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掲載日:2025年10月22日
Q 杉田茂実 議員(自民)
第3期埼玉県観光づくり基本計画は、いよいよ令和8年度に最終年を迎えます。まず、県内観光の課題と今後のうち、県DMOへの支援についてお伺いいたします。
観光地域づくり法人いわゆるDMOは地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔としての活躍が期待されています。
本県においては、県物産観光協会が埼玉県全域を対象とする地域連携DMOとして観光庁に登録されており、観光地域づくりを実現するための戦略策定とその実行役としての役割が求められています。DMOでは、令和5年10月に民間出身の本部長を迎え、機能強化を図ってきました。また、県はDMOへの補助金を増額するなど、DMOの支援を強化してきています。
先日、観光物産協会のDMO事業本部長と話をする機会がありました。「県内観光の更なる発展のためには、今まで以上に幅広に事業者を巻き込んでいきたい。そのためには、観光に参加することで経済的なメリットがあるということを事業者に意識付けたい」とのお話がありました。現在、DMOではインバウンド事業として台湾をターゲットに誘致を進めていますが、全国の多くの自治体が台湾をターゲットにしており、非常に厳しい競争がありますとのことでした。
私は、どんなに立派なキャリアを持った方に来ていただいても、DMOの意向を踏まえ、予算の在り方も含めて持てる能力を発揮しやすい環境を整えなければ、成果を生み出すことは難しいと思っています。DMOが力を発揮し、見える計画と明解な成果が出せるような戦略的な予算が必要であると考えます。知事の御見解をお伺いいたします。
また、県はDMOに対して様々な支援を行っていますが、DMOには何を任せ、どこまで委ねるのか、知事の御見解をお伺いいたします。
私は、将来にわたり持続可能な観光振興を推進するためには、民間やDMOが担うべき役割は彼らに委ね、県はその活動を支援するとともに、行政でなければ実現できない分野に集中すべきと考えます。
その中でも最大の支援策はインフラ整備、中でも観光分野において行政にしかできない重要な役割の一つが、観光地へのアクセス向上を目的とした道路整備であり、維持管理を含め観光振興を更に推進する視点を取り入れることが必要です。
本県を訪れる全ての観光客が快適で安全に旅を楽しめるよう、本県の観光の第一歩は適切な道路整備であり、美しい道路環境を維持することが観光産業への最大の支援策です。隣県の道路状況と比較すれば一目瞭然です。観光地へのアクセス向上を図るための道路整備も同様に重要です。
例えば、現在、私の地元熊谷市で進められている熊谷市と群馬県千代田町を結ぶ利根川新橋の整備においては、利根川新橋に接続するアクセス道路が果たす役割において観光への貢献にも十分に考慮し、荻野吟子、渋沢栄一、塙保己一、埼玉県の三大偉人を訪ねる旅等、点から線へ、線から面への観光プログラムを強化する千載一遇のチャンスを最大限生かしていただきたいと切望いたします。
このように私は、道路整備には観光振興に寄与する視点を取り入れることが重要であると考えておりますが、県土整備部長にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
私はこれまで、三つの視点に立って、戦略的に観光振興を推進してまいりました。
一点目は、県と市町村・民間事業者等との役割分担を明らかにし、これに基づいて、それぞれの強みを生かした取組に注力するということです。
観光資源の発掘・磨き上げは市町村等にお願いをし、県は、市町村等では対応できない、広域的なプロモーションやビッグデータの活用などを行い、全体として相乗効果を発揮できるような施策を実施してまいりました。
例えば、うどん、日本酒、いちご、狭山茶など本県が誇るコンテンツをきっかけとした周遊観光を促すため、コンテンツごとに居住地、年齢、検索履歴等を踏まえたターゲティング広告などを集中的に行っています。
また、人流や購買などのビッグデータを集約したDMP、データ・マネジメント・プラットフォームを構築し、エビデンスに基づいた市町村等の取組を支援しています。
二点目は、インバウンド誘致において東京に隣接するという地の利を最大限に生かすということであります。
訪日外国人旅行者の半数以上は東京を訪れており、交通利便性が高く、一歩足を延ばせば豊かな自然や魅力ある伝統文化に触れられる本県の強みを生かし、「Just North of Tokyo」「The Best Day Excursions」をキーワードに施策を展開しております。
例えば、県DMOに埼玉観光サポートデスクを設置し、都内の宿泊施設への訪問セールスや観光バス内での広告などにより、東京に滞在する外国人旅行者を呼び込むための取組を進めております。
また、観光資源の中から、インバウンドに訴求力のある10コンテンツをえりすぐり、インフルエンサーや旅行会社を招いた広域的な現地視察ツアーによる魅力発信や旅行商品の企画などを促しています。
三点目として、県DMOが専門性や機動性を発揮するための体制強化であります。
民間での豊富な経験や高い知見を有するDMO事業本部長を登用するとともに、インバウンドやマーケティングなどの専門人材を採用し、DMOの組織体制を強化してまいりました。
これらの取組の結果、私が知事に就任した令和元年度と比較をし、観光予算は約2倍となり、県DMOの事業費も大幅に増加をさせております。
今後も、戦略的な施策を実施し、本県の強みを生かした観光振興に取り組んでまいります。
次に、県DMOに何を任せどこまで委ねるのかについてであります。
県は、観光施策の基本的な方向性を提示し、財政面でのサポートや県域を越えた広域連携といった役割を担い、県DMOは、その専門性を生かして効果的に事業を企画・実行する役割を担っています。
例えば、マーケティングや広報戦略、物産や交通、宿泊などの民間事業者等のネットワークなど、高い専門性や豊富な知見と人脈を必要とする事業については、県DMOに任せています。
今後も、県DMOが観光地域づくりの司令塔として力を発揮をし、成果を生み出せるよう支援してまいります。
A 吉澤隆 県土整備部長
観光振興は地域経済の活性化や地域の魅力発信において、重要な役割を果たしております。
特に、観光地へのアクセス向上を目的とした道路整備は、移動の安全性と快適性を確保し、地域の観光資源を最大限に活用するためにも必要不可欠です。
観光地への円滑なアクセスを実現し、本県を訪れる全ての観光客が安全で快適に移動出来るよう、道路整備を推進するとともに、適切な維持管理にも努めています。
例えば、国宝に指定されている歓喜院聖天堂周辺の県道羽生妻沼線では、歩行者の安全性や快適性を確保するため、歩道の美装化や無電柱化などの整備を行ってまいりました。
議員お話しの、本県と群馬県を結ぶ利根川新橋は、災害時の避難および輸送ルートの確保や、地域のポテンシャル向上に寄与するとともに、群馬県から県内への観光客誘致に貢献するものと考えております。
また、県内の主要な観光地の一つである秩父地域へのアクセスを向上させる大滝トンネルや、長尾根バイパスといった西関東連絡道路の整備にも鋭意取り組んでいるところでございます。
今後も、観光振興に寄与する視点を取り入れた道路整備や、道路環境の維持を着実に進めてまいります。
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