえるべきであるとの主張は、他県の教員採用試験制度が本県と全く同一ではなく、一概に比較は困難であるため論ずることは難しい。むしろ、本県の状況は、相対的には他県より進んでいるとみられる。
しかしながら、教員採用試験の透明性を求める要請は年々高まってきていることは明らかである。実施機関においては、選考の基本方針にある「豊かな人間性と教員としての使命感、幅広い教養と専門的な知識・技能を備えた多様な人材」を確保するために、今後も選考基準等の検討、改善に努めることにより、一層の情報公開が可能となる環境が整備されることを望むものである。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
加々美光子、城口美恵子、山口道昭

審議の経過

年月日

内容

平成19年5月15日

諮問を受ける(諮問第140号)

平成19年6月4日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成19年6月20日

異議申立人より反論書を受理

平成19年7月26日

実施機関より意見聴取及び審議(第三部会第28回審査会)

平成19年8月20日

審議(第三部会第29回審査会)

平成19年9月20日

異議申立人の口頭意見陳述及び審議(第三部会第30回審査会)

平成19年10月18日

審議(第三部会第31回審査会)

平成19年11月22日

審議(第三部会第32回審査会)

平成19年12月19日

審議(第三部会第33回審査会)

平成20年1月8日

答申

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