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掲載日:2024年4月2日

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答申第118号 「映像送信型性風俗特殊営業の届出書」の部分開示決定(平成19年8月20日)

答申第118号(諮問第134号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、平成18年12月21日付けで部分開示決定を行った「映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書(平成17年3月9日届出番号第○○○○○○○○○○○号 蕨警察署)」(以下「本件対象文書」という。)の「事務所の所在地」欄に記載されている「自宅」が指し示している「住所」欄について開示の実施をすべきである。

2 審査請求及び審査の経過

(1) 審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成18年11月24日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「映像送信型性風俗特殊営業の届出書」の開示請求を行った。

(2) これに対して、実施機関は、埼玉県公安委員会に届出がなされた「映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書」等29件を特定し、本件対象文書については平成18年12月21日付けで、次のアに示す情報は次のイに示す不開示とする条項に該当するとして、これらを除いて開示するとの部分開示決定を行い、請求人に通知した。

  • ア 開示しない情報
    1. 警部補以下の職員の印影
    2. 届出者の印影
    3. 届出者の住所及び電話番号
    4. 金融機関名及び口座番号並びに自動公衆送信装置の設置者の氏名又は名称、住所及び電話番号
  • イ 該当条項
    • 前記ア1及び3については条例第10条第1号
    • 前記ア2及び4については条例第10条第2号

(3) 請求人は、埼玉県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し、平成19年1月16日付けの審査請求書により、本件対象文書の「住所」欄を開示すべきとして、原処分の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件審査請求について、平成19年2月21日付けで、諮問庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、本件審査に際し、諮問庁から平成19年3月30日付けで「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成19年5月15日に諮問庁から意見聴取を行った。

(7) 当審査会は、請求人に対し平成19年5月30日付けで本件審査請求の不服とする範囲を確認するため、通知文を送付したが返答はなかった。
なお、請求人から反論書の提出は受けていない。

3 請求人の主張の要旨

請求人が主張している内容は、概ね次のとおりである。

(1) 開示しない情報として「1警部補以下の職員の印影」「2届出者の印影」「3届出者の住所及び電話番号」「4金融機関名及び口座番号・・・」の4つが記載されている。しかし、実際に開示及び交付された文書を見てみると、上記4項目以外の情報の「営業者の住所」までもが黒塗りとされている。届出者と営業者は必ずしも一致するとは限らないため、この「営業者の住所」が黒塗りとされたことに関する理由付記が存在しない。埼玉県行政手続条例第8条第2項に違反している。理由付記の瑕疵による原処分の取消しは免れない。

(2) 開示請求対象の業者の営業形態は特定商取引法の通信販売に該当し、同法の規制を受ける。同法第11条においては、自宅で事業活動を行っている場合、自宅の住所を表示する義務がある。本件開示請求対象においては、「事務所の所在地」欄に「自宅」と記載されている。本件開示請求対象は、個人が自宅で事業活動を行っているのは明らかであり、「自宅」が指しているものは「営業者の住所」以外には考えられない。本件営業者の住所については、特定商取引法第11条によって自宅の住所の表示義務が存在することから、当該住所は、埼玉県情報公開条例第10条第1号ただし書イに該当すると考えられる。

(3) 本件開示請求対象は、いわゆるワンクリック詐欺と呼ばれる架空・不当請求サイトの運営者情報に関する開示請求である。この手の架空・不当請求の最大の特徴の1つは、法令(特定商取引法第11条)に違反し、サイト内に運営者情報を記載しない点にある。悪質架空・不当請求の被害者が損害賠償請求訴訟を提起すれば勝訴できると思われるが、業者を特定することができないことから訴訟突入が困難な情勢である。悪質業者の特定がなされれば、被害者の救済になりうるため条例第10条第1号ただし書ロ及び条例第12条に該当する。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、概ね次のとおりである。

(1) 本件対象文書中、「届出者の氏名又は名称及び住所」が記載された部分のうち届出者の住所及び「住所」欄の記載事項は、映像送信型性風俗特殊営業を営むための営業所の所在地に係るものではなく、届出者の生活の拠点となる住居に係るものである。当該情報は、届出者の個人に関する情報であるとともに、当該住居に関係する家族及び親族等の私的な生活領域に係る情報として、特定の個人が識別され又は識別され得る限りにおいて、条例第10条第1号の不開示情報に該当する。

