トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成19年度情報公開審査会答申 > 答申第115号 「平成15年度に係る、埼玉県政調査費の交付に関する規程第8条による会計帳簿及び関係証拠書類等一切の情報」の非公開決定(平成19年6月20日)

ページ番号:14417

掲載日:2024年3月26日

ここから本文です。

答申第115号 「平成15年度に係る、埼玉県政調査費の交付に関する規程第8条による会計帳簿及び関係証拠書類等一切の情報」の非公開決定(平成19年6月20日)

答申第115号(諮問第130号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県議会議長(以下「処分庁」という。)が、平成16年12月1日付け公文書不存在通知で行った非公開決定は、妥当である。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人は、平成16年11月16日付けで埼玉県議会情報公開条例(以下「公開条例」という。)第6条の規定に基づき、処分庁に対し、「平成15年度に係る、埼玉県政調査費の交付に関する規程第7条1項による収支報告書及び同第8条による会計帳簿及び関係証拠書類等一切の情報」を公開請求(以下「本件請求」という。)した。

(2) 処分庁は、本件請求のうち会計帳簿及び関係証拠書類等一切の情報に係る公文書(以下「本件文書」という。)については存在しないとして、埼玉県議会情報公開実施要領第10条により公文書の不存在を通知した(以下「本件不存在通知」という。)。

(3) 異議申立人は、本件不存在通知を不服として、平成17年1月31日付けで、処分庁に対して異議申立てを行った。

(4) 処分庁は、平成17年3月23日付けで、公文書不存在通知は、単なる事実の通知であって、処分性のない行為であり、行政不服審査法による不服申立ての対象となる処分に当たるものではなく、本件異議申立ては不服申立ての対象とならない行為に対する異議申立てであり、不適法なものとして異議申立てを却下した(以下「本件却下決定」という。)。

(5) 異議申立人は、本件不存在通知及び本件却下決定を不服として、平成17年5月26日に、埼玉県を被告として、さいたま地方裁判所に以下の訴えを提起した

(訴えの趣旨)

埼玉県議会議長が原告に対して行った「埼玉県議会県政調査費に関する文書」の情報公開請求に対して平成16年12月1日付け回答した「公文書不存在通知書」の取り消し、異議申立てに対して行った平成17年3月23日付け却下処分を取り消し公開を求める。

(6) さいたま地方裁判所は、平成17年11月16日に以下のとおり判決した。

  • ア 主文
    1. 埼玉県議会議長が原告に対して平成17年3月23日付けでした原告の異議申立てを却下する旨の決定を取り消す。
    2. その余の原告の請求を棄却する。
  • イ 理由の要旨
    • (ア)公文書不存在通知は、非公開情報に当たるとして公文書を開示しない旨の決定と同様に、公開請求を拒否する公的判断であって、実質的には、公文書の公開を拒否する決定として、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
    • (イ)原告の公開請求に係る文書は、会派において県政調査費経理責任者が保管しており、県議会において決裁又は受理等の手続が終了していたともいえないし、議長が保管しているとはいえない。当該文書は本件条例第2条の「公文書」に当たらないから、公開条例に基づく公開の対象とはならず、本件公開請求に係る公文書が不存在であるとしてなした本件不存在通知は適法あり、本件不存在通知の取消しを求める原告の請求は理由がない。
    • (ウ)不服申立てが適法であるにもかかわらず、本件条例第13条第1項に基づき審査会に諮問することなく異議申立てについて決定をなすことは本件条例第13条第1項に反し、裁決固有の瑕疵を有するものであって、違法なものであるといわざるを得ない。

(7) 異議申立人は、さいたま地方裁判所の判決中、請求を棄却された部分を不服として、平成17年11月24付けで東京高等裁判所に控訴した。なお、埼玉県は控訴しなかった。

(8) 東京高等裁判所は平成18年3月30日に原判決は相当であるとして控訴を棄却した。

(9) 異議申立人は東京高等裁判所の判決を不服として、平成18年4月3日付けで上告及び上告受理の申立てを行った。

(10) 最高裁判所は異議申立人の上告及び上告受理の申立てに対して平成18年12月21日に上告を棄却し、上告受理申立てを受理しない旨の決定を行った。

(11) 処分庁は、本件却下決定を取り消す判決が確定したことから、本件不存在通知が公文書の不存在を理由とした非公開決定であると認め、平成19年1月19日付けで本件異議申立てについて当審査会あてに諮問した。
なお、処分庁は、公開請求に係る公文書が不存在の場合の取扱いについて、平成18年12月27日に埼玉県議会情報公開実施要領を改正し、公文書不存在通知の取扱いを廃止した。今後は、公文書非公開決定を行うとしている。

