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掲載日:2025年12月18日
Q 東山徹 議員(自民)
大野知事は、激甚化、頻発化する災害対応を歴史的課題と位置付け、様々な対応を積極的に進めていただいておりますが、毎年のように各地で災害が発生しており、昨日の地震においても後発地震が心配されるところでありますが、災害対応については、より一層の推進が求められている状況です。
2024年1月1日、震度7を記録した能登半島地震は記憶に新しいところですが、その際に現地に派遣された医療関係者からお話を伺う機会がありました。
その方は、発災後1週間が経過した段階で現地入りしましたが、その時点でも被災地は混乱しており、当初予定していた避難所での活動はできず、何度かの変更を経て活動場所が決まる状況であったと伺いました。
また、被災地活動は様々な地域から多職種の方々が集まるため、指揮命令が一部不透明であったこと、情報共有が不十分であったこと等もお話しされていました。
ボランティアとして活動していた医師や看護師は、自衛隊、警察、消防隊など業務として活動している方に比べ、事故に遭った際の補償などが弱いにもかかわらず命を助ける活動に従事しており、現地での御労苦を思うと頭の下がる思いがいたしました。
私も、東日本大震災において民間ボランティアの現地受入体制が整うとすぐに被災地に入り、津波により被災者宅にあふれていたヘドロ撤去や生活再建のお手伝いをするとともに、当時市議会議員でありましたので、被災自治体へのヒアリング等も実施しました。
被災自治体からは、現段階では移動手段としての自転車が早急に必要との声を頂きましたので、狭山市と地元輸送企業の協力を得て、放置自転車をトラックで被災地に送る活動を行ったことは、被災地支援の一つとして印象に残っています。
また、東日本大震災の反省として、「なすすべがなかった」「何をしたらよいのか当時は分からなかった」とか、「訓練をしていないことは対応が難しい」「想定していないことは現場でできない」との被災者の声を聞き、想定することの大切さを強く感じています。
私の住む地域自治会においても、防災訓練や講習会、勉強会等により地域の皆さんの知見を深め、情報共有する取組を行っています。私も、災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障害者等の避難行動要支援者の避難行動支援について役割を担っており、これらの防災訓練等に参加していますが、発災時においては避難行動要支援者の方々を避難所まで誘導することになります。
しかしながら、けがや体調不良の場合などは病院へ連れていかなければならないケースが発生するため、同じ役割を担う地域住民の方からは、災害時地域医療体制の充実を望む声をよく聞きます。
このような経験を踏まえ、(1)医療機関のBCPの将来像、現状、そして将来像を実現するための取組について質問いたします。
災害大国日本は、全国いつどこで災害が発生するか不明ですが、どんな災害が発生するにしても、災害発生時の超急性期、そして急性期には医療が必要となります。例えば大規模地震を想定したならば、発災後、地域全体の医療・ケア提供の継続と早期復旧を可能とすることが重要であり、それは各機関のスタッフ、患者、利用者のみならず、多くの住民の命と健康、暮らしを守ることになります。
そのためには、あらかじめ地域の各医療・ケア提供機関でどのようなケースが起こり得て、どんなタスクが生まれ、どのくらいの人材が求められているのかを関係者間で話し合い、想定しておくことが必要であり、具体的な手続や方法について準備し、共有しておかなければなりません。
知事は常々、災害への対応に際しては、事前の準備が重要であるとおっしゃっています。今私が申し上げていることは、正に事前準備の重要性であり、しっかりとした事前準備を進めるためには、医療機関におけるBCPの策定が重要であると考えます。
埼玉県の病院は、7割が病床200以下の病院のため、本県は中小病院が多数を占めていると言ってもいい状況であり、そうした病院では日常業務に追われ、BCP作成に至っていない、又は病院内でその必要性が理解されていないなど、幾つか課題があると聞いております。
また、BCPを策定していない病院からは、備蓄に経費がかかり、人的余裕も持てない現状を考えると、対応困難者が発生する可能性があるとか、妊婦、透析患者、精神疾患患者、小児など、受入れが難しいことなど心配すると、BCPの作成に至らないという声。また、BCPを作成している医療機関からも、災害に関してどこまでの準備が必要なのかといった不安の声が聞かれます。
こうした医療機関の不安に寄り添い、必要な対策を行い、医療機関におけるBCPの策定を促進することが県に求められているのではないかと実感しています。
そして、中長期的には、単なるBCP策定にとどまらず、地域の各機関が連携し、災害対応を行うことが重要と考えます。そのためには、地域にどのような医療機関、クリニック、老人施設があるかを把握し、それぞれの役割分担を入れたBCP作成を行うことが必要であります。
埼玉県では、災害時医療救護基本計画が示されており、各市町村においては、それに沿って計画を定め、取組が行われているところでありますが、圏域、自治体によって取組の差が出ていることも想定されるところであります。
令和5年度、厚生労働省事業として、在宅医療の災害時における医療提供体制強化支援事業、連携型BCP・地域BCP策定に関するモデル事業が実施されましたが、全国で26の地域が選定され、本県の自治体も選定されており、実績報告がなされているとのことです。
モデル事業の成果も踏まえ、地域の医療機関や医師会、関係機関との連携を想定した行動計画を立案し、地域防災計画と連携する地域BCPを策定し、地域防災計画、地区防災計画と地域包括ケアの連携を図り、災害時の共助体制を強化する取組を各地域につなげていくことが必要と感じています。県が考える医療機関のBCPの将来像、医療機関のBCPの現状、そして将来像を実現するため県としてどのように取り組むかについて、知事のお考えを伺います。
A 大野元裕 知事
まず、「災害時に備えた医療機関のBCP作成と災害対応の推進について」のお尋ねのうち、「医療機関のBCPの将来像、現状、将来像を実現するための取組について」であります。
BCPは、自然災害やパンデミック等の発生時に事業の継続等を図るための計画であり、各医療機関がBCPを策定することで、災害時の地域医療の確保につながる極めて重要な取組であります。
災害時は医療資源が極めて限られる中、多数の傷病者に対応する必要があり、医療をはじめとする地域の関係機関が連携し、最大限の効率化を図る必要がございます。
このため、医療機関のBCPの将来像とは、どのような患者をどれだけ受け入れるか、医療機関が被災した場合の転院先などについて、あらかじめ地域で話し合い、その結果を反映した実効性の高いBCPと考えます。
また、医療機関のBCPの現状ですが、各医療機関で人員・設備・資力等が異なるため、県では、まずは個別にBCPを策定していただくこととし、研修や個別相談会の開催により支援しています。
その結果、令和7年4月時点の病院におけるBCP策定率は、65.9パーセントとなり、第8次地域保健医療計画の目標である65パーセントを達成しております。
また、将来像を実現するための取組ですが、今後はBCPの策定率を更に向上させるとともに、先述の地域ごとの将来像を反映したBCPに近づけていくことが重要だと考えています。
そのため、各医療機関のBCPの作成を推進するとともに、地域の関係機関を集めた埼玉版FEMAの訓練等を実施し、地域内の役割分担についてBCPへの反映を促すなど、BCPの実効性を高める取組を進めてまいりたいと考えております。
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