(2) 本件対象文書中、届出者の住所等の情報は、法令若しくは他の条例により、何人でも知り得る状態に置かれている情報(資格や条件の制限がなく文字どおり何人でも知ることが可能なもの)とは認められないことから、条例第10条第1号の不開示情報に該当する。

(3) また、当該情報が、同号ただし書ロの「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」とは認められない。

5 審査会の判断

(1) 本件対象文書について

本件対象文書は、映像送信型性風俗特殊営業を開始するに当たり、平成17年3月9日に事業を営む個人から埼玉県蕨警察署長を経て埼玉県公安委員会あてに提出された営業開始の届出書である。

(2) 本件処分について

実施機関は、本件対象文書について、「警部補以下の職員の印影」及び「届出者の住所及び電話番号」を条例第10条第1号に該当し、「届出者の印影」及び「金融機関名及び口座番号並びに自動公衆送信装置の設置者の氏名又は名称、住所及び電話番号」を条例第10条第2号に該当するとして不開示とし、その余を開示とする部分開示決定を行ったものである。

(3) 審査請求の趣旨について

請求人は本件審査請求において、「営業者の住所」が不開示となっていることに関し理由付記がないこと、本件対象文書中「事務所の所在地」欄に「自宅」と記載されており、その「自宅」が指している「営業者の住所」が不開示となっていることについて、指摘している。
また、諮問庁の説明によると、「請求人は、同じ項目を不開示情報とし部分開示決定した29件の「映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書」等の処分のうち、「事務所の所在地」欄に「自宅」と記載した本件対象文書の処分のみ、住所欄を開示すべきとして審査請求を行った」とのことである。これらのことから、請求人の主張は、「事務所の所在地」欄に記載されている「自宅」の文字が指し示している部分が不開示となっていることであると判断されるため、当審査会では、この点について以下検討することとする。
なお、当審査会では、本件審査請求の趣旨を確認するため、請求人に対し平成19年5月30日付けで、「届出者(営業者)の住所」以外に不服とする不開示部分があればその部分を記載し書面にて提出してもらいたい旨の通知文を送付したが返答はない。

(3) 事務所の所在地について

実施機関は本件処分において、「警部補以下の職員の印影」、「届出者の印影」、「届出者の住所及び電話番号」及び「金融機関名及び口座番号並びに自動公衆送信装置の設置者の氏名又は名称、住所及び電話番号」を不開示情報としている。
このため、「事務所の所在地」については、開示情報として決定したことになる。
本件対象文書において開示情報として決定された「事務所の所在地」欄の記載を確認してみると、「自宅」と記載されている。「自宅」だけでは「事務所の所在地」を示すには内容的に不十分であることは明白であり、この「自宅」との表記は、本件対象文書中のどこかの部分を指し示しているものと考えられる。
本来「自宅」とは生活を営む本拠としている住所を意味するものである。「映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書」の中で「自宅」を表記する欄は「住所」欄である。

(4) 結論

「事務所の所在地」欄に「自宅」と記載されているが、「自宅」だけでは事務所の所在地を記載していることにはならず、「自宅」との表記が指し示し事務所の所在地を表している「住所」欄の情報と一体となって初めて「事務所の所在地」欄の情報が完結するものと考えられる。
本来「住所」欄は個人識別情報として不開示とされるものであるが、本件対象文書においては「事務所の所在地」欄に届出者自ら「自宅」と記載し、事務所の所在地情報として「住所」欄を指し示しているため、本件対象文書の「住所」欄は「事務所の所在地」としての法人等に関する情報であると言える。
本件対象文書について実施機関は「事務所の所在地」については開示することとして決定をしており、事務所の所在地を表す「住所」欄についても開示決定が及んでいるものと考えられることから、「事務所の所在地」に記載されている「自宅」が指し示している「住所」欄の開示を実施するべきである。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
磯部 哲、白鳥敏男、渡辺咲子

審議の経過

年月日

内容

平成19年2月21日

諮問を受ける(諮問第134号)

平成19年3月30日

諮問庁より開示決定等理由説明書を受理

平成19年4月19日

審議(第二部会第24回審査会)

平成19年5月15日

諮問庁より意見聴取及び審議(第二部会第25回審査会)

平成19年6月21日

審議(第二部会第26回審査会)

平成19年7月27日

審議(第二部会第27回審査会)

平成19年8月20日

答申

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