(12) 当審査会は、処分庁から平成19年2月13日に開示決定等理由説明書の提出を受け、平成19年4月18日に処分庁より意見聴取を行った。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立ての趣旨は、処分庁が平成16年12月1日付けで異議申立人に通知した本件不存在通知について、埼玉県県政調査費の交付に関する規程(以下「調査費規程」という。)第8条による会計帳簿及び関係証拠書類等の一切の情報の公開を求めるものであって、その理由は次のとおりである。

(1) 県政調査費にかかる情報は議長の統理下のもと、会派において帳簿、支払証拠書類の調整、5年間の保存義務がある事が、関係法令により明らかである。よって不存在とは認めがたい。

(2) 公開条例第3条及び第4条では、情報公開の推進、責務、提供の充実、公開を求める権利の尊重が明記され県民の理解と信頼の獲得により、議会県政の発展と寄与がうたわれている。
「もともと不存在」とする通知は公開条例の本旨に反しており、到底納得できるものではない。

4 処分庁の主張の要旨

処分庁の主張の内容は、次のとおりである。

(1) 調査費規程第8条は、会派の県政調査費経理責任者が県政調査費の支出に係る会計帳簿を調整し、証拠書類等を整理保管し、これらの書類を収支報告書の提出期間の末日の翌日から5年を経過する日まで保存しなければならないと規定している。
会派は一般に県議会の議員によって構成される任意団体であり、議長の統理下にある組織ではない。したがって、会派の県政調査費経理責任者が保管する文書を議長が保管する文書と同視することはできない。

(2) 埼玉県県政調査費の交付に関する条例(以下「調査費条例」という。)第7条は、会派の代表者は県政調査費にかかる収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を議長が別に定める様式により、議長に提出しなければならないと規定しているが、会計帳簿及び証拠書類等の文書又は当該書類の写しについては、議長への提出を規定していない。

(3) 調査費条例第8条で、議長は、県政調査費の適正な運用を期すため、収支報告書が提出されたときは、必要に応じて調査を行うものとすると規定しているが、平成15年度の会計帳簿及び関係書類等の調査は行っていない。

5 審査会の判断

(1) 公開条例第2条によると、「公文書」とは、「県議会事務局の職員が職務上作成し、又は入手した文書(磁気テープ、磁気ディスク、フィルム等を含む。)で、決裁又は受理等の手続が終了し、議長が保管しているものをいう。」と規定している。そこで、本件文書が公開条例第2条にいう公文書に該当するかどうかについて判断する。

(2) 本件文書は、平成15年に係る調査費規程第8条の会計帳簿及び関係書類等一切の情報に係る文書であるが、これらは、いずれも、会派が作成し、会派の県政調査費経理責任者が保管するものであり、議長に提出するものとはされていない。
そこで、法令等を見ると、地方自治法第100条第14項は、「政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする」旨を規定し、同項を受けて、調査費条例第7条及び調査費規程第7条で、会派の代表者に議長への収支報告書の提出を義務付けている。しかし、上記各法令は、会計帳簿及び証拠書類等を議長に提出することを会派に義務付けてはいない。

(3) もっとも、調査費条例第8条は、「議長は、県政調査費の適正な運営を期すため、収支報告書が提出されたときは、必要に応じ調査を行う。」と規定しているから、この規定に基づく調査が行われた場合は、議長は会計帳簿及び証拠書類等の記載について調査し、これらを入手する可能性はあり得るが、本件文書に関連して何らかの調査が行われた形跡はなく、また、他に本件文書を議長が保管していることをうかがわせる特別な事情ないし証拠は見あたらない。

(4) そうすると、本件文書は、県議会事務局の職員が職務上作成したもの、又は入手した文書で、決裁又は受理等の手続が終了し、議長が保管しているものとは認められないから、公開条例第2条にいう「公文書」に当たらない。したがって、本件請求に係る公文書が不存在であるとして行った非公開決定は妥当である。

(5) 異議申立人は、会派は議長の統理下のもとにあり、会派の県政調査費経理責任者において会計帳簿、支払証拠書類の調整がされるのだから、本件文書は議長が保管する「公文書」に該当する旨を主張している。
しかし、会派は、議会内における政策集団ないし交渉団体的な性質を持ち、議事運営等の議会内での活動のために議員によって構成される任意の団体である。会派が議会の一部若しくは下部組織又は機関であるといったように会派は組織上議会そのものに属すと認められる事実は見あたらず、この点につき、異議申立人の主張は是認できない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
飯塚英明、野口貴公美、松村雅生

審議の経過

年月日

内容

平成19年1月19日

諮問を受ける(諮問第130号)

平成19年2月13日

処分庁より開示決定等理由説明書を受理

平成19年3月13日

審議(第一部会第23回審査会)

平成19年4月18日

処分庁より意見聴取及び審議(第一部会第24回審査会)

平成19年5月16日

審議(第一部会第25回審査会)

平成19年6月20日

答申(答申第115号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?