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掲載日:2024年4月3日

令和6年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画について-DX推進計画(第2期)の方向性について-

Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)

DX推進計画(第2期)では、DXの第2ステップとして、デジタルを単に導入するだけでなく、デジタルを基本に従来の仕事のやり方や仕組みを変え、県民の利便性向上や新たな価値やサービスの提供を目指すとしております。県が保有するマップを集約したポータルサイトを構築し、誰もが必要な地理情報を簡単に活用できる新たなサービスを提供するほか、PDFでリスト化されたデータではなく、3D技術やマッピング化が施されているところは、大いに期待できるところであります。
1月30日から埼玉版GISを稼働させていますが、今後のコンテンツの拡大もさることながら、オープンデータとの連携、民間と連携したフィードバックの充実について、知事の御所見をお伺いいたします。また、計画第2期の方向性として、県民はDXを通じてどのように社会変容を感じるものになるのか、具体的に御教示ください。
さらに、主なテーマの国・市町村との連携強化において、国・県・市町村や官民の枠組みを超えてデータ連携や有効利用を図るため、県が保有する情報のオープンデータ化の推進や関係機関との情報連携を進めるとしておりますが、まずは県庁の中の業務プロセスの改革をうたっております。しかし、今後のDXの進展を見据え、県庁内部だけでなく市町村や国との的確な役割分担との整合性も含めて、まず、業務処理の在り方を見直すべきものを洗い出し、その後にシステムに落とし込むことが必要と考えます。今後の国・県・市町村の役割分担の在り方を踏まえたデジタル化を進めるための関係行政機関との調整について、どのように進めていくのか伺います。
最後に、自治体システムの標準化です。
自治体情報システム標準化とは、全国の1,700以上ある自治体が個々にシステムを導入・運用することで発生している無駄なコストや非効率性を解消するために、国の2020年12月に策定された自治体デジタルトランスフォーメーション推進計画の中で、2026年3月末までに住民記録などの20業務を標準準拠システムへ移行することが盛り込まれています。
この標準システムでは、デジタル庁が整備するマルチクラウドであるガバメントクラウドを活用しなければなりません。カスタマイズはできないことになっております。まず、情報システムの標準化は法律で義務化されておりますので、各自治体はこれに従わなければなりません。
問題は、この標準化されたシステムをデジタル庁が主導するガバメントクラウドを活用しなければならないことで、果たしてイニシャルコストやランニングコストが削減できるのかです。富山県の事例では、RFIによりコストを見積もったら2倍以上コスト高になったとのことです。
埼玉県内の自治体でも、標準システムの移行期限に間に合わない自治体がどのくらいあるのか、また、コスト高になっていないかについて御答弁ください。
また、日本にあるクラウドの9割は、米国のAWSです。米国クラウドアクトによって米政府は米国内に本拠地を持つ企業に対して、米国外に保存されているデータであっても合法的にデータの閲覧、差押え要求を行えるというセキュリティ問題も懸念されるところです。さらに、ベンダーロックインの解消を目指したわけでありますが、クラウドの技術はほぼ外資に頼るしかないこのシステムの標準化では、既存の業務をベースに標準化をするようですので、本来のDX化にはほど遠いものです。
そこで、質問ですが、今後30年以内に首都圏直下地震が起こる確率が7割と言われる中、全国の住民データが集約化され全く新しいシステムに統合させることは、過去の大規模災害や大手金融会社のシステムトラブル発生の例を見ても、データ消失や混乱の危険性が懸念されます。こうしたトラブルを防ぐためにも、標準化対象業務に関するBCPの検討並びに各自治体における遠隔地へのデータバックアップも必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

DX第2段階の県民サービス向上の取組の一環として、これまで県庁の各部門に分散していたマップを1つのポータルサイトに集約し、一元的に情報発信する埼玉県GISサービスを本年1月30日から開始をいたしました。
現在14のマップを搭載しておりますが、来年度は68マップに拡大したいと考えています。
また、県民の方が欲しい地図データがある場合にリクエストできる機能もあり、将来的にはオープンデータ・ポータルサイトの情報との連携も含め、民間の様々なニーズに合った情報発信を目指してまいります。
次に、計画第2期の方向性として、県民はDXを通じてどのように社会変容を感じるものになるかについてであります。
第1期はペーパーレス化やウェブ会議の普及など、主に県庁内部における変革が中心でしたが、第2期は県民がデジタル化の効果を実感できる取組を推進します。
例えば、埼玉県GISのようにこれまでになかった便利なサービスを提供したり、行政手続は事前相談の段階から全てオンラインで完結するようにしたり、あるいは電話や来庁の負担をなくして県民の利便性を上げていきます。
また、来年度は全庁共通のメタバース基盤を構築し、様々なサービスを提供したいと考えています。
こうした取組を通じて、県民や事業者が「県庁まで出向かなくても、必要なサービスが手軽に利用できる」利便性を実感できるようにしたいと思います。
次に、今後の国・県・市町村の役割分担の在り方を踏まえたデジタル化を進めるための関係行政機関との調整についてであります。
これまでの行政手続は、紙の申請書を持参し、対面で手続を行うことを前提としていたため、住民にとってより身近な市町村の窓口で必要な手続ができるよう権限移譲を進めることで利便性の向上を図ってまいりました。
しかしながら、電子申請等の拡大に伴い、行政手続の窓口が住民の近隣にあることの重要性は次第に低下しつつあります。
また、多くの市町村で実施している事務をシステム化する場合、個別に開発するよりも、県や国が一括して構築した方が効率的なケースも考えられます。
こうした状況を踏まえ、今後の事務やシステムの在り方について、国や市町村とも意見交換をしながら、業務効率や県民の利便性の観点から最適な役割分担を検討したいと思います。
次に、県内の自治体で、標準システムの移行期限に間に合わない自治体がどのくらいあるのか、またコスト高になっていないかについてであります。
情報システムの標準化やガバメントクラウド移行までの全工程に対する県内市町村の進捗割合は、昨年12月時点で38.3パーセントであり、この進捗率は全国で4番目に高い数値となっています。
一方、県内18の市町村が、ITベンダーの人手不足や撤退などのため、令和7年度末までの移行は困難と国に申し入れています。
移行が困難と認められた場合、国が別途期限を設定するとされていますが、移行可能と回答した市町村からも、移行にかかる費用や運用経費の負担を懸念する声が寄せられています。
また、複数の自治体によるクラウドの共同利用で既にコストダウンが実現されている場合には、ガバメントクラウドへの移行でかえってコスト高になるケースもあります。
こうした状況を踏まえ、昨年11月、私から河野デジタル大臣に対し、国による十分な財政支援措置や、自治体の意見や要望を確実に酌み取る仕組みの構築を直接要望したところであります。
今後も、県内市町村の声を丁寧に把握しながら、全国知事会とも連携し、市町村の状況に応じた移行期限の柔軟な設定や必要な財源の確保などを国に強く要望してまいります。
次に、標準化対象業務に関するBCPの検討並びに各自治体による遠隔地へのデータバックアップについてであります。
ICT部門のBCPについては、現在、本県及び県内市町村の約6割が策定していますが、システムの標準化やガバメントクラウド移行という新たな情勢を踏まえ、BCPを見直す必要があると考えます。
このため、BCP策定済みの市町村に対するアップデートの働き掛けとともに、未策定市町村に対しては来年度から開始するサポート人材派遣も含め、きめ細かい支援により早期策定を目指してまいります。
また、システム標準化対象事務のデータを保全するため、遠隔地のデータセンターでバックアップ措置を講ずることについては、国が明確に方針を示しているため、県内市町村への周知を徹底してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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