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掲載日:2025年12月22日
Q 小早川一博 議員(公明)
12月2日からマイナンバーカードに保険証の機能を持たせたマイナ保険証への完全移行が始まりました。移行以前より薬局においてマイナポータルを活用する機会が増加したことにより、薬剤師の方から特に睡眠薬に関して「重複処方されているのを見る機会が増えた」との声を頂きました。
その声を受けて、複数の病院、メンタルクリニックや薬局へ足を運び、直接現状を伺いました。想像をはるかに超える数量の薬剤が処方、服用されている事例もあり、対策の必要性を痛感しました。
マイナ保険証を使えば、患者の同意を得た上で処方履歴を閲覧できます。重複投薬が確認できた場合、処方箋を発行した医師に問い合わせるなど、いわゆる疑義照会により未然に防ぐことができます。
一方で、活用されない場合、適切な処方につなげられていない可能性があります。睡眠薬など向精神薬の多量服用は、心と体を傷付ける危険な行為であり、患者本人の心身の健康被害や依存症を引き起こすことにつながります。重複投薬者に対し単に制限するのではなく、いかにして発見し、手を差し伸べ、適切な治療につなげていくかが大事であり、県としてできる対応を検討していく必要があると考えます。
そこで、保健医療部長に2点お伺いします。
1点目は、国民健康保険の審査機関である埼玉県国民健康保険団体連合会、以下、国保連において睡眠薬などの向精神薬が過量処方されている実態を把握する必要があるのではないでしょうか。国保連においてレセプトデータなどから処方箋のデータを抽出、分析等により実態を把握することは可能なのか、お伺いします。
2点目は、関係医療機関と連携し、これまでの事例を踏まえ、抽出要件を整理し、AIによるレセプト分析なども活用し、同一患者の重複投薬や頻回受診パターンの検出など、市町村国保や医療機関に情報提供できる実効性のある有効な仕組みの構築を検討すべきではないでしょうか。県として実態把握と併せて、国保連や関係機関と連携の上、過量服用を未然に防げる埼玉モデルの構築を検討すべきと考えますが、保健医療部長の見解を伺います。
A 縄田敬子 保健医療部長
初めに、「睡眠薬などの向精神薬が過量処方されている実態を把握するため、レセプトデータなどから処方箋のデータ抽出・分析は可能なのか」についてでございます。
国保連合会に確認したところ、特定の薬剤や薬効・処方量等について一定の条件を設定した上で、レセプトデータを活用したデータの抽出は可能であるとのことでした。
この機能の活用のためには、適切な抽出条件の設定がなにより重要となってまいります。
こうした抽出条件の決定に加え、抽出したデータを活用して効果的な分析を実施するためには、医学・薬学を始めとした専門的な知見が必要でございます。
そのため、まずは、国保連合会を始め、県医師会・薬剤師会等、関係者の御意見も伺いながら、有効なデータ抽出・分析手法を検討してまいります。
次に、「AIを活用したレセプト分析なども活用し、市町村国保や医療機関に情報提供できる、実効性のある有効な仕組みを構築するとともに、県として過量服用を未然に防げる埼玉モデルの構築を検討すべき」についてでございます。
AIを活用したレセプト分析につきましては、先ほど御答弁いたしました関係機関と検討を進める中で、併せて実施可能性や有効性についても議論してまいりたいと考えます。
また、特に医療機関への情報提供でございますが、議員御指摘のとおり、マイナ保険証を使えば、患者の同意を得た上で診察時に処方履歴を閲覧できるため、その時点で過量処方を防ぐことができます。
しかし、そうでない場合、本人の同意なく過去に受診した医療機関に情報提供することが必要となりますので、個人情報保護の観点から慎重な対応が求められます。
厚生労働省によると、行政機関等がレセプト情報等の保有個人情報を本人の同意なく医療機関へ提供する場合は、本人の健康被害を防止し、医薬品の適正使用につながる場合でなければ、実施できないとされております。
そのため、個別の事案ごとにこの規定に該当するか否かの判断をする必要があり、それには保険者である市町村が、対象者の健康状態や医療機関の受診状況、服薬状況などの情報を分析することが欠かせません。
さらに、それぞれの市町村において必要に応じて個人情報保護委員会等にも問題がない事を確認するなど、総合的に判断する必要があるものと考えます。
こうした取組は、現在、県内では桶川市で実施しており、まずは、このような先行事例を各市町村に対し情報共有を図ってまいります。
また、先行事例として実施する中で生じた課題も把握しながら、過量服薬を未然に防ぐ仕組みづくりについて、関係機関と研究を進めてまいります。
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