埼玉県議会 モバイル部門 埼玉の「魅力」特別賞「200年の時と共に」

ここから本文です。

ページ番号:284823

掲載日:2026年7月10日

令和8年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(保谷武議員)

農政としての都市農業保護から、防災・都市政策としての都市農地・緑地保全への転換について

Q 保谷武 議員(自民)

蕨市のような県南部においては、農家の戸数は少なく、農家一戸当たりの経営規模も小さいのが実情です。宅地化を前提とした市街地整備が進み、1軒の農家が所有する農地があちこちに分散しているケースも多くあります。
農業は、基本的には規模の経済が働く産業です。一定の面積を集約し、機械化し、効率的に生産することで競争力を高めていく産業であります。その点で、本県の都市農業は、そもそも条件が厳しいと言わざるを得ません。
さらに、農家の高齢化、後継者不足、相続税の負担、宅地転換への圧力などにより、都市農家を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。
県としても、これまで都市農業の振興に向けて、地産地消の推進、市民農園の支援、担い手確保、6次産業化や新規参入の促進など、様々な取組を進めてきたものと承知しております。これらの取組は、引き続き必要であります。
しかしながら、農業政策だけで産業としての都市農業を将来にわたり維持していくことには限界が見えつつあります。都市農業を産業として維持することが困難だとしても、都市農地そのものが失われてよいわけではありません。都市農地は、農産物を生産する場であるだけではありません。昨年12月定例会における木下博信議員の質問に対する答弁で大野知事がお示しになったように、防災面、環境面での役割もあります。
防災面においては、雨水を一時的に受け止め、地中に浸透させる雨水貯留浸透機能を有しています。近年、流域治水の考え方が取り入れられる中で、この機能の重要性はますます高まっています。また、火災の際には、建物が密集する市街地の中に残された貴重なオープンスペースとして、延焼を止めたり遅らせたりする機能も期待できます。場合によっては、一時的な避難空間や復旧活動のための空間としても活用できる可能性があります。
環境面でも都市農地は重要です。緑が少ない都市部において、農地は貴重な緑地空間です。土や作物、樹木などの緑はヒートアイランド現象を緩和し、都市の暑熱環境を和らげます。また、昆虫や鳥類など身近な生き物の生息空間となり、生物多様性の保全にも寄与します。そして何より、都市に残された緑は、住民の心に潤いと安らぎをもたらしてくれます。
つまり都市農地は、農業政策の対象であると同時に、防災政策、環境政策の対象でもあります。
ところが、従来の都市農地保全のための政策は、農業政策の一環としての農家支援にとどまり、農地所有者が農業を続けることを前提としてきた面が強いと言えます。制度上は、都市農地の貸借や企業等の参入の道も整えられてきました。
しかし、現実には、農地所有者側に貸し出す十分なインセンティブが乏しいこと、相続時には宅地化による資金活力が強いこと、また、小規模で分散した土地農地は借手にとっても使いにくいことなどから、外部の新規参入希望者、農業法人とのマッチングは簡単ではありません。
所有者本人が営農を続けられなくなった時点で、宅地化や土地の切り売りに向かってしまうことも少なくありません。そうなると、都市農地が持っていた防災、環境機能も失われてしまいます。
私は、ここで発想の転換が必要だと考えます。これからは、都市農業をどう守るかという農政の発想だけではなく、都市に残された緑地、空地機能をどう守るかという防災政策、環境政策の視点を盛り込むべきです。
もちろん、農地として維持できるものは農地として残すべきです。しかし、農業としての継続が難しい場合には、農地という形に固執するのではなく、公園、防災広場、花畑、その他の緑地へ転換してでも、都市に残された緑地、空地機能を残していくという考え方も必要ではないでしょうか。都市農地を農地として残す取組に加え、防災政策、環境政策としての視点を盛り込んで保全するという考え方について、知事の御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

都市農地は、住民に新鮮な農産物を供給する機能のみならず、災害時の防災空間や潤いのある緑地空間を提供するなど、多様な役割を果たしており、防災や環境の視点で保全することは重要と認識しています。
市街化区域以外の都市農地については、都市計画法及び農地法で開発が制限され、保全が図られています。
議員の御地元、蕨市は全域が市街化区域であり、開発行為を制限し、市街化を抑制する市街化調整区域はありませんが、生産緑地制度により、市町村が指定した生産緑地に相続税や固定資産税の優遇措置が認められております。
また、生産緑地を対象に、農業者と市町村が連携して取り組む農産物の自動販売機設置や市民農園開設時のトイレ設置等への支援もあります。
都市への緑地保全の観点からは、県では広域緑地計画において、農地を「多面的機能を有する緑地」と位置付けた上で、広域的視点や地域別の「緑の方向性」を示すとともに、市町村が主体的に取り組む緑地の保全・創出・活用を支援しています。
また、防災の観点では、埼玉県地域防災計画において、災害発生時の避難者の安全確保や火災延焼防止のため、市街地にオープンスペースを確保することとしており、その手法として公園の整備、緑地・農地の保全などを掲げ、市町村の取組を後押ししております。
都市の農地や緑地、防災空間の確保は、地域を熟知する市町村が主体的に取り組むべきものと考えており、県としては、これまでの知見を最大限に生かし、市町村の取組を、先ほど申し上げたような手法を通じ、しっかりと支援をしてまいります。

再Q 保谷武 議員(自民)

既存の様々な制度があって、仕組みがあって、それぞれがそれなりに効果を上げているということは承知しておりますけれども、それだけでは農地、緑地の減少のペースを緩めることはできても、止めることはできないのではないでしょうか。既存の仕組みだけで十分だと知事はお考えですか。
以上、再質問いたします。

再A 大野元裕 知事

先ほどお話を申し上げた、例えば蕨市のような市街化区域で申し上げるのであれば、そこは優先的かつ計画的に市街化を図る区域であり、県内の市街化区域内農地は、平成28年から令和7年までの10年間でおおむね4分の3に減少し、それに加え、年々減少傾向にありますが、他方で制度上、市街化が推進されるべき地域ですので、当然そこでは農地の減少が前提となっております。
したがって、市街化区域における農地の増加や、あるいは、緑地の減少の停止というのはそもそも目標とはなっておらず、十分かという御質問でありますが、そのような目標を設定したことはなく、また、今後もこの地域における目標をそのようなかたちで設定する予定はございません。
その一方で、議員御地元の蕨市では、例えば農地保全のために、特定生産緑地などの指定推進等が都市計画ではありますけれども、マスタープランに位置付けられており、また、特産のわらびりんごの収穫量も年々増量しているというのが現状であります。
今後も、農業政策だけではなく、御指摘のように、防災や環境政策の観点から、都市部における農地への都市計画上の転換を希望するような場合であっても、あるいは市街化区域における緑地の確保であっても、県として、市町村の意向を尊重しながら支援をしたいと思っています。

 

